家庭教育・学校教育とダイエット番組問題   

高槻社会保険健康管理センター     徳永勝人

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 ダイエット番組問題の根は深い。家庭や学校で、基本的な食生活のあり方や最低限のモラルについて十分な教育がされていないのではないだろうか。しっかりとした食育がなされていれば、ダイエット番組を簡単に信じ込むことはないであろう。最低限のモラルについての教育が十分なされていれば、事実を曲げたダイエット番組も作らないであろう。

私たちは内臓脂肪蓄積と生活習慣との関連について厚生労働省(松澤班)で全国調査をした。792名にCTスキャンを施行し、内臓脂肪と食生活との関連を調べた。結果は内臓脂肪蓄積者では間食が多く、お腹が満足するまで食べるという、食べ過ぎがもっとも大きな原因だということがわかった。

 食材については、内臓脂肪型肥満者ではアイスクリームが好きな人が非常に多かった。どんな食材でもカロリーの多いものを食べると太る。逆に内臓脂肪にいいのは緑黄色野菜のみ有意差がでた。緑黄色野菜は食物センイが多いことと、カロリーが少なくお腹が一杯になり、カロリーの多い物がたくさん食べられなくなることが一因かもしれない。

海藻、こんにゃく、きのこ類は内臓脂肪にいい傾向はあったが有意差はでなかった。約800名でも食材で統計学的に有意差がでることは少ない。肥満研究者はどの食材がいいとはなかなか断定できない。

私はメタボリックシンドロームについて、医療関係者より一般の人に対して講演することが最近多くなった。平成181022日広島県立庄原格致高校同窓会で「内臓脂肪と生活習慣病」について大阪で講演した。

父(写真)は旧姓甲元久人といい小学校の教師をしていた。父の教え子だという方が何人かおられた。「甲元先生は目の大きな、声の大きな先生で・・・」戦前の担任でない女子組の生徒さんも、私が甲元先生の息子さんということで来られていた。

平成1811月4日庄原格致高校同窓会総会で「生活習慣病ーメタボリックシンドロームを中心に」を広島県庄原市で講演したが、その時も「甲元先生にはお世話になりました」と言われる方が何人かおられた。

私は父の歯科医の姿しか見ていない。亡き父は80歳で病に倒れるまで歯科診療をつづけた。父は教師時代、生徒さん達に強烈な印象を与えていたのだろう。60年以上経ても、父の姿は生徒さん達の心の中に残っている。学校教育の影響の深さを感じた。

父の本棚には吉川英治の分厚い太閤記と三国志がずらりと揃えてあった。私が小学生の頃、寝るときには毎晩そばで子守歌を唄いながら、話をしてくれた。

「人生いたる所青山有り。どこに行っても、その場その場で、できるだけのことをして生きていけばいい」
 「欲しい本はいくらでも買ってやるから本は借りるな。酒や博打で身上をつぶした人はいるが、本代で身上をつぶした人はいない。本を買って置いておけばいつでも読める」
 「吾れ唯足るを知る。あまり欲を出すな」
 「どんな女性も親にとってはかわいい娘だ。女性を傷つけるな」
 「やさしい性格の人は、大将には向いていない。三国志に出てくる諸葛孔明のような参謀か、弁護士か医者の自由業がいい」
 「人の評価は気にするな。世の中にはいろいろな人がいるから、全ての人を満足させることはできない。自分がいいと思ったことをやればいい」
 「男子一生の仕事を持て」
 「仕事をしすぎて亡くなる人はあっても、勉強をしすぎて亡くなる人はいない。仕事は自分からは止められないが、勉強は自分でやるものだから疲れてきたら自分で止められる」
 「いじめられた時は戦え。こちらが怖いと思ったときは、相手も怖い」
 「他人を誹謗、中傷するな。自分に返ってくる」
 「お金は世の中で一番大切なものではない。お金があっても使わなければ無いのと同じだ。生きたお金を使え」
 
 父は教師時代、同じようなことを生徒達に教えていたのかもしれない。父は私が中学の時、体を鍛えろと庭に鉄棒を作り、キャッチボールもしてくれた。

平成の時代、父親の中には仕事が夜遅くまでかかり、子供たちの寝顔しか見られない人も多いのではないか。昭和30年代に比べ物質的には豊かになったが、心が豊かになったと実感できない。

高槻の冬は寒い。札幌や山形はもっと寒いだろう。高槻は阪急富田駅から100mの市街地にある小寺池がいい。小寺池図書館の奧に小寺池がある。池には100羽ほどの真鴨が泳いでいる。中央の大きな木には20羽の白鷺が留まっていて、時々大きな羽を拡げて木の上を回る。淡い夕焼け空を見上げると飛行機が東の空に飛んで行く。

いつの時代も自然は変わらない。家庭や学校での教育の重要性も変わらない。家庭で親と子が触れ合える、学校で教師と生徒が向き合える、ゆっくり流れる時間がとれる社会のしくみを作って欲しい。(2007.02.14)

徳永久人先生
徳永勝人センター長
(とくなが かつと)
医学博士
内臓脂肪型肥満の発見者,
標準体重(kg)
=身長(m)X身長(m)X22
の考案者として知られる

1968年
広島県立庄原格致高等学校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業
大阪大学第2内科入局
1983年
米国 南カリファルニア大学研究員
大阪大学医学部 第2内科講師,
市立伊丹病院内科部長を経て
2005年
高槻社会保険健康管理センター
センター長就任

日本肥満学会
肥満症診断基準検討委員会委員
肥満症治療ガイドライン検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
「臨床栄養」2007年1月号
目でみる臨床栄養学
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