風と往く道 鬼恋うる道 〜興福寺の巻〜
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私・へづ屋が、友人FO嬢・通称「風さん」と奈良を訪れると、必ずと言って良い程立ち寄る処がある。 お互いの遠距離恋愛の相手との逢引の為だ(笑)
奈良のシンボル・五重塔を有する興福寺の秘宝を集めた国宝館。此処にそれぞれのお相手がいらっしゃる。 風さんのお相手は、一般的にも人気者の「阿修羅王像」だ。 “少年のような”と形容される事の多いお像だが、実は美々しいお髭を蓄えた美中年像であらっしゃる事を私たちは知っている。それでも風さんの気持ちは少しも揺るがないのだから、へづ屋が横からとやかく言う事ではあるまい。 そしてワタクシ・へづ屋のお相手はと云えば・・・
ズバリ言えば「鬼」である。もう少し丁寧に言えば「天の邪鬼」であるとの事、らしい。 人間に害をなす為に生まれて来た筈の「鬼」が仏法に触れる事で回心し、仏に帰依すべく働く。まったくもって何処かの誰かに・・・いやいや、是非ともへづ屋も見習いたいものである。
その手本とすべき姿を鬼――「天燈鬼」に見たから。へづ屋はこうも、この像に惹かれるのだろうか? |
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「天燈鬼」と対で造られたと云われる作品が「竜燈鬼」である。 世間的には、この竜燈鬼の方がウケが良いらしい。雑誌や書籍での扱いはもとより、国宝館の中でも、お互いが横に陳列されている時ソレは顕著だ。お客さまの鈴なり方で良〜く判る。 ま、賑やかな横を尻目に、へづ屋は大好きなお像をゆっくり見られていいケド(でもチョット怒)。
カッと両眼を見開き、口をへの字に引き結び、両足を均等に踏ん張り。 上目遣いをしているような竜燈鬼は、確かに“ユーモラス”と思えない事もない。 でも。何かが違う。 そう、第一彼は自分の力で燈篭を掲げていないではないか。 竜を身体に巻きつかせ、頭上に顕現させた雲海に燈篭をチョコンと乗せている――そんな印象を拭えないのだ。 その所為かスッとした立ち姿には、大層力みが抜けて見える。 身につけた神通力を使っているだけではないかと言われてしまえばそれまでなのだが。
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だが。やはりへづ屋は天燈鬼が良い。 左手と肩に燈篭の重量を分散させるように乗せ、右手でバランスをとっている。少し腰を捻るような流線型のポーズも美しい。 何より顔と手の表情だ。牙を剥き出しにしてカッと広げられた大きな口。 左手では『あらよっ』とばかりに軽々と持ち上げているように見えるが、右手は『落とすものか!』と云う意志を表すようにギュッと拳が握り締められている。 そして御仏の御用を成すのに両眼だけでは足りぬとばかりに、額には第三の眼を顕現させているのだ。 かくして全身からは仏燈篭を灯す為、 『俺は此処で頑張っているんだ〜〜!』感を発散させているのである。
そして。 へづ屋は常々四天王像を見る度に、大いなる疑問を抱くようになっていったのだ。 それはあの雄々しい武将神と一対になったかのように、踏み付けられている存在だ。 講釈を聞くまでもなく、仏に歯向かい人の世に仇なす存在の象徴である鬼を地にひれ伏させる事により、四天王の力強さ、ひいては仏の教えの有難さを表現しているのだ――と思う。 しかしてどっこい、何もそこまでやらんでも・・・と思ってしまうのだ。 ユニークな鬼がいるかと思えば、四天王にあまりに惨たらしさを感じさせる扱いを受けている像もあるので・・・(汗) これから少し、へづ屋に「鬼」の存在を意識させてくれた四天王像を何件か紹介させて頂こうと思う。
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