GBBF - Great British Beer Festival
世界最大のパブと言われるビールのフェスティバル
| CAMRA (Campaign for Real Ale) 主催による
Great British Beer Festival は毎年8月にロンドンで開催されるビールの
フェスティバルです。(今年は8月6日から) 英国のリアルエールが約400種類、外国のビールが約200種類(20以上のビアスタイル)集まり、5日間の開催期間になんと4万4千人以上もの人々がヨーロッパ中、または他大陸からはるばるやってくる大規模のフェスティバルです。最終日にはほとんどのビールが売切れてしまうほどの大盛況ぶり。 私はここで毎年働いており、今年で5回目になります 。このフェスティバルのために働いている人は全員がボランティア。始まる前の週から準備(セットアップ)する人たちをはじめ、開催中に働く人々、終わってからの数日間片付け(テイクダウン)をする人たちまで千人 以上の CAMRA メンバーがそれぞれ、自分の役割を果たしています。これが25回目を迎えるとは、メンバーの熱心さに感心してしまいます。 GBBF にかかわった一人として、私の目から見たフェスティバルをご紹介します。 |
![]() |
前日の様子
|
今回は初めて開催前日にロンドン入りしたので、会場(オリンピア)をちょっとのぞいてみることにしました。スタッフ専用口から入り、スタッフ事務局で名札をもらいます。
おや、今年はスタッフTシャツが配布されるらしい。早速もらいに行って「私のサイズある?」と聞きました。(あるはずがない。)「ええっと、一番小さいサイズがMだけど、キミにはワンピースになりそうだね。」...やっぱり。大きいのは XXXL まであるのに。とりあえずMをもらっておきました。「明日から着てね。」「OK!」 私が働くセクション「Bières Sans Frontières 略して BSF」のバーに近づいていくと、マネジャーのイアンがいち早く気づき、カウンターを乗り越え、両腕を広げて迎えてくれました。「またあえて嬉しいよ、ヒサコ!」そう、私はここのビールオヤジ達のアイドルなんです。ビール腹のおじさんたちと「ハロー」とハグをすると、周りは「ほら、ヒサコは腕が周らないだろ」と自分のお腹のことは棚に上げ、楽しそうに笑っているのです。 右の写真はアメリカからこのために船に乗ってやってきたカスクエールがずらーっと並んでいるところです。カスクの周りに水を通したパイプをめぐらせ、その上から断熱のカバーをかけて温度を保っています。バーカウンターに見えるのはもちろんハンドポンプ。ガスの圧力を使ったサービングはしません。
会場には、まだまだフォークリフトが動き回っていて、力仕事がたくさんあります。一方、各バーの責任者は細部の入念なチェックをして周ります。私達のバーマネジャーを務めるイアンは、あまりの忙しさに依頼されていたチャンピオンビアのジャッジ(審査)を忘れたくらいでした。私は一通りおじさんたちに挨拶をして、邪魔にならないようにさっさとその場を去りました。「じゃ、また明日!」 |
![]() |
当日会場前の様子
|
一般向けの会場は夕方5時です。私達ボランティアは午前中から入り、価格表のボードを作ったり、ボトルを並べたり、最後の準備をします。次々とボランティアの人たちがやってくるので「やあ、今年も来たね。元気だった?」と挨拶、おしゃべりをしながら、「あ、仕事しなくちゃ。じゃ、また後で。」と、なつかしい面々とちょっとした会話を楽しむときでもあります。 ちょうどこのころ今年のチャンピオンビアの審査が二階の一室で行われているところです。一般会場前には、メディアとトレード関係者が出入りし、商談や取材をしています。 スタッフであることを利用して私は会場内をうろうろ見て回りました。2階のギャラリーでは、ポスターのモデルの女性がいて、同じポーズをとって撮影をしていました。するとだれかが声をかけてくるではありませんか。「ハロー、ヒサコ。」一緒に働いているイタリア人達でした。あんた達もサボってこんなとこにいるのね。「去年のモデルより今年のほうが好きだな。」やっぱりイタリア人はこうです。 この後2時半から、2002年 CAMRA チャンピオンビアの発表が行われる予定です。ちょっと時間があったので今のうちにスタッフ専用食堂で軽く腹ごしらえ。やっぱり、イギリスの食べ物はまずい。 |
![]() |
チャンピオンビア発表
| 審査員の一人でもあるビアライターのロジャー
プロッツ氏が会場内に設けられたステージで「英国チャンピオンビア2002」を発表しています(写真左)。今年はエジンバラにある Caledonian
ブルワリーの Deuchars IPA が見事、スコットランドから初のチャンピオンビアに輝きました。写真右は受賞の言葉を述べているところ。 おしゃべりでも有名なプロッツ氏、発表の前にいろいろと前置きがありました。閉鎖される Brakspear ブルワリーについて。これはすぐ後に分かるボトルコンディションビアの銀賞に選ばれたところでもありました。CAMRA の人々はこのような問題に非常に関心があり、これまで実際に、いくつかのブルワリーを閉鎖から救ったこともあります。 全チャンピオンビアのリストは |
![]() |
![]() |
チャンピオンビア テイスティングに参加
|
発表から4時間後に行われたテイスティングに参加しました。審査員、プレゼンターでもあった、プロッツ氏によるものです。会場のインフォメーションで「テイスティングの集合場所はここでしょ?」と聞くと、そのおじさんは「そうだけど、きみ行くの?本気?」と聞き返す。「なんで?」と私。「彼(プロッツ氏)はよく喋るからね。眠っちゃうぜ。」...さあ、どうでしょうか。 30人ほどの参加者がずらーっと並んでいます。あ、毎年来る顔見知りのお客さんもいる。目で挨拶した。さて、テイスティングは各カテゴリーごと(マイルド、ビター、ベストビター、ストロングビター、スペシャリティビア)に行われました。 一番楽しみだったのはマイルドです。その名の通り、ビターに比べて苦味の少ないマイルドなエールです。この生産量の少ない(全体の約10%程度)スタイルの、しかもチャンピオンビアを味わえるとは、なんと幸せなことよ。その他どれをとっても上面発酵独特のアロマが素晴らしく、一口に英国のエールとは言っても、こんなにもそれぞれ違った特徴があるものかと改めて実感した時でもありました。来年は私の好きな Fuller's ESB に金賞をとって欲しいな。 さて、プロッツ氏はというと、それぞれのビールの解説も詳しくしてくれ、参加者の質問にも丁寧に答えてくれるという、全く威張ったところのない非常に好感の持てる人物でありました。 |
![]() |
さあ、お仕事
|
8時を過ぎて、お客さんもどんどんやってきました。私は去年までドイツ、チェコのバーで働いていましたが、今年はベルギー、オランダのバーにしてもらいました。理由は、うちでも(私はミュンヘンに住んでいます。)ここでもドイツのビールじゃ目新しいものもチャレンジもないからです。うわっ、空のグラスを持った人々がどんどんやってきます。 最初はベルギーのビールにもイギリスのお金(ポンド)にも慣れておらず、もたもたしてましたが、毎年やってくるおなじみのお客さんと話したりしているうちに、少しずつ調子が出てきました。ロンドンに来る前にベルギーに寄ってきたのも良かったかもしれません。ベルギービールの話題には事欠きませんでした。 このバーにやってくるお客さんの目当ての一つは、カンティヨンの2年物のランビックとクリーク(どちらもドラフト)です。注文の仕方がさりげない人は大抵、この味が好きな人なので言われたまま注ぎますが、ちょっとたどたどしい人には「これ飲んだことありますか?」とか「この味知ってますか?」とかたずねるようにしています。ノーと答える人にはほんのちょっとだけ味見してもらうと、みんな顔をしかめて「Oh, no. You're right.」と言います。彼らにはどういうのが飲みたいか聞いて、代わりのものを勧めます。まずそうに飲まれて、しまいに捨てられた日にゃ、残念ですからね。 |
![]() |
お疲れさま
| 午後10:30 で終了です。それ以降はいくらもう一杯だけくれと言われてもダメ。11.00 に会場が閉まるまではまだ飲んでいるお客さんがいますが、我々はさっさと裏に引っ込んで仕事の後の一杯を楽しみます(写真左)。毎日何が楽しみかって、これです。話をしながら「それ、何飲んでるの?」と、味見させてもらったり、時には新しいブルワリーのビールが持ち込まれてみんなでテイスティングしたり。これで評判がよければ来年フェスティバルに出される可能性があるのです。会場が閉められた後、スタッフは片付けに入ります。それが済むとまた裏で飲んだり、2階のスタッフバーで他のセクションの人たちと一緒に飲んで、喋って...。12.30 に各宿舎へのスタッフバスが出るので、みんなで帰ります。(写真右:貸切のバスはダブルデッカー。またここでもおしゃべり。) |
![]() |
![]() |
2003年の開催は、8月5日〜9日です。
© 2002 Hisako Koike. All rights reserved.