Track Town
オレゴン州 オレゴン大学ヘイワードスタジアム(University of Oregon, Heyward Stadium)
日本だけでなく、世界中の陸上競技場のほとんど(全て)は、フィールドでサッカーやラグビー、アメリカンフットボールなど、屋外でできる
複数のスポーツが使えるように設計された「多目的競技場」なのだ。
だから、例えば「熊谷文化スポーツ公園陸上競技場」と名前が付けられたって、フィールドは完全にサッカーのもの。走る練習にだって
使えない。フィールドを横切るだけでも、管理人のおじさんに文句を言われることもしばしばだ。私は素直に謝らないけど。馬鹿だ、みんな。
さて、アメリカ西海岸のオレゴン州ユージーンは、オレゴン大学のある人口14万人ほどの森に囲まれた小さな町だ。オレゴン大学の
ヘイワードスタジアムは、正に「陸上競技のためだけの陸上競技場」だ。

美しいこのスタジアムは、数年前に全面改築された。しかし、
2万人収容の観客席は木造建築による伝統を感じさせるもので、
周囲の雰囲気にあわせて意図的に作られたことがわかる。
入場して驚くことは、フィールド中央に大きくせり出した砲丸投
ピット2面の存在だ。25m近くの砲丸ピットは、観客にアピール
するには最高だ。砲丸にはさまれたやり投げの助走路もまた、
「ここで投げるんだ!」とはっきり示されている。
写真のサイドには、走高跳2面ができるようになっているが、
逆のサイドには、舗装路がない。つまりトラックまで芝なのだ。
かつて、国際陸上競技連盟は、ヤリが100m以上飛んで、し
かもヤリが刺さらずに滑ったため、危険が増してヤリの規格が
変わった経緯がある。ここなら100mヤリを投げても心配要らな
い。左右対称でない競技場は、目に新しい。いいか、悪いかの
議論は、もちろん別だ。
スタンドに集まる観客はみな、情熱的でよく競技を知っている。短距離のスタートでは
ジッと黙って集中し、幅跳びの選手の着地位置に敏感だ。砲丸の選手の回転にも拍手
を送ろうとする。

長距離の選手が目の前を通過する時には自然発生的に手拍子が起きて「俺たちがペース
を作ってやるぜ!」という熱気にあふれる。かつて日本でも1980年くらいまでは自然発生的
な手拍子があったなあ。
ヘイワードスタジアムは、国際陸上競技連盟が主催する世界最高峰のレース「ダイヤモンド
リーグ」を開催する場所でもある。ユージーンの人口からすると、こんな小さな町でいいの?
とビックリする。ダイヤモンドリーグは年間世界12箇所で開かれる賞金レースで日本では開催されない。(260万人都市大阪で開催される
大阪グランプリは、国際的にはかなり格下のレースだ)
写真にはないが、ビックリはもうひとつ。隣のウォーミングアップ場は、トラックの舗装が四角形になっている。およそ70mほどの直線4レ
ーン分あり、四角いコーナーは、あたかも体育館のランニング走路のように少しだけ丸みを帯びた直角コーナーで、全力では走り抜けられ
ないだろう。しかも、フィールド内には建物や生け垣まである。

アップ場全体を見渡す、なんて発想は、もはやない。
そんなアップ場なのに、しっかりとスタートの位置や、ハードルの
セッティングポイント、リレーゾーンなどがペイントされているんだか
ら、思わず微笑んでしまう。
ヨーロッパのレースも憧れるけど、ナイキの庇護の下にある、
ヘイワードスタジアムの「プレフォンテインクラシック」に出場したい
ものだ。