マストに注意!
20 Jan, 2002
「〜しなければならない」という意味の must は使い方に注意が必要です。理由は、とても強い表現だからです。
あなたが、You must learn English. と誰かに言ったとします。相手はギョッとして、一瞬、黙ってしまうかもしれません。これは、「英語を勉強しろ」と命令しているのとほぼ同じだからです。学生が英語の先生や、親からそう言われるのはいいとして、関係ない人からそう言われると「何であんたにそんなこと言われないかんの?そう言うあんたは英語喋れんの?」とカチンとくるでしょう。これは、must にはその発話者の意見、感情、希望などが含まれるからです。わたし(発話者)がそう言っているんだから、あんた、勉強しなさいよ、というニュアンスです。
それとは違って、You have to learn English. という表現に含まれるのは、外的要因によってそうしなければならない、といった意味合いです。例えば、近々アメリカ駐在になりそうだとか、留学したいと思っているとか、法律で決められたとか(そうなったら大変ですが)、置かれた状況から判断して、英語を勉強する必要があるというときには、have to を使います。例:「ロンドン大学に留学したいの?じゃあ英語勉強しなきゃいけないね。」 You want to study at London University? Then you have to learn English.
(アメリカでは、どちらでも have to を使うことが多いそうです。)
では、アドバイスや提案をするときのような発話者の意見が含まれるときでも、柔らかく聞こえる表現はあるかというと、はい、should を使ってください。You should give up smoking. (タバコやめた方がいいんじゃない?)と言うと、私はあなたの健康を気遣って忠告しているけれども(例えばの話)、必ずしも従う必要はないよ、といった意味が含まれます。それに答えて Yeah, I must. と相手が言ったとします。この人は恐らく大変なヘビースモーカーで、それが原因か、最近は体調が優れないのでしょう。「止めなきゃ」と自分でも感じているようです。もし、この人が I know, I have to. と言ったとします。自分ではやめたいと思わないんだけれども、医者に言われたのかもしれません。医者には従った方がいいでしょう。
私自身は、人に対して must はほとんど使いません。基本姿勢として、「私がそう思っても、状況がそうさせても、やるかやらないかはあなたが決めることだから」というのがあるからです。その人の命に危険がない限り You must stop smoking. とは言わないでしょう。いや、すでに命が危険にさらされていたら、もう何も言わないでしょうね。
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