マッケンジー川



「北の大地を流れる川で、毎日釣りをしながら、旅したい」という子供の
頃に漠然とした夢があった。釣り三昧の生活に憧れていたくらいの釣り
キチで、特に、サケやマスを釣りながら、カヌーで移動していく雑誌のグラ
ビアは、印象的だった。成長するにつれ、いつしか忘れてしまっていたけ
ど、アラスカ・カナダへ行く時に、蘇った。

北極海に注ぐマッケンジー川は、途中に滝がないこと、毎日釣りができ
そうだということで、決めた。出発地のフォートプロビデンスでの歓迎は、
黒熊だった。道路わきで、イチゴを食べていた。銃も熊よけスプレーも
持っていなかった。仕方なく、フライパンを叩いた。

熊対策に不安があったけど、川の流れに乗ってしまうと、心配は岸に置き
去りだ。最初にキャンプした島で、早速竿を振った。すぐに手ごたえがあり、
カマスに似たノーザンパイクが釣れた。たくさんある流木を集めて、白樺の
皮を着火材にして、焚き火を始めた。小麦粉を練ってパンを焼き、釣り上げ
たパイクは、アルミホイールに包んで、焚き火の中に入れた。

インディオのフィシュキャンプに、一週間滞在した。夏の間、魚を取りながら
過ごしている。取った魚は、燻製にして冬の保存食にする。イチゴ狩り、
流木拾い、ヘラジカ狩り、網上げなどの仕事を手伝った。出発する時、
食べ切れないくらいの、燻製を持たせてくれた。

8月中旬を過ぎると、白夜だった空に闇が戻ってきた。川の流れに
まかせて、一晩中カヤックの中で寝転んでいた。薄暗い空が揺れて、
踊り出した。生まれて初めて見たオーロラだった。

北極海まで抜けるつもりだった。しかし、連日の強風と本降りの雨のため、
河口域のイヌビックでマッケンジーの川旅を終えた。
もっと、旅がしたかった。そこで、帰路の途中であるホワイトホースから、
350km、8日間のユーコン川の旅も楽しんだ。


マッケンジー川の写真・地図            トップページに戻る     

川下りの準備                ユーコン川