第三日 レース  

 もう、お茶らけた「シンガポール日記」を綴るのはやめよう、と思ったくらいレースはショックだった。心構えが悪かったのだ。

 朝、ホテルから競技場専用の移動バスの中で、変なおっちゃんが通訳の女の子をからかっていた。膝の上に座れ、などというニュアンスのことをいいながら、スケベじじいぶりを発揮していた。「モア ライ ウー」何語だかしらないが、「I love you」と同じ意味らしい。面白いので、私も何回か繰り返していたら、そのスケベじじいがニッコリ話しかけてきたため、私も軽く話をした。当然80-90%は何を言っているのかわからない。 その後グランドでウォームアップをしていたら、そのスケベじじいが、女性選手を連れて指示をしている。なんと、そのおっさんはフィリピンのナショナルコーチだったのだ!!ふと女性選手を見ると、やけに美人の選手だ。

 私;「Good Morning!」

 美人;「Good Morning」

 これが愛の始まりだ!と当然感じた。二言三言話をし、すっかり仲良くなったスケベじじいとも話をしたら、彼女はすごい選手なんだ、というような事をどうやら言っている。ふーん、とその時思ったが、後のレースをしているのを見て「ピン」と来た。そう、フィリピンの超美人スプリンター・ベガ(注;当時の世界的スーパーヒロインスプリンター)ではないかあ!まだ現役だったんだ。ベガと話ができてちょっぴり幸せ。うらやましがる奴は、世界中に10億人はいるだろう。  次に語りはじめたのが、でっかい青い目のおっさんだ。やけに話をしたがる人で、タイランド(タイ)のスプリントコーチだという。400mの高野進選手(偉大な日本の陸上選手)のことを随分聞きたがっていたので、私は無茶苦茶なことをてきとうにして話をしてやった。わりと納得していたので、まーいいか、と私も思った。あんまり向こうが主導権を握って話すので、私が突然こう尋ねた。(注;向こうが主導権だと何が何だかわからない)

 私;「Where are you from?」(どこから来たの?)

 相手;「Thailand」(タイだよ)  でも君の顔つきはタイ人じゃないじゃない。

 私;「No,your country」(違うよ、君の国だよ)

 相手;「Oh! United States」(あ〜、アメリカだよ)

 私;「Oh,U.S.A!」(へー、アメリカか!)

 相手;「Yes」

 私;「What states?」(どこの州?;注;whichが適切だと思います)

 相手;「California」(カリフォルニアさ)

 私;「Are you a Track&Field coach?」(君は、陸上専属のコーチかい?)

 相手;「Yes」(そうさ)

 私;「No forlighner coach in Japan!」(外国人コーチは日本にはいないぜ)

 相手;「Why?」(どうしてさ?)

 私;「I don't know」(知らん)

 相手;「I teach sprint and weight training only」(私は短距離とウエイトしか教えないんだよ)

 私;「I see」(ふ〜ん) などと簡単な英語だけでどうにかなるもんで、10分程度の英会話が成立した。

 レースは、予選、決勝とも最悪だった。絶対に優勝すると確信していたのに2位だった。あまりに腹が立った。腹いせにホテルに帰ってから水泳をした。死ぬほど泳ごうとやっていたら、10分くらいして、おっさんが「Close」(閉めるよ)の合図。死ぬまでには至らなかった。

 夕食は昨日行った日本料理。とんかつ定食S$10(800円)、オレンジジュース、それとすしをお好みで3種類。ビールが飲めないのがつらい(注;当時は13秒台をマークするまで禁酒していた)。あー飲みたい、やけ酒できたらな、と思いながら、自分で決めたことだからおさえようと辛抱した。お愛想をする。3人でS$100(8000円)くらいだろうと、思っていたら、S$180(約15000円)。不審に思い、レシートを見てビックリ!あのなみなみとつがれたお茶も実はS$1(80円)とられているし、3人のすし代がS$126(約10000円)とは!!すしは、洋の東西を問わず高いもんだと勉強してしまいました。

 

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