東洋の教えがはたしてヨーロッパ人に受け入れられるでしょうか


多様なヨーロッパ人

これは、スイス人の友人から聞いた興味深い話です。
彼は、8月からブリュッセルで働いています。ブリュッセルはEUの中心なのでヨーロッパ中からEUの様々な機関で働く人々が集まっています。スイスはEUに加盟してませんが、関税に関するプロジェクトだかなんだかでEUの国々がどうやるのか興味があるらしく、よって、スイス政府は税関の役人である彼を数年間の予定で送りこんだというわけです。

22ヶ国もの多様な人々が1つのプロジェクトに関わるのは非常に大変なことの様です。観察眼の鋭い彼は、ヨーロッパの人々は大きく北系と南系に分けられるといいます。北系は北欧、ドイツ、オーストリアなど、南系はスペイン、イタリア、ギリシャ、フランスなど。ゲルマン系とラテン系といったとこでしょうか。彼ら両者の違いは、例えば雇用契約に関する考え方をあげると、北系の人々は雇用契約があるからそれに基づいて働くという考えらしいです。契約にある内容に付いてはきちんと責任を持って仕事をするし、契約にないことはする必要がないということです。一方、南系の人々は、極端に言えば、その時契約書にサインをしたかったからそうした、というだけで、契約の内容などあまり気にしていないようです。気が向けばやるし、向かなければやらない。しかし、いったん親しくなると「友達のために」エクストラの仕事まで頑張ってやる、そういう人々だと彼は言います。

北系はきちんと期日までに仕事をしますが、南系は毎日「やってる、やってる。」といいながら期日がくると何も出来ていないことが殆どだそうです。しまいには、「いや、実は気づいたんだけれども、我々のシステムに問題があるようだ。」と話を逸らそうとするらしくて、これには彼もまいったということです。国から派遣されてEUで働いている人々がこうですから、一般の人々はと想像すると恐ろしいです。

東洋の教え

ある日、彼の職場の22カ国の人々がミーティングをしていました。ある問題をどう乗り切るか、盛んに意見の交換がなされていました。しかし、これだけ多様な人々が集まって、1つの解決策が出てくるはずがありません。誰かにとって都合が良ければ別の人にとって不都合だったりするからです。みんなが結論の出ない議論をする中で、それまでじーっとその議論を観察していた彼は、やっと口を開きました。「水場に生える葦のように、風が吹いたら吹かれるまま、風が止めばまた起きればいいじゃないか。」と。当然周りは、理解が出来ませんでした。今まで黙っていたくせに突然口を開いたかと思えば、訳のわからんことを言って、なんじゃ、こいつ、という感じでしょうか。

彼は、空手をやっているせいもあり、武道の精神や東洋的な教えに興味のあるひとです。彼にとってはもっともな考えであっても、他の人にこの教えの意味することをすぐに理解できるはずがありません。彼は説明しました。「これは東洋に古くから伝わる教えで、硬い木は強風に負けると折れてしまうけれども、風に逆らわない葦はまた起き上がることが出来るという話です。我々も、葦のようにフレキシブルな態度で問題に望めば、そのうち解決策が見つかるかもしれないし、自然と問題が解決するかもしれない。今、無理矢理結論を出そうとしなくても、いいのではないですか。」

この説明で他の人達はようやく意味が理解できたそうですが、たとえ意味がわかっても、私も彼もこの教えが彼らのメンタリティに合うとは思っていません。きっと、相変わらず議論になっていることでしょう。

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