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1日10分 脳の疲れを取る瞑想座禅2015年5月
インドで「ヨガ・瞑想」、中国で「気功」、日本で「座禅」と呼ばれている行法は目指すところは皆同じで、古来から「脳の疲れを取る方法」として広く行われています。この拙文はこの「脳の疲れを取る行法」のポイントをできるだけシンプルにお伝えして、複雑な現代を生き抜く糧としていただくことを目的としています。
1,瞑想とは何か 瞑想で到達できる境地を気功では「入静」と呼んでいます。「入静すれば<目覚めていながら>精神を休ませることができる。精神の休養は、大脳皮質の抑制活動過程であり、<長期の>自己鍛錬による抑制である」(『みんなの気功』、ベースボール・マガジン社、13頁)と北京中医研究院のフー・ビン教授は述べています。そして入静することで「身体を保護し、消耗・疲労した神経機能を調整・回復させて外部から入ってきた要素<情報刺激>が次々と増幅する悪循環を阻止または軽減できる」としています。さらには「<大脳>皮質をコントロールして、内臓の失調現象を徐々に正常に向かわせ、…病気を克服し健康を回復する」(13頁)ことができるのです。 なぜ瞑想=気功=座禅は大脳・精神を休養させることを目的としているのでしょうか。フー・ビン教授によれば「多くの慢性病は、大脳皮質の過度の緊張により機能に混乱が生じ、…機能失調におちいるために起きる。高血圧、動脈硬化、胃・十二指腸潰瘍、神経症<不眠症>などは皆、神経の過度の緊張と関係している」(28頁)からです。 まるで万能薬のような「瞑想・入静」ですが、それは「たゆみない鍛錬によってようやく得られる効果」(59頁)ですので、あせらずに毎日、できれば1日おきでも10分以上の瞑想を心がけていただければと思います。 筆者自身も瞑想座禅ではまだ入門者ですが、一度、入静した状態を体験したことがあります。まるで深い森の中の湖に向かい合い、そこからの涼しい風を額に受けているような感じがしたものです。
2,瞑想の準備 瞑想の準備は、静かで風通しのよい場所を探し、そこに厚さが5〜10センチほどのクッションや座いす、二つ折りにした座布団などを敷きます。そのクッションに尻だけを乗せ、足はクッションに乗せずに床に着けておいてください。
3,姿勢の準備(調身) 脚は、あぐらを組み、下にある方の足を反対側の足の太ももの上に置き直します。つまり「曲げにくいほうの脚を曲げ、反対側の脚の付け根の下に敷く。もういっぽうの脚をその上にのせ、下腹にできるだけひきつける<半跏趺座(はんかふざ)>。…両手は<手のひらを上に向けて>印を結び<下図>、ひざの上に置く。背すじを伸ばす」(『ヨガの喜び』、沖正弘、光文社、90頁)ようにしてください。姿勢を正しくすることは、早く入静できるポイントになります。
半跏趺座
4,呼吸の仕方(調息) @口を閉じ、鼻から息を吸います。この時、吸った息で「胸は左右に広く広げて持ち上げる」(『ヨガ』、86頁)ようにしてください。また胸を広げるのと同時に背筋もピンと伸ばしてください。「自分の頭のてっぺんで天をつきあげるつもり」(〃)になるくらいです。 A吸った息で胸を大きく広げたら、次は「腹を上下に伸ばしてひっこめぎみに」(87頁)して、薄く開けた口から息をゆっくり吐いていってください。この時、腹を少しずつ内側に引っ込めていくつもりで、腹の力で空気を押し出すイメージです。決して力まず、吐く息とともに力を抜きながら息をゆっくり静かに吐き出してください。呼吸が整ってくると、吸気も呼気も鼻から行われるようになります。
断食して瞑想中のブッダ像。背筋を伸ばし、吸う息で胸を大きく膨らませ、腹をへこませて
5,脱力の仕方(調心) @吸った息を鼻からゆっくり吐き出す動作を3〜5回くらい繰り返すと、からだが慣れてきて、楽に息を吐き出せるようになります。そうなったら、からだから力を意識的に抜いていきます。「自分に暗示をかけるとよい。頭の力がぬけた、手の力がぬけた、<脚の力がぬけた>というようにつぎつぎと自己暗示を加え、しかも頭の中で映像化してそのつもりになる」(241頁)ことが大切です。いま脱力している身体の箇所をイメージしながら、そこの力を息といっしょにゆっくりはき出していく感じです。 A筆者は「頭部」「眼筋」「口筋」「首」「肩」「上腕」「下腕」「手のひら」「背」「腰」「太もも」「膝」「下脚」「足」の順に、上から下へ順番に力を抜いていきます。まず頭部の脱力を2〜3回行い、終わったら眼筋に移ります。そして最後の「足」が終わったら、また「頭部」に戻って脱力を何度も繰り返していきます。 B「よく足がしびれるとか、腰が痛む、肩がこるという訴えを受ける。こういうときは、いちだんと頭をひっぱる気持ちになること」(87頁)で改善されていきます。 Cこうして手足の力を抜いていくと、「全身の筋肉が呼吸作用の協力で統一されて」(241頁)、まるで手足が無くなって「だるま<達磨。中国禅開祖のインド人>」のようになった錯覚がおきてきます。また呼吸は、「深く、静かで、…呼吸していることも感じないほどに」(244頁)なってきます。
6,瞑想=入静状態 背すじだけがピンと伸びて肺を膨らませお腹をへこませ、手足の力が完全に抜けてだるまのように手足の感覚が無くなり、呼吸もまるでしていないかのような状態になってくると、瞑想=入静状態に入ってきます。筆者の瞑想=入静状態の経験としては、次のような体験をしています。 @手足の感覚が無く、体が地面から浮いているような感じ A深い森の中の湖に向かい合い、そこからの涼しい風を額に受けているような清々しい感じ Bすべての物音(車の音、鳥の鳴き声、遠くの犬の鳴き声など)が平等に、しかも懐かしく聞こえてくる感じ
7,瞑想=入静の終了の仕方 身体を左右にゆっくりと振り子のようにゆすってください。これを「打ち消し動作」といいます。瞑想=入静状態から普段の自分に戻ってきます。手足の感覚が無くなっていましたので、脚はしびれていると思います。半跏趺座を解き、脚をゆっくり伸ばしてください。
8、毎日少しずつ 以上が瞑想座禅の方法です。最初はあれもこれもしなくてはならず、瞑想どころではないと思います。しかしできるだけ毎日、1日10分以上続けていると、次第に瞑想=入静状態に近くなってきていることが分かると思います。こうなればしめたものです。入静状態は筆者も1度だけ体験したことがありますが、言葉には言い表せない素晴らしい至福の状態です。一人でも多くのかたが瞑想=入静を体験して、脳の疲れを取り去っていただければ筆者としてこれにまさる喜びはありません。
以上
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