パレート式講義方法

 
 僕の講義は公立の学校での教え方とは違い、むしろ私立的な授業を行います。自分で 「パレートの法則による授業体系」 と名付ける、非常に要領よくまとめた講義で、過去 34 年の実績に裏打ちされた、今のところ日本で有数の、もっと自画自賛して言えば、日本最高の授業だと自負しております。

 V.F.D.パレートという人はイタリアの社会・経済学者であって、僕が学習院の経営学科にいた頃、当時のゼミの担当教授だった小山先生から伺った 「80対20の法則」 を唱えた人物です。それによれば、国民総生産の80パーセントは20パーセントの富裕層に集中する、という話でした。

 また 「超整理法」 (野口悠紀雄著・中公新書) にも、一冊の本の中で本当に重要なのは20パーセントにすぎず、ここに80パーセントの情報が詰まっている、という趣旨の話が書いてあり、正に我が意を得たり、という気持ちでした。

 僕も教科書を教えるのに、高校受験に出題されるのは全体の2割にすぎず、その部分さえ理解できていれば8割以上の得点がとれる、と生徒に言い聞かせているのです。

 そして、今はまだ成績が悪く、全体の80パーセントのその他大勢に甘んじている人が、僕の授業によって上位20パーセントに入るようになってもらうことが、このDVD授業を立ち上げた目的なのです。 

 成績上位の人だけに勉強の楽しさを独占させるのは、悔しくないですか?

 当塾にも、公立の中学三年間常に1番で、広大附属高校にも簡単に合格し、そこでもいつも10番以内で、特に数学と物理が大好きでほとんど満点だった生徒など、何の苦労もなく東大に入り、現在は宇宙工学を研究しているようです。

 他にも、中学のうちは必ず5番以内で、進学校である岩国高校でも常に10番以内を通すような子は、平気で医学部にも入りますし、解剖や手術は気持ち悪いから嫌だと思う生徒は、自分の好きな一流の国立・私立に合格して、希望通りの素晴らしい就職口を見つけるのです。

 しかし、そんな生徒はちっとも偉くありません。だって、勉強が楽しくて、成績がよくないと不愉快になる性格の持ち主なのですから。放っておいても大丈夫な秀才連中は、やり方のアドバイスさえ示せば、いくらでも要領よく勉強し、別にとりわけガリ勉するでもなく、ゆうゆうとトップをとり続けるのです。

 教える側にとって本当に嬉しいのは、塾に入るまではひどい成績で、それがだんだん勉強の面白さに目覚め、100番を出てほとんど後ろから数えた方が早かった生徒が、一年後には20番前後になり、卒業する頃には4番をとった、と目を輝かすのを見たときなのです。1番をとった生徒は掃いて捨てるほどいますが、後ろから数えた方が速かった子が4番まで伸びたのは珍しいので実名をあげたいほどなのです。しかし万が一にも問題にされると面倒なので止しておきます。
 
 入塾にあたり、テストを行ってクラス分けする、などと言うことを一切しないのは、このためです。元々成績の良い生徒だけを集めている塾など、何の特色もないではありませんか。そんな塾は単に、自分達が教えるのに楽をしたいだけなのです。

 頭の良い子を教えるのはこれほど楽なことはありません。けれども仕事としての喜びにも欠けると言わざるを得ません。


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