ブッシュ大統領がいう「新たな枠組み」とは?
2001.05. 3 Web posted at: 4:23 AM JST (1923 GMT)
(CNN) ブッシュ米大統領は1日に行ったミサイル防衛に関する演説で、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に変わる「新たな枠組み(a
new
framework)」を構築することを提案した。中身については具体性に乏しく、これが何を指すのかは明らかではない。ただし、ABM制限条約の「修正」は米ロ両国の議会の批准が難しいとの認識から、あえて「新たな枠組み」という言葉を選んだようだ。ABM条約の「修正」はせず、まったく新しい枠組みを、ロシアとの協力の上で、大至急作り上げたい考えだ。
ブッシュ大統領は演説の中で、「ABM制限条約に変わる新たな枠組みを構築し、過去と完全に決別しなければならない」と述べている。これは、ロシアとの協議で条約の修正に含みを残していたクリントン政権から、明らかな方針転換といえる。条約は「修正」しないという意志表示だ。ここで「新たな条約」と言わなかったこともポイントの一つ。条約の修正や新条約の締結には、両国とも議会の批准が必要になる。ブッシュ大統領は注意深く言葉を選んだ。
ブッシュ演説は、「ロシアはもはや敵でない」「一緒に核脅威と戦おう」と同国に対し友好的なメッセージであふれている。すでにロシア政府筋は「(米ロの)戦略的安定について対話の道を開く、建設的な部分もある」と、一定の評価を示している。プーチン政権と良好な関係を維持しながら、保守派が根強いロシア議会での議論を避け、早期に「新たな枠組み」を作り上げようというのが、とりあえずの戦略だろう。
一方、この「新たな枠組み」に疑心暗鬼になっているのは中国だろう。演説のかなりの部分が冷戦後のロシアの変わりぶりに当てられるなかで、中国については、ほとんど触れられていない。そこには「戦略的パートナー」として関係を深める中ロ関係にくさびを打とうというブッシュ政権の意図も読める。中国側はミサイル防衛構想が台湾にも適応されるのではと過敏になっているうえ、この問題で米ロが協調路線を歩めば、孤立が避けられない。
この「新たな枠組み」が何を指すのか、ブッシュ政権内でもその具体的中身を詰めているのかについては、見方が分かれている。ただ、ミサイル防衛について、ブッシュ政権は2004年までに一部実戦配備を目指している。そのためには、「新たな枠組み」について、ロシアのほか欧州とアジアの同盟国から大至急、理解を得なくてはならない。「新たな枠組み」の中身が見えてくるのも、そう遠くではなかろう。
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