初日 初めての海外旅行  

 出発の朝はゆっくり。荷物の確認なんてくだらないことは絶対にしない。代表チームの海外遠征、当然ながらネクタイをしめ、ビシッとした格好で出発。平岩商店号に乗り込む直前、近所の人だろうか、母の知り合いの人とバッタリ。「あら、こんな大きなお兄ちゃんがいたのね〜!!」とビックリしていた。このセリフを20年間ずっと言われ続けたのでいまさら何とも思わないが、「大きな」というセリフは「大人」という意味なのか、あるいは身長180cmを指してなのかは、はっきりしない。京成八幡(注;千葉県市川市にあり成田空港まで特急で約45分)に送ってもらう最中、そればかり気になった。

  集合時間の30分前に成田空港到着。集まっている数人の姿を遠くから見ると、みなとてもラフなかっこうをしている。小心者の私は、何かいたたまれず、誰にも気付かれずにその場を離れた。そしてデッキのソファーに一人座り、「暑いなァ」といいながらネクタイをとる。そしらぬふりをしてバッグの中に入れる。「完ペキだ」再び集合場所へ行く。するとそこにはネクタイ姿の選手が数人おり、私はショックを受けたのはいうまでもない。あーなんて小心者なんだ。13時30分日本航空シンガポール行きは、サービスが行き届いていた。パーサーの兄ちゃんも、すがすがしく、好感がもてる。ところが、快適なはずのボーイング747も、きゅう屈だった。座席は普通(注;当然エコノミーです)なのだが、左となりに、ハンマー投の方がお座りになったからだ。マシよりでかい(注;マシ=当時高校で指導していたトンガ人でインターハイに出場した円盤投げ高校生)。せまい。6時間30分の旅は長すぎた。寝て、ジュース飲んで、機内食を食って、また寝て、ジュース飲んで、2時間余った。そこでビデオの映画を見て、音楽聞いて、新聞読んでさらに1時間余った。苦痛だった。小便でもしてからだを動かそうと思っても小便が出ない。仮りに出たくなっても、ハンマーの方があまりに大きく、通路に出にくい。あーせまい。

 到着。生まれて初めての海外だ!!最初の足は、右か左か、意識してどっちにしようかドギマギした。(注;当時はタラップで降りました)「よし、黄金の右だ!」と思っていたら、スチュワーデスさんが「サイナラ」と変な日本語であいさつしてくれたので「やっぱり国際線だなァ」と関心をしていたら、いつの間にか、シンガポールの地を踏んでいた。もちろん右か左かわかろうはずもない。  アホな俺。  いろいろと初めての1日目で、食べ物、飲み物などの習慣がちがい、ちょっとは気にしたが、まーそれほど神経質になるほどではない。

 ホテルの同室は400mHの上杉選手(注;当時、大京の所属選手)で同い年。好青年である。明日は7時30分集合。よし、目ざましをかけよう。ん、ない。目覚ましが、、。と思ったら、なんだ、電話の機能についているじゃないか。

 「Wake Up」ボタンを私が押す。きっとその後、ナンバーを押せば目覚ましになるんだろう。

 私;あ、誰かがでた!!「Hello!!」(ハロー)

 相手;「Hello!!」

 私;ん、女の人の声だ!外人だ!(注;現在は外国人といういい方が正しいと思います)

 相手;「Moshi Moshi」(もしもし)

 私;呼、呼んでいる。「しまった、お願い型のモーニングコールだ」と気付いた時には遅かった。

 私;「Hello, Wake up Please」(ハロー、起こしてちょうだい)

 相手;「O.K. Time?」(いいわよ、時間は?)

 私;「Seven ten, please」(7時10分よろしく)

 相手;「Room number please」(部屋番号をどうぞ)

 私;あ?隣にいた上杉選手に「部屋番号なんだ?」

 上杉;「トゥエルブ テン」だよ。

 私;「Twelve Ten」(1210)

 相手;「OK,Good Night」

 私;「Good Night」

こうして予期しなかった生まれて初めての異国人対決は無事終わったのだった。

 

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