高血圧とアディポネクチン
           
高槻社会保険健康管理センター     徳永勝人
ダイエット番組と
へき地医療
肥満症治療ガイドライン2006の
ワンポイントアドバイス
2型糖尿病
ワンポイントアドバイス
少子化問題と
メタボリックシンドローム
高血圧
メタボリックシンドローム
と ストレス
メタボリックシンドロームと
健診・保健指導
肥満児教育と
メタボリックシンドローム
家庭教育・学校教育
とダイエット番組問題
肥満格差社会と
メタボリックシンドローム
.メタボリックシンドロームと
国際肥満学会最高賞
.メタボリックシンドローム
と喫煙
企業の品格と肥満問題 高血圧とアディポネクチン メタボリックシンドロームと運動 健康寿命と
メタボリックシンドローム
やせ薬と肥満 日本人気質と標準体重 地球温暖化と
肥満・2型糖尿病
内臓脂肪型肥満の発見
とイノベーション25
メタボリックシンドロームの
ワンポイントアドバイス
日の丸・上弦の月と高血圧 糖尿病教育と
自治体病院
.
終末期医療と
メタボリックシンドローム

 平成19年1月13日、第20回西川光夫賞が市立泉佐野病院の大橋浩二君に授与された。今回の受賞は高血圧とアディポネクチンとの関連を明らかにしたものである。肥満高血圧モデルのマウスにアディポネクチンを補充すると高血圧は有意に改善すること、このアディポネクチンの降圧作用はインスリン抵抗性を介さないことを示した。

故西川光夫大阪大学第2内科教授は東京大学第3内科から新潟大学第1内科を経て大阪大学に来られた。

西川先生はCTスキャンのない時代、ハンマー一つで神経疾患や脳梗塞の部位を診断されるテクニカルな面で評価されがちだが、飢餓や栄養不良が問題になっている時代、1963年に大阪大学で肥満外来(初代石川勝憲先生)を開設されるという先見の明があった。この小さな種が、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の概念が日本で確立され、花開いたことに結びついたのではないかと思う。

西川先生は優れた臨床家であるとともに教育者でもあった。どんなに安定している患者さんでも、重症患者と分け隔てすることなく、同じ時間を費やして回診された。

西川先生は最後の回診の後、詰め所で小さなテーブルを囲んで、軍医時代のこと、戦場では弾の飛び交う最前線でも外科疾患より内科疾患が多いことなど話された後、私たち研修医に外の病院に出てからの心構えを話された。

「受け持ち患者が多くなりますが、山を一つ創りなさい。広く浅くもいいですが、何か一つ山を創りなさい。何でもいいから興味のあるもの一つについて富士山を創るんですよ。一つ高い山ができれば、裾野は拡がりますよ。富士山の裾野は広いでしょう。どんなに忙しくても、何か一つ山を創りなさい。」今でもよく、この時の穏やかな笑顔と言葉を鮮烈に覚えている。

流行に乗った研究は、世の中が変わればたちまち忘れられる。それに反して、生涯を不遇に終わっても、今なお受け継がれていく先覚者の成果の数も少なくない。西川先生が肥満外来を大阪大学で開始されていなかったら、世界のメタボリックシンドローム研究の歴史は大きく変わっていたかもしれない。

たまにはヘリコプターに乗って、富士山が創られていくのを眺めるのもいい。(2007.01.18)

徳永 勝人
徳永勝人センター長
(とくなが かつと)
医学博士
内臓脂肪型肥満の発見者,
標準体重(kg)
=身長(m)X身長(m)X22
の考案者として知られる

1968年
広島県立庄原格致高等学校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業
大阪大学第2内科入局
1983年
米国 南カリファルニア大学研究員
大阪大学医学部 第2内科講師,
市立伊丹病院内科部長を経て
2005年
高槻社会保険健康管理センター
センター長就任

日本動脈硬化学会評議員
日本糖尿病学会評議員
日本肥満学会
肥満症診断基準検討委員会委員
肥満症治療ガイドライン検討委員会委員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
「臨床栄養」2007年1月号
目でみる臨床栄養学
メタボリックシンドローム