"奴"は突然やってくるU
"奴"は突然やってくる。
昨夜現れたときはジャージとビーサン、手提げ鞄が一つ。
あまり見ない、パターン?とでもしとこうか。
風呂釜が壊れたということで、向かった先は近所の銭湯。
ここに来たのは中学生以来か。
今夜現れたときは革ジャンとジーパン、手には2つのヘルメット。
ふむ、パターン2だ。
さっと着替えを用意して、家を出る。
こっそり抜け出すつもりが、何故かいつも親にばれるので今日はあらかじめ報告。
向かう先は駐車場。
行き先は有馬温泉に決まっていた。
ヘルメットを被り、後ろに跨る。
国道2号線から山道へ、料金所を通って六甲山トンネルへと風景が変わっていく。
むわっと生暖かいトンネル、つんと冷気で肌が緊張する瞬間。
風の切る音しか聞こえない。
ヘルメットがずれて視界が見えにくくなる。
思いのほか早く、30分ほどで有馬温泉に着く。
広々とした浴場は快適で、昨日よりサウナは暑く水風呂は冷たい。
体を洗って、露天風呂に3分つかって、泡風呂を1ターン終わる前に抜け出して、さっさと体を拭く。
"奴"は煙草を吸い、自分はフルーツオレを飲んでから帰路につく。
道は行きと同じだが、帰りは神戸の夜景が見える。
じゃあなと言って"奴"と別れ、家に着く。
明日は大学の成績開示。
次に"奴"がくるのはいつだろうか。