ロンドンより新鮮直送!
じおじおのロンドンレポ 6
30 March, 2002
☆イギリスのアイドル事情
イギリスは一般人出演/視聴者参加型の番組が多いように思います。昨年放映していた"Big Brother"という番組は、一般公募で選ばれた人達が外部との接触を全く絶って、何ヶ月も共同生活をする様子を放映し、これまた一般視聴者が人気投票をして最後まで残った人が勝者となり賞金を得られる、というものでした。素人のくせにシリーズが終わるころには超有名人。番組終了後に前の生活に戻る人もいれば、案の定芸能界に入ってしまう人もいます(もう既に「あの人は今」という域に入っている人もいますが)。
そしてついこの間終わった"Pop Idol"という番組は、イギリス国内では一種の社会現象のようになりました。どういう番組かというと、イギリス各地で、「ポップスターになりたい!」という夢をもつ子たちがオーディションを受け、音楽界のプロである審査員4人の独断と偏見で勝ち上がる人が絞られて行きます。最終的には10人の決勝進出者が残るのですが、ここからちょっと違うのが、審査員が視聴者になるところです。毎週土曜日夜に生でパフォーマンス(歌)を行い、電話やインターネットで一般視聴者から投票を受け付け、2、3時間後に結果発表があるのです。そして毎週1人ずつ蹴落とされていき、最後に残った人が、デビューを保証されている、というわけです。
私も毎回見ていた訳ではないのですが、何しろ3、4ヶ月放送されており、最終決勝の視聴者投票が始まった2ヶ月半は、聞いているラジオや新聞など(主にタブロイド紙)でも頻繁に話題に上がるので、自然と無視できなくなり・・・。恥ずかしながら、二人に絞られた最後の決勝では私も自分のケータイから投票してしまいました。我ながらミーハー・・・。
それにしても、その投票数のすごさには驚く限りです。なんと、総数は確か850万票ぐらいだったと思います。もちろん「のべ数」なので一人で何回も投票している人もいたのでしょうが、それにしても、です。翌日の新聞によると、前回の選挙での労働党の獲得投票数よりも多い、と・・・。なぜ、こんなにこの番組がイギリスで人気があったのでしょうか?
この番組で作られるアイドルは、もともとは隣に住んでいそうな普通の子であることが大きな要因なんだと思います。そんな子たちも、何ヶ月も続くオーディションの中で、自信をつけ、歌や踊りも上手くなっていく。それにいろんなことに直面する彼らをカメラはいつも追っているので、性格も浮き彫りになる。そして例えば自分の投票した人がデビューして超大人気のアイドルになった場合、なんとなく自分が育てたような気分になりませんか? 実際はテレビを見ているだけなのに、「あの子が緊張してぎこちなかった頃のことを知ってるのよ、ワタシ!」という感じでしょうか。
最終的に優勝し、デビューした Will Young君は23歳のロンドンっ子です。ルックスは正に「隣のお兄ちゃん」風。でも、特徴のあるソウルフルな声でドアーズの曲などを歌い、アイドル好きの若い子だけでなく音楽好きな人を味方につけた、と言われています。先日発売されたシングルは、なんと1週間で110万枚のセールスを記録したそうです。最近ゲイであることを公表したので、そちらの方面の方々にも人気が出るのではないでしょうか・・・。
一方、私が一票を投じたのは、Gareth Gates君という、こちらは17歳の可愛いルックスに、甘い声の持ち主。どもり症というハンディを抱えながらもポップアイドルの雰囲気を一番持った子だったと思うのは私だけではないハズです。彼も既にデビューしており、シングルの売上は今週Will 君を抜き、同日にシングルを発売したジョージ・マイケルを抑えてトップに躍り出たそうです。
ちょうど1年前に、同じテレビ局で、"Pop Stars"という同じようなオーディション番組 がありました。これは、5人組のポップグループをオーディションで作り、トレーニングをし、デビューに漕ぎ着けるところまでを追ったドキュメンタリー番組でしたが、このポップグループはデビュー当時の人気はものすごかったのですが、現在では既に下降ぎみです。 イギリスでも相当なアイドルブームで、ポップアイドルやポップグループは沢山いて、淘汰されていくのは当然の宿命なのですが、私はここに、アイドルを作る側の苦しみを見た気がします。今回の "Pop Idol" を一般投票で選ぶことにしたのも、きっと、「私が選んだんだからちゃんと将来も責任もって応援しなきゃ」と思わせることによってアイドルの寿命を伸ばそうとしているのではないか・・・と。
来年の今頃、WillくんやGarethくんがどのようにUK音楽界に位置付けているのか、私にはわかりません。日本でも知られることはほとんどないでしょう。でも、また新たなアイドル発掘の為に同じような、一般視聴者に参加を求めるような企画の番組が作られることだけは確実だと思います。
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