出発前のできごと
2007年10月、栃木県出身のWさんと打合せをして、Wさんが11月末から台湾・台中市に仕事で行くので私も6日間同行する事が決まった。Wさんは私が出発する3週間ほど前に、Wさん自身が滞在する「Hホテル」と、家族などの関係者が滞在する隣の「Wホテル」の2つのホテル名を、電話口だけでかつ漢字で教えてくれた。
とりあえず私は、インターネットを駆使し自力でホテルの場所などを検索し、格安航空券の手配をして出発に備えた。しかし、Wさんからは電話でホテルの名前を教えてもらって以降、ホテルの場所を含めて滞在に関する他のインフォメーションを聞かされる事は一切なかった。普通の人なら、交通手段もよくわからないホテルへ向かわせるのだから、不安のひとつも覚えるだろうに。普通なら初めての知らない町にひとりで行くのだから、何らかのサポートをするだろうに。ったく。。。。。私が出発する前日、Hホテルに2日前に到着しているWさんから別件で電話がかかってきた。10分近くの打合せをしたが、やはり旅行に対しての会話はなかった。打合せが終わり、最後に電話口で私が聞いた。
私 「ところで俺はどうやって台中に行って、どうやってホテルにたどりつくのか、気にならないか?」。
Wさん 「えっ、そんなこと全然気にしてませんでした!!平岩さんが旅をするんだから、ボクからの情報なんて必要ないと思って。。。あの〜、ボク、間違ってますか?」
私 「いいや、オレの事、ホントによくわかってるな。100点満点だよ。おかげでとても楽しいよ」

11/26 旅は何とかなる
台湾の航空会社、EVA航空で台湾北部に位置する首都・台北に到着。空港の税関を過ぎて、すぐに目についた「EXPRESS BUS」の案内に沿って進んだ。今回私が滞在する台中市内のホテルは、台中駅から5キロほどの場所にあるが、インターネットで調べたところ、台北国際空港 からのアクセスが非常に難しいので、新幹線の台中駅からタクシーで向かうのが一番迷わないし、出来たばかりの台湾新幹線に乗れるいいチャンス!とプランを描いていた。
矢印に従って進むと、バスのチケット売り場兼待合室があって3つの窓口があった。漢字だらけだ。しかし中国と違って略字が少ないので読みやすい。行き先が「桃園」と書いてある窓口がなかった。「台中」と書 かれているところはあった。とりあえずここに並んで、バスと新幹線の乗り継ぎについて尋ねようとした。中国語はわからないけど、国際空港だから日本語か英語で何とかなるかもしれないし、顔も日本人顔だから大丈夫だろうと楽観視した。
私 「こんにちは、、、ハロー」
女性 「、、、、」
相手の反応がない。私を前にして 、一瞬にしてお姉さんは固まっていた。
私 (まずい!後ろに人も並ん でいるし、早く用件を済まさなければ!)
駅の窓口で切符の購入をモタモタしている人を普段好ましく思っていない私は、もちろん自分もモタモタできない。「台中」と書かれている行き先を指差し、「Train or Bus?(列車ですか、バスですか?)」と聞いた。とっさに 「新幹線」という英語が浮かばなかったのだ!(あ〜何を聞い てるんだろう、俺は!)
お姉さんは「Bus」と答え、即座にどの停留場で降りるのか地図を指差して聞いてきた。そう、ここはバス乗り場。このお姉さんはバスのチケッ トを売っているんだ。新幹線をすすめるはずがないだろう!台湾新幹線が乗れないのか、、、と瞬時に理解したが、その場を乗り切る事が最優先だ。
わかるはずもない台中のバス停を見た。全然わからない。「× ××」お姉さんが中国語でなんか言ってる。『どこまで行くの?ホテル?』とでも言ってるのだろう。
言葉はわからないのに、困っている時は不思議とよく伝わる。頭が高速回転しているのだろうか。インターネットでホテルを調べている時のうろ覚えで「中港路三段」という住所だったような気がする。私は「三段(さんだん)」と本当に小さな声でつぶやくと、お姉さんは突然大きな声で「チョウマー」 と言って停留場を指差した。
(ん〜?チョウマー?)
よく見ると、Wさんが滞在しているホテル「Hホテル」がチョウマー(朝馬)近くに小さく印字されている。急に心強くなった私はぶっきらぼうに「Wホテル」と言うと、お姉さんは「×××タクシー××」と話してる。どうやら、朝馬バス停からタクシーに乗ればいいよ、ということらしい。 270元(約1000円)でチケットと手荷物用のシールをもらい、幸運にもバスが来るまでほとんど待たずに乗車することができた。お姉さんと相対していたこの時間はおよそ2分くらいなので、いかに急いだかわかるでしょ?
長距離バスはゆったり快適シートで約2時間の旅だ。(ん?長距離バス?)そういえば空港で「EXPRESS BUS」と表記されていたんだから、自らこのバスを選んでしまったのだ! さて、朝馬に着いた。ちょっとした駐車場くらいある大きな停留場だ。 バスの胴体に入れてあった手荷物を私が受けとるやいなや、どこぞのおっさんが話しかけてきた。タクシーの運転手だった。私はあらかじめホテルの名前を書いた紙を見せると、さっさと荷物をタクシーに乗せた。
(ぼったくりタクシーじゃないか?遠回 りしてタクシー代を上乗せするんじゃないだろうな?)
海外では簡単に人を信用してはいけない。かつて台湾で味わった苦い経験が頭をよぎったが、それは杞憂に終わった。タクシーで走る事5分、最短距離で無事ホテルに着いた。タクシー120元(約450円)。 結果的に長距離バスを使ったこのルートが、一番速くて経済的だったかもしれない。新幹線はちょっと値段が高いし、1時間に1本くらいだし。