飛行場アクシデント物語 第二話 高松に行けない!
羽田空港の朝は早い。JRの始発運行も早い。だから、誰もが早 い時間に飛行機に乗れるのだろう、と思ってはいないだろうか ?関東の人はみな、羽田空港は最高に便がいいはずだ、と思っ てはいないだろうか?
□たぶん大丈夫、が間違いのもと
1995年のことだ。香川県高松市でお昼から仕事があるため、で きるだけ早く高松入りをしてほしい、とのことで朝7時過ぎの 便の航空チケットが来た。 「大丈夫かな?」とすぐに時刻表で調べたら、わが町、行田の 始発電車、当時たしか5時15分前後の高崎線に乗れば、上野駅と 浜松町駅の乗り換えを全力で走ってつながれば、どうやら間に合 いそうだった。この手の乗り換えは、得意中の得意だ。したく ないけど。
予定通り、朝早くに起きて始発に乗った。ガラガラだ。上野で 降りた。予定通り、ダッシュした。が、浜松町方面の山手線も 京浜東北線も来ない。数分待って、乗った。浜松町に着いた。 ダッシュした。が、東京モノレールはすぐには出なかった。数 分待って、乗った。羽田空港に着いて、新しいターミナルビル 「ビッグバード」内をカウンターまでダッシュした。 カウンターで一言。「搭乗手続きは終了しました」。 やられた!
「次の便は乗れますか?」と聞いたら、「すみません、午前中 の便はすべて満席です」 数年前の悪夢がよみがえってくる。即、全航空会社の空席待ち番号を引いた。5番と3番だった。約束の時間には、2社あわせ て残り3便のいずれかに乗れれば、問題ない。前回の札幌便キ ャンセル待ち経験(一便5〜10人くらい)からいって、安全な ポジションだ、たぶん大丈夫だ、と確信した。
□予想外のできごと
次の呼び出しが始まった。
「空席待ち番号1番と2番の方、搭乗口前カウンターまでお集ま りください」
「ん?ふたり?」
私は5番。届かない。この航空会社はあと1便 ある。 空席待ち3番を持っている便の呼び出しだ。
「空席待ち番号1番の方、、、、、、」
「ん?1番だけ?」
随分と湿気ってる。ここはダメだ。もう一便にかけよう。
審判の時はやってきた。 が、なかなかアナウンスがない。出発15分前にはコールされる のだが。カウンターの目の前で今や遅しと食い付いて待つ。
と思っていたら、ピンポンパンポン! 「高松行き空席待ちのお客さま、当便の空席待ちはございませ ん」
「ガーン!」
そう、突然現実はやってきたのだ。 この時、どうしても困った!という人は私1人だった。カウン ター付近には、誰もいない。閑散としたものだ。しかし、あき らめてはいけない。 地上係員の女性に尋ねた。
私「つ、つ、次の高松行きは?」
係「はい、次の高松行きは14時30分でございます。空席は十分 にございます」
私「え?じゃー、徳島行きはありますか?」
係「お調べいたします。えー、やはり午後になりますが」
私は、メロスよりも狼狽した。(わからない人、残念)
□頭に汗をかく
が、ここで私の頭の中に日本地図が巡らされた。 「そうだ、岡山だ!」
岡山から高松は、中四連絡橋でつながっていて、 直通の電車も1時間に1、2本通っている。 高松行きを逃したその場で岡山行きの便を探した、と、すぐ目の前に「岡山」と あるではないか!20分後に出発だ!約束の時間に間に合うかどうか、定かでないが、努力はしてみよう。
高松行きチケットを岡山行きに代えて、搭乗した。
岡山空港に着く。空港がまた、岡山駅まで遠い。時間があるときはともかく、空港バスなんぞに 乗ったら絶対に間にあわないだろう。四の五の言わず、タクシーに乗り込む。と同時に運転手さんに、こうリクエストした。
「高松行 きマリンライナー(岡山駅始発の直通快速)の時間を無線で営業所に聞いて!」 すると、事情を察した運転手さん、すぐに聞いてくれた ら、本当に車を飛ばしても間に合うか間に合わないか、ギリギ リの時間であることが判明した。
「運転手さん、頼むで!」
「わかりました!でも無理はできませんよ!間に合わなくても 勘弁してくださいね」
といいながら、車線変更やら割込みやら、速度オーバーやらず いぶんと無理をしてくれて、岡山駅北口到着が出発5分前。
「運転手さん、ありがとう」の御礼と「釣りは結構です」とわずかばかりの チップで、岡山駅をダッシュ。 マリンライナーに滑り込んだ私は、高松駅になんと約束時刻ピ ッタリに到着し、クライアントに迷惑をかけないですみました 。
□反省
いやはやなんとも、長い午前中のドタバタ。最初から8時台の 飛行機にしておけば、なんの苦労もなく多少の余裕をもって着 いたのに。それにしても、瞬間的に日本地図と交通経路がひらめいて、助かった〜。あきらめないことは大切なんです。