種子島ワールド

 

■ようこそ種子島へ

関東に住んでいる私には、種子島のことはようわからなかった。しかし、とんでもなく素晴らしい島だということがわかった。私の感想だけだと客観的でなくなるので、今回は観光だったり仕事だったりで近くにいた人の様子を描写しながら、種子島を語ってみよう。

 

種子島には、羽田からの直行便はない。鹿児島港から高速船か、鹿児島空港から飛行機のどちらかだ。今回は高速船トッピーに乗って種子島に上陸した。仕事で来たらしい仙台在住のSさんは「ボクはひどく船酔いするから」と酔い止めの薬を飲んでいたが、トッピーは全然ゆれなかった。しかも、Sさんはかなり夜遊びをしていたらしく船に乗るやいなや爆睡していたので、薬は全然いらなかったんじゃあないかな。船の中ではテレビ放映があって、ちょうど水戸黄門が再放送されていた。初期の頃、東野黄門様で弥七も八兵衛も健在だった。近くに座っていた広島在住のUさんは黄門様の大ファンらしく、大喜びで食い入るように見ていた。しかし、高速船が指宿(いぶすき)を通過するあたりで電波が変わって、チャンネルも突然国会中継になった。突然の出来事にUさんは、あっけにとられていたが、文句のひとつも言わず偉かった。案外、国会中継も好きだったのかもしれない。

■安納(あんのう)いも

何がびっくりかというと、安納いものおいしさ。サツマイモの一種、なんていうと罰が当たる。「おいしい」というとマックもラーメンも人によって「おいしい」のだろうけど、桁外れにおいしい。最近では蜜芋という名前でも出回っていて、いも類では比肩するものがないくらい関東では値段も高い。どのくらいおいしいのだろう?ちょうど食事をするときに一緒だった沖縄県の高校で漁業を学んだと言う25歳のAさんは、最高においしい豚しゃぶしゃぶを食べている最中に、「ちょっとこれ食べていいですか?」と安納いもを2個食べ始めた。こんなにおいしい豚しゃぶを中断してまでいもを食べるなんて、と私はおもった。しばらくしてAさんを見ると、白いご飯を食べていた。なんとご飯と一緒に安納いもを食べていた。よく食べる人だ、とおもった。私が食事を終わってもAさんは「デザートがほしいな」と言って安納いもを食べていた。胸がすくほどの食べっぷりに興味があったので、私は帰る間際に「そんなに安納いもが好きなんですか?」とたずねたら、「違うんです、安納いもがおいしいんです」と答えた。なるほど。私も、お土産は安納いもにした。家族みんな大喜びだった。

 

■熊野海岸と温泉保養センター

種子島の中央部にある中種子町に、砂浜と海岸線そして小さな島々が景観を彩っている熊野海岸というところがある。美しい場所だ。思わず車を止めて、深呼吸をしたくなる。そんなきれいな場所で、あるひとりの30歳を過ぎたくらいのおじさんに会った。死にそうなくらいヒーヒーハーハー大汗を流して砂浜の方から歩いてきて、そのまま海岸の正面に位置する温泉保養センターにはいっていった。千葉から来たというSさんは、遊び人風だったからサーファーかもしれない。温泉好きな私もすぐにはいった。300円、安い。ここは、脱衣所からも熊野海岸を見渡すことができる。景色がすばらしい脱衣所というのは、あまり聞いたことがない。海岸を一望できる浴槽は、有名な温泉場と比べるとそんなに大きくはないが、ph8.8というアルカリ性の泉質は柔らかく、充分ゆったりとはいれる。Sさんがグッタリしながら浸かっているが、彼も温泉好きなようでひたすら湯を楽しんでいるようだった。Sさんに尋ねた。「温泉はいいですねえ、お好きですか?」するとSさんは「そりゃあもう、大好きですよ。この後のお酒を考えると、たくさん汗をかきたくなるんですよねえ」。どうも真面目一筋の私にとって、サーファーっぽい人の考え方はよくわからない。

 

■千座(ちくら)の岩屋

熊野海岸の延長線に位置し、浜野という集落にある千座の岩屋はズバリ観光名所だ。長年の波浪により海岸の岩が浸食され、干潮になると姿を現す洞窟。駐車場から先は案内の表示板も無く、砂浜を歩きながらどこが入り口で、その先どうなっているのかわからない、というミステリアスな雰囲気も楽しい。偶然居合わせた福岡県出身のIさんは、「おおおおお〜っ」と言うばかり。短いながらも真っ暗で細い箇所をくぐり抜けるときも「おお〜こええ〜」の連発。感動の岩屋でも「お〜、お〜」。ジェットコースターやボクシングの試合場と同じように、理想的な効果音を演出してくれる人は貴重な存在。さっそく私はIさんに「素晴らしい場所ですねえ!」と問いかけたところ、「素晴らしい場所ですね〜」と同じ言葉がかえってきた。もしかしたら、気の利いた言葉を考えるのが苦手なのかな?

  

 

■ふれあいの里

私は、中種子町のふれあいの里という町が経営するロッジに宿泊した。ロッジといっても畳部屋2つの一軒家で、私は部屋の大きさが六畳のロッジに泊まった(他に八畳のロッジもある)。このロッジ、トイレ、お風呂、台所、洗濯機完備で町のビジネスホテルより格段によく、とりわけ囲炉裏のあるところが気に入った。ウォシュレット、乾燥機つき洗濯機、地デジテレビ、無線LAN、有線LAN完備だから恐れ入ります。この囲炉裏を囲んで、焼酎「島乃泉」をあおる。網の上にはブリかま、イカ、エビ、と種子島自慢の魚の幸。隣の棟で宿泊していた北海道にご両親が住んでいるFさんから、ポン鱈を分けていただきました。このポン鱈も炙ったらもう最高!Fさんと一緒に囲炉裏で語り合ったけど、とにかく北海道の話ししかしない堅物。種子島の話題を私がふっても、「サロマのカキが一番おいしいんだぜ〜」と吠えていた。

   

■さとうきびとかりんとう

種子島の基幹産業はさとうきびだ。ふれあいの里にある黒糖伝承館は、さとうきびから手作りで黒糖を作ることができる体験観光名所だ。雰囲気のある建物、独特のあま〜いかおり、 おみやげの黒糖、子供達もきっと大喜びのまさに南国にふさわしい時間が送れることだろう。

    

そして、安納ちっぷ、安納かりんとう、安納まんじゅう。どれもものすご〜くおいしいお菓子。ちっぷとかりんとうは種子島空港で購入しよう。まんじゅうは中種子町のお菓子屋さん「渡辺」で買うことができる。甘いものに目のない私は、すべて満足。種子島の産業、おそろしいポテンシャルを持ってらっしゃる。

 

■焼酎

鹿児島の芋焼酎ブームになって久しい。種子島の芋焼酎は、本土の名だたる有名どころをおさえて、鹿児島県の品評会では常にトップに位置するらしい。中種子町は「島乃泉」(四元酒蔵)という焼酎が作られていて、まろやかできれいな味がする。お湯割りに最高だ。中種子町の居酒屋、スナックには、他の町の焼酎は置いてない。自分の町の焼酎に誇りがあるのだ。甘露は西之表市、南泉(なんせん)は南種子町とそれぞれ有名な種子島焼酎だ。また、「安納」という安納芋から作られた焼酎もある。最高の芋から作るだけあって、コクがあってうまく、希少価値。また、種子島の隣、屋久島にも有名な焼酎「三岳」(みたけ)がある。ここの酒蔵が出す「愛子」もすばらしくおいしかった。バッタリ出会った奈良県出身のKさんは、酒が飲めないのに種子島の焼酎をお土産に80本も買ったらしい。私は「酒屋さんの焼酎を買い占めたんじゃないですか?」と皮肉をこめて聞いたのだが、「大丈夫です、酒屋さんと酒蔵にも直接行きましたから!」とニコニコ答えてくれた。彼には皮肉も冗談も通用しなかった。

 

■3万年前の落とし穴

種子島の中央部、中種子町の国道58号線沿いに、なんと3万年前の日本で最古の落とし穴が見つかった!発掘現場の教育委員の方の話によると、3万年前は旧石器時代にあたり、大陸と日本列島、そして種子島と陸続きだったそうだ。3万年前の落とし穴は直径1m、深さ140センチほど。周囲にもいくつかの落とし穴が見つかっていて調査中だ。狩猟生活をしていた石器時代の人たちは、この落とし穴でいったい何を落としていたのだろう?ウサギ?ネズミ?恐竜、はいないか。これを見ながら遠い遠い過去を想像してみるのは、とても楽しいことです。

 

■男淵女淵の滝

島全体が低い山しかない種子島には珍しい滝。島の中央部にある。滝は高低差5mくらいの上下2段、それぞれに小さな池のような滝壺があって、両方とも深い青色でとても神秘的な淵だ。滝としては小ぶりだが、かなりいい感じ。周囲の静けさと水の流れる柔らかい音。それだけでも優しい気持ちになれる場所です。あまり水量が多くはないので、夏に来たら、上から飛び降りて深い淵にザッボーン!これは面白そうです。

 

■モンステラ

種子島でも珍しい果物(?)モンステラ。水芭蕉のように白い花が咲いて、2年後に実がなる。そのまま数日間置いておくと、表面の皮が勝手にポロポロと剥がれ落ちてきたら食べ頃。つまよう枝でほじりながら食べると、これまた珍味。バナナとパイナップルの中間のようなおいしい味でした。不思議な果物をいただき、池田さんありがとうございます。

■鉄砲伝来 門倉岬

1534年日本の戦国史を変える要因ともなった鉄砲が、種子島の門倉岬に漂着した。ポルトガルの鉄砲ばかりが有名だが、実際のところこの船は明の貿易船で、その中に乗船していたポルトガル人によって鉄砲が伝わったというのが本筋だ。その後あっという間に織田信長を筆頭とした戦国武将に「種子島」は広まるが、ポルトガル語→種子島弁→関西弁、と通訳が必要だったのかと思うと、苦労がしのばれる。「embora seja assim→じゃばっちぇ→せやけども」という具合に。漂着したと思われる場所を眺めていたら、はるか南方に向かって鉄砲を構えて動かないツーリストと出会った。北方を守るため、鉄砲を学びに来たらしい。今時殊勝な若者だと思った。

■じゃばっちぇ

「いや、でも」というような言い訳を意味する「じゃばっちぇ」は種子島弁でもあり、また、種子島では悪のヒーローでもある。個人的には、離島戦隊「タネガシマン」よりも好きだ。じゃばっちぇは、意外なほど回りの空気を読んでいる。じゃばっちぇは、意外なほど物分りがいい。じゃばっちぇは、けっこう悪いことができない。じゃばっちぇは、解決に結びつくための問題提起をする。そんな悪役を見ていると、拍手を送りたくなるのだ。子供はタネガシマンが大好きでも、大人の多くはじゃばっちぇのファンになってしまう。私も悪の虜になったひとりだ。21世紀はじゃばっちぇを、チェック!

 

NEW!■宇宙センターとロケット

種子島最大の見所は、種子島宇宙センターだ。青い海、青い空、そして発射台。世界で一番美しい発射台、といわれるのはうなずける、魅力満点の観光スポットだ。まずは宇宙センターに入場しよう(入場無料)。東京だったら入場料1000円でもありがたいくらい非常に見ごたえのある資料館だ。ロケットや人工衛星の実物大の展示はもちろん、臨場感あふれる素場らしい内容で、じっくりまわれば2時間はかかる。また、宇宙センター受付でバスツアー施設見学(1日3回くらい)に申し込むことができる。打ち上げられなかった実際のロケットや管制センター内部、発射台近くまで行けるという、これで無料なの?というくらい充実している。また、美しい砂浜にある階段状の建物・報道センターからの眺めも素晴らしいの一言。JAXAの皆さん、がんばってください。

  発射直前だ!