地球に帰還したEXFemaleがまず行った事は、
地球に住む人類の記憶を改ざんする事だった。
成層圏よりナノマシンを散布、
そのまま下降し空気に乗って人体に吸い込まれ、
程よくセフィロト旅団の事柄や、、
麻紗子達が狂乱により引き起こした地球上に起こった災害や、
エミューによる機中襲撃の事が改ざんされた。
事、エミューの一件については、
共同軍事演習で行われた新兵器実験が失敗、
暴発し、死者が出た。と、いう感じに変更された。
また、一番骨が折れるミッションが、
来都市民のリビルドであった。
仮想来都にデータ化された市民を現実世界に戻す為に、
データバンクから個人データを再構築した肉体に戻し、
その元に戻った市民を来都に戻すという、
この時代の技術力では到底不可能なミッションを行った。
セフィロト旅団の技術力を以てして約三日間を要した。
また、来都を覆っていたドームも、
同じセフィロト旅団の技術によって取り払われた。
このミッションが完了した事によって、
真の意味での任務完了となった。
秋空が、広く高く感じられる。
麻紗子とケイは、そんな秋空を楽しみながら下校の途についていた。
「あー、あれから結構経つけど、
今を思えば、夢みたいな出来事だったわね・・・」
「あんたがそれを言いますかー?
その出来事の当事者だった癖にさ」
「それを言うなら、麻紗子だってそうよ。
それを言い出すと、キリがないわ」
「だな。うん、来都が、世界が元通りになって、
その立役者二人がこうして普通に女子高生しているなんてさ。
今は、私達やアリスさん達以外はみんな忘れちゃってるんだよな・・・。
それに、私のDNAFAもあの戦いの後はすっかり無くなっちゃったし。
そう、これでいいんだよ」
「そうね・・・。
あ、そういや今日ってリー・アイランドでいろいろあったんだよね?
確か、来都南港でアリスさん達が待ってるんだよね?」
「そうそう、父さんが送ってくれる。
ケイも乗っていきなよ。
その・・・アインもいる事だし」
「はは・・・そういやアインは正式に佐伯家の一員になったのよね?」
ケイの質問に、麻紗子は表情を困惑させた。
「そうだよ、アインは私の兄さんになるみたい。
まぁ、家にいてもあの感じだしね・・・。
けど、母さんはまんざらじゃないんだ。
家に男の子が出来て嬉しいわ〜ってはしゃいじゃってる」
「で・・・アインはやっぱあの事は、根に持ってたりするの?」
「あ、ああ、あの時のグーパンチかぁ・・・・。
あいつは、私から見ても律儀な男に見えるから、
あえては聞いてないけど、けじめとして受け止めてるみたい」
「だったらいいんだけど、
ねぇ、私とアインがこのままゴールイン、ってなった場合、
麻紗子はどうするの?」
「そうだなぁ、友人が義理の姉になるのは、
かなーり複雑な気分だよ・・・。
けど、アインとも結局義理だしさ、
私に構わず、交流してったらいいよ」
「ありがとね、麻紗子。
じゃ、ここで。
用意したら、麻紗子の家に行くわね」
「うん、じゃまた後でねっ」
麻紗子は、ケイと別れた。
暫く家路を歩くと、ある事を思い出した。
今歩いている道は、麻紗子が初めてサイコトロンと遭遇した場所だった。
「そうだ・・・、この道から、私の非現実の夏が始まったんだ。
けど、その事が無ければアリスさん達には逢えてなかった。
だとしたら、あのサイコトロンには感謝すべきなのかな・・・。
いやいや、あの時はまじで死ぬかと思ったし。
ま、済んだ事をどうこう考えるのはやめますか」
麻紗子はその道を通り過ぎ、
数分後、自宅に着いた。
自宅のガレージには、新車のRV車が駐車されていた。
「ただいまー」
「おかえりマサ。
さっ、帰ってばかりで疲れてるでしょうけど、
早めに着替えてリビングに下りてきなさい」
麻紗子の母、結衣が母親のトーンで麻紗子に促した。
「わかったよ母さん、マッハで行くー」
麻紗子は二階の自室で制服から、今日着ていく服に袖を通した。
「ちょっ・・・なんだよこの女の子女の子した服は・・・」
「おっ、麻紗子ー、なかなか似合ってるじゃないか?
なっ、アイン?」
「あ、ああ・・・・。オレにはよく分からないが、
似合っていると思う」
「なぁっ、二人とも私をからかってるだろぉ!?
こんな服、着た事ないよー」
「あらっ、いいじゃない。
ちょっと、鏡の前に座ってみて。
母さんが髪、してあげる」
麻紗子は鏡の前に座り、結衣が立膝になって麻紗子の髪にブラシを入れた
「あんたって、やっぱり癖っ毛だね。
でも・・・若さよね。
ブラシ通りが違うわ・・・」
「そ、そお?
でも・・・この服のセンスはないよー。
私みたいな男勝りが着る服じゃないよ・・・」
「さぁ、それはどうかしら?
これをこうしてっと・・・・。
ほらっ、そこの姿見で全身見てみなさいっ」
麻紗子は立ち上がって、リビングの片隅にある姿見で自分を映してみた。
「・・・な、ななななぁっっっっっっ!!!!」
麻紗子は顔を赤らめた。
白を基調としたワンピース風のドレスに、
結衣が施した髪型はそれにマッチングしていた。
その姿に、麻紗子は見惚れてしまった。
「ねっ、麻紗子だって一応女の子だもんね。
しょっちゅうホットパンツにタンクトップじゃ、ねっ」
「・・・母さん・・・ありがと」
麻紗子は、女性らしい笑顔を見せた。
「さてー、うちの姫様が出来上がったら、
後はもう一人の愛娘の到着を待ちわびるばかりだな、
なっ、アーイーンっ」
丈一郎はアインをからかった。
その時、佐伯家のドアホンが鳴った。
「噂をすればだな。
おしっ、佐伯家全員自慢の新車に乗り込むぞー!!」
丈一郎とアインはバッグを一つづつ持ち、
結衣も手提げバッグを手に下げて、
ガレージへと向かった。
「ああ、・・・これが、家族なんだなぁ・・・」
「おい麻紗子ー、なーに黄昏てんだー。
早く来いよー」
丈一郎の声が響く。
「はーい、今行くー」
麻紗子は慌ててガレージに向かった。
「・・・麻紗子、すっごい可愛いよ!!」
ケイは、麻紗子の容姿にビビッドな反応を示した。
「ケイこそ、すっごく決まってんじゃん!!」
ケイは、そのスレンダーな体系にぴったりしたドレス姿で現れた。
麻紗子の白とは対照的に、
黒を基調とした大人の色気醸し出すデザインのドレスであった。
「おっほー、ケイちゃんもまた色っぽいねぇー。
おじさん、惚れちゃいそうだよ」
そのだらしない声を聞き、結衣は咳払いを一つした。
「そんな事言ったら、おばさんからお叱りを受けますよ、おじ様っ」
「う、うむむむむ・・・・それもそうだが、
アインにも疎まれそうだな・・・」
「もち、私も疎むよ、父さん」
「あああ・・・・俺の味方はケイちゃんだけだよぉ・・・。
じゃっ、気を取り直して、全員乗り込めーっ!!
南港までひとっ走りだっ!!」
佐伯家とケイは、南港に向けて出発した。
