Sub:米国、020628、消費者団体がアクリルアミドを食品から検出と発表
<要約>
米国の消費者団体である公益科学センターは、6月25日、米国の代表的な食品から高いレベルのアクリルアミドが検出されたとするプレスリリースを発表した。
<本文>
公益科学センター(CSPI:Center for Science in the Public Interest)が食品から検出したとするアクリルアミドは、接着剤や塗料等として使用される化学物質で、国際がん研究機関(IARC)では2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類されている。食品中のアクリルアミドの存在については、今年4月にスウェーデンの国立食品庁(NFA)とストックホルム大学によって、ポテトチップス、フライドポテト、ビスケット等の調理済み食品から検出されたとの発表がなされていたが、今回は、CSPIが独自に米国の代表的な食品をピックアップし、それらに含まれるアクリルアミドの量を測定したものである。
CSPIの調査によれば、あるメーカーのシリアルは1オンス(約28グラム)当たり、6マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)を、ファストフードのフライドポテトはLサイズ(5.5〜6.2オンス)で、39〜72マイクログラムのアクリルアミドをそれぞれ含有していた。フライドポテトのアクリルアミドの含有量は、環境保護庁(EPA)が認める「コップ1杯の水に含まれる許容量」の少なくとも300倍であるとしている。生やゆでたジャガイモからは検出されなかったことから、でんぷん質のものを揚げる、焼く等により高温で調理した場合にアクリルアミドが形成されるものと考えられている。
CSPIは、さらなるテストがなされるまでの間、食品医薬品局(FDA)は、最も汚染され、かつ、最も栄養価の低い食品について、摂取を止めるか摂取量を減らすようアドバイスをするとともに、アクリルアミドの形成の防止策を研究すべきであると主張している。
これに対して、全国食品加工業協会(NFPA:National Food Processors Association)は、「世界の科学者の結論は、アクリルアミドの存在をもって食生活や食品の加工方法を変える必要はないというものである」「最近の研究結果は重要なものではあるが、消費者に食生活の大きな変化を勧めるものではなく、むしろバランスの取れた健全な食生活を勧めるものである」という趣旨のプレスリリースを発表した。なお、プレスリリースは、NFPAのWebサイト(http://www.nfpa-food.org/)に掲載されている。
[WHOは専門家会合を開催]
世界保健機関(WHO)は、4月にスウェーデンの研究結果が発表された際、NFAの「食生活に関するアドバイスを変更するためには、さらに多くの知識が必要」とのコメントを引用した上で、アクリルアミドについては、断片的な情報と動物実験での発がん性しか証明されておらず、科学的な知見を収集することが必要としていた。その後、英国やノルウェー等でも同様の研究結果が発表されたことから、WHOは国連食糧農業機関(FAO)と合同で、6月25日から27日までの間、これらの研究結果や今後の対策を検討するため、科学者による非公開の専門家会合を開催した。
専門家会合は、調理の過程でのアクリルアミドの生成原因の研究、アクリルアミドのヒトに対する発がん性についての疫学的研究、ヨーロッパや北米以外の食物におけるアクリルアミドの含有に関する研究がさらになされるべきであると勧告した。
なお、WHOは、アクリルアミドについてのコーナーをウェブ上に設けている。(http://www.who.int/)
でんぷん質を調理により加熱するという行為は、私たちが長らく日常的に行ってきたことでもあり、今回の事をもって食生活を劇的に変化させるなど過剰な反応をすることが賢明とは思えない。むしろ、できるだけ早期に科学的知見が充実し、それに基づいた対策がとられることが望まれる。今後の研究および議論の進展が注目される。
※プレスリリースは、公益科学センターのWebサイトに掲載されている。(http://www.cspinet.org/)