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飲んだくれの父、じっと耐える母、フランク少年と幼い弟たち。30年代のアイルランドに生きた、ある少年の過酷な記録
世界中が不況にあえぐ1930年代。未来を夢見てアイルランドからNYへ渡ったマラキとアンジェラは結婚し、フランク、マラキジュニア、双子のオリバー、ユージーン、マーガレットの5人の子どもに恵まれる。しかし父親に仕事の口はなく、わずかな失業手当も酒につぎ込んでしまう始末。そんな満足な食事もできない生活のなか、マーガレットが死んでしまう。打ちひしがれた家族はアンジェラの実家を頼ってアイルランドに戻るが、家族の仕打ちは冷たい。食べるものもなく、双子の弟たちも次々に死ぬ。愛する子どもたちのために、母親はプライドを捨てて教会で施しを受けるが、父親はますます酒に溺れていくのだった。
自らの貧しいアイルランドでの少年時代を綴った、ピュリッツァー賞受賞のフランク・マコートの同名ベストセラーノンフィクション小説を、『エビータ』のアラン・パーカー監督が映画化。映画ではフランク少年がアメリカに旅立つまでを描く。でもこの物語は続きが。81年に母のアンジェラがこの世を去り、フランクと弟のマラキはその遺灰を故郷アイルランドに持ち帰った。これがタイトルの由来である。
伊達者で、道に落ちた炭を拾うことさえしないプライドばかりが高い父親をロバート・カーライルが絶妙に演じる。現実の情けなさに耐えられず酒に溺れる彼を、それでも愛する母親のエミリー・ワトソンもさすがの演技。月明かりに照らされ、フランクと弟の姿がシルエットで浮かび上がるラスト・シーンが美しい。
(映画生活より) |