スピードをつける計算・漢字プリント

 
 


 高校受験とは直接関係ありませんが、この2枚の写真は、中学受験をする小学6年生用に僕が作った計算プリントと漢字プリントです。計算は曜日ごと、漢字は小学校で習う初級から始まり、高校受験に頻出する読み、書き 10 枚で構成されていて、これを百ます計算よろしく、よーいドンで解かせることで、スピードアップを図っているわけです。

 陰山英男先生の主張によれば、別に難しい計算をさせる必要はない、単純な足し算や掛け算の百ます計算を毎日やらせることで、確実に賢くなっていく、とのことです。しかし僕は 33 年も前から、同じことをやらせているのですが・・・・。

 「 君に夢はあるか 」 パート1 の 11 で、主人公の数学教師である小山先生が、その初めての授業で、生徒達の基礎学力を見るために、いきなり400問の計算をさせる場面があります。41ページのその部分だけ書き抜いてみます。


 四百問と聞いて、あまりのことにほとんどの者が怖気をふるった。けれども、いざ配られてみると、呆れたことに、二桁と二桁の足し算、二桁から一桁の引き算、二桁に一桁の掛け算、そして九九さえ覚えていれば解ける割り算、分子が総べて1の分数の加減算、それに十未満の数字からなる分数の乗除問題、以上が五十問単位で仕切られ、四百問をびっしりと形造っていたのだ。
 生徒の安心は束の間だった。小山が鋭く言った。
 「今からストップ・ウォッチで計算のスピードを計ります。全部出来た者は手を挙げて。目標時間、十五分。 ・・・鉛筆握って。間違っても消さない。一本棒引いて、次の欄に正解を書く。・・・いいですか。・・・ヨーイ、スタート」
 驚くほど静かだった。
 普通のテストなら、五、六分もたつ頃には、溜息が漏れたり、咳払いがきこえたりする。首を廻したり、周りに注意を奪われたりする。が、今は、鉛筆の走る音しかしない。こんな問題が四百問では、他人が出来て自分が分からない、ということはなかろう。
 ・・・ないはずだった。しかし、冗談でなく、 43-7 の計算に十秒以上かかる者がいたのだ。掛け算が出来ずに百問を過ぎる頃から指の動きが鈍る者が、いるのだった。

 陰山先生を紹介するのに必ず登場する、子供達が集中する百ます計算の様子が、寸分違わず、27 年前に書いた僕の小説の中に登場しているのがお判りでしょう。

 答えの分かり切った計算や漢字をなるべく速く何百回も繰り返し書くことで、左脳が刺激され、成績上昇に結びつくのです。

 ストップウォッチでヨーイドンをさせるにあたって、汚い字でも構わないからとにかく速く書け、と指示します。鉛筆と消しゴムの使用は禁止です。シャーペンの芯が折れたり、間違いをいちいち消しゴムで消していくほど、無駄な時間はありません。間違った所は絶対に消さずに、赤ボールペンで訂正しなければいけません。消すことの出来ないボールペンを使うことで緊張感が生まれますし、赤で直してあれば、後から見返してどこでどんな間違いを犯したのかが、一目瞭然となります。

 何よりもどんどんノートが増えていって、アァよく勉強したなぁ、と感慨にふけることができるのが、子供達にとって素晴らしいことなのです。

 嫌いな科目のノートはあまり増えていかない、というのは真理です。逆に言えば、嫌いな科目を好きになるには、ノート代などとケチくさいことを考えず、1日に10ページでも使えばいいのです。一週間で1冊ずつ、1年で50冊に及ぶノートの束が目の前に積まれて初めて、本当にこの1年頑張ってきたなぁ、自分で自分を褒めてやらなくちゃ、と言う気分になれます。

 自信とは口先のだけ話ではなく、ノートの量として目に見えなければいけません。あるいは醜いペン胼胝として、中指や人差し指の皮膚が硬く盛り上がってくるものなのです。すべすべの美しい指と比べればコンプレックスもなくはないのですが、自分の努力の結晶として愛しくもある、微妙な存在といえます。

 毎日ノートに書き殴っていくという作業を続けた結果、書くスピードがアップすれば、学校のテストでも他の人が50分かけてまだ最後まで解けず苦労しているのを横目に、自分だけは2回も3回も見返しをして、分からない問題はともかく、やった問題だけは絶対にケアレスミスのない状態にしておけるのです。それだけで確実に二、三十点は点数が上がります。


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