他塾・予備校・家庭教師との違い

 
 大学受験のための実況中継塾を考えてみてください。生徒に塾へ通ってもらい ( 通塾させる、というのがミソで、これなら兄弟別々に月謝がとれますね ) 、そこでカリスマ講師のビデオをサテライト授業などと称して見せることで、東京の一流の授業を地方でも、と謳って入塾を勧めるわけです。こういう形式の予備校は、大手が主催して数ヶ所で行われているようです。

 その授業料たるや、一コマが年間何万円もして、受験に必要な総コマ数を習っていくと、支払額は四十万近くにもなるようです。一人のカリスマ講師に年間一億以上の給料を渡すようですから、僕のように儲けを度外視してなるべく安く、という思いとは対極にある授業料になっています。

 そのライブ授業が参考書として出版されていますので、一応読んでみたのですが、要するに学校と違い、入試問題を研究して、ズバリこれが出ると断言してみせ、実際にそれはテストのポイントを的確に突いているには違いないのですから、生徒に信頼されることになるのでしょう。

 ただ、僕のような同じ教師の立場で言えば、ことさら "カリスマ"を名乗るほどの内容とは、ぶっちゃけた話、とても思えません。さすがに公立の、授業に工夫のない先生が教える内容と比べれば、生徒にとって新鮮な話をしてくれ、知識欲を満たすかのような魅力が、なくはありません。しかしそれとて、ちょっと図書館で専門書を借りてくれば読める程度の話に過ぎないのです。

 そのカリスマ教師が独自で研究した、専門分野における新たな発見、といったものではなく、知っている人が聞けば、なんということもないありきたりな話題でしかないのです。この程度の授業で一億貰えるのなら、僕が東京にいれば、その2倍か3倍を手にしても良いように自惚れてしまうレベルなのであります。

 塾での講義はバライティではありませんので、あくまで分かりやすい話をモットーにしているだけのことですから、めまぐるしく場面の変わる面白可笑しいテレビ番組と同じわけにはいかないことは、どうかご理解下さい。僕が個人的に思うに、NTVの「世界一受けたい授業」 こそ最大のライバルで、とてもあそこまで金を掛けて一流の解説を行うには無理があります。あの番組が僕の考えている教科書準拠の授業を始めたら、僕は素直に負けを認めるしかありません。

 それはさておき、大手の予備校がいくら高い月謝であろうと、そのおかげで成績が上がり、見事志望大学に合格できれば、親御さんとしても無駄にお金を払ったとは思わないはずです。

 しかし勉強のノウハウも持たない、ただの素人である大学生に、週1で教わる大して効果もない家庭教師では ( もちろん週に3回以上習うなら別ですが) お金の無駄がどれほどになるのか、お考えになって下さい。

 自分から勉強する習慣のついていない子供が、週に一度イヤイヤで家庭教師に監視され、2時間ぽっち習うだけで、大学受験を目指す地元の進学高校に合格できる実力が身につくと、本気で想像できますか?

 いい加減な大学生家庭教師なら、ただ子供に取り入るためにゲームやテレビの話題で無駄話に花を咲かせ、子供に問題を解かしている間は、手持ち無沙汰でスマホをいじったり、傍にある漫画雑誌でも広げて時間をつぶすようでは、実質何分教えているのか疑わしいものです。

 ただの気休めのつもりで、せいぜい学校の授業に人並みについていってくれたら充分、うちの子はとてもとても進学校に通わせるような頭じゃないから、といった目的での家庭教師なら、悲しいことですね。親からして子供の才能を信じられず、どうせ駄目な子だから、と諦めてしまっているわけですか。もしそうなら、もっと人間としての無限の可能性をいま一度考え直し、直ちに僕の授業に切り替えるべきです。


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