ロンドンより新鮮直送!
じおじおのロンドンレポ 9
19 May, 2002
☆仕事が出来ないカスタマ−サービス
イギリスのカスタマーサービス(特に国営企業)は非常に不快な思いをさせるのが上手です。ここでは某国営電話会社の例をあげてみようと思います。
これはつい最近うちの事務所で起こったことです。数週間前に、この会社の営業の人からうちの事務所のインターネット用の回線(現在はISDN)をADSLに切替えないか、という話があり、これを受けたうちのIT担当のようになっているパトリックは、「いいアイディアかもしれないが予算の関係もあるのでよく考えさせてくれ」という返事をしていました。
ある日、朝事務所に来てみると、インターネットがつながらない。Eメールもチェックできない状況になっており、またインターネットプロバイダーが問題なのか?(こちらもサーバーが使えなくなるトラブルが多い)といろいろ調べていると、パトリックがふと、ISDN回線が切れていることに気がつきました。
彼の推測によると、数週間前の回線切り替えの提案が、何かの間違いで(もしかしたら故意に)切り替えをすることに話が進み、期限だったこの日に勝手に実施されてしまったのではないか、とのことでした。契約も何も交わしていないのでこれもかなり矛盾している話ですが、もっとおかしいのはここからです。
パトリックが回線の状況と聞くのと、またそれを元に戻してもらうためにカスタマーサービスに電話をしました。回線で使われている番号を伝えると、状況を調べて折り返し電話する、との答え。ここまでは普通ですが、以前もこの会社にたらい回しにされた経験から、彼は1時間以内に連絡をくれるよう確認した上で電話を切りました。
そして案の定、1時間どころか2時間たっても連絡は来ない。パトリックがまた同じ電話番号にかけ、状況説明をもう一度し、連絡を待っているのに来ない、と言うと、保留にされたようで、しばらくするとまた他の人に変わったようです。小さな事務所の中なのでこのやりとりがいやでも聞こえる。
「さっきから何度も説明していてもう説明するのも嫌なんだけど、今朝ISDN回線が使えなくなって、その状況がどうなっているのか知りたいだけなんだけど、それを知る為にはどこに聞けばいいのかだけ教えてくれると有り難いんだけど。」
「○▲×□●・・・」
「ちょ、ちょっと待って。もう同じ説明をまたするのは嫌だからお願いだから他に回すのはやめて・・・」(パトリック、受話器を置きもう一度ダイヤルしている模様)
「さっきから何度も電話をしてたらい回しにされてこれがもう説明をするのは5度目なんだけど、状況としてはうちの回線が切れてるので状況を教えて欲しいだけなんだけど、数秒前まで話していた人がいきなり電話を切ったようなんですね。こっちが悪態を突いたとか暴力を振るったとかならまだわかるが、こっちはただ電話の状況を知りたいだけの客なのになんでこんなことをされるのかわからない。頭に来たのかフラストレーションが溜まったのか知らないがあまりにもプロ意識がなさすぎないか?こっちは客なのに、なんでこんな扱いをされなければいけないのか? とにかく僕はもとの回線を戻してもらいたいだけだからそれだけでも今日中か、出来ないのなら明日の朝までにやって下さい!」
ここに至るまでなんと1時間半。たらい回しにされては同じ説明をし、の繰り返しで、彼も怒鳴り散らしたい気分だったはずなので、彼の忍耐力には頭が下がりました。この電話の後で事務所では『Well done!』(よくやった!)の声。さすがに効果があったのかこの後三十分で回線は復帰したのです。
それにしてもこの会社の底辺のいい加減さにも頭が下がります。イギリスではこの手のカスタマーサービスは千差万別の対応差があるのは確かです。何かのチケットにしても、一度かけて売切、と言われてももう一度かけて別の人にあたるとちゃんと買えたり。これは国民性の違い(特に日本との違い)で、個人主義が徹底しているせいもあり、この辺は客も慣れたもので、この個人主義をうまく利用して逆に説得して不可能を可能にしてしまう場合もあるので一丸に悪いとは言えません。こういう臨機応変さは、サービスがどこに行っても変わらない日本にはあまりないですよね。よいサービスを得るのも自分の主張と努力次第というところが、パトリックの対応を見てもわかります。
でも、いくらサービスに個人差があるといっても必要最低限のサービスは提供する義務はあるはずです。特にこの会社の宣伝広告部門はすばらしく、テレビのコマーシャルなどを見ている限りはとてもすばらしいサービスを提供する会社のようですが、ここと底辺が全く繋がってないなあ、と今回の事件で改めて思いました。ブロードバンドやADSLの導入など、カスタマーサービスそのものが知識面で追い付いていないような気もします。
要は、上層部にいるのは階級の高い人、下層部にいるのは階級の低い人で、階級の高い人は下でやっていることを恐らく知らないのでしょう。イギリスにはまだまだ階制度は健在だ、という話は以前もしたかと思いますが、お互い違う世界で生き、接点がない為、改善の余地がないのだろうな、と感じました。日本のように、就職したらまず現場から、というのは、終身雇用という考えがあまりないこの国では難しいのでしょうね。かと言って、「アメリカンドリーム」のような、下層の人が成功して億万長者になる、というケースは歴史の浅いアメリカでだからこそ成り立つものだし・・・。
結局は、この国では、サービスをしないカスタマーサービスにいかにサービスをさせるかは、客次第、ということでしょうか。口の達者な人が多いはずです・・・。
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