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フォート・コリンズが「禁煙都市」に かなり古い話になってしまいますが、フォート・コリンズ市は2003年10月1日から「Smoke-free」になりました。日本でも、公共交通各社が構内禁煙にしてみたり、東京都内のいくつかの駅の周辺が禁煙区域に指定されたりと、少しずつ禁煙エリアが広がっていますが…。 Smoke-free Fort Collins lawは、住民の健康を守る、特に受動喫煙の害を防ぐことを主眼においています。ですが、禁煙と指定された場所がなかなかすごい。「大部分の屋内公共施設と職域」なのですが、たとえば、 ・レストラン、バーなどの飲食店 ・ビリヤード場(Pool halls) (日本ではみかけませんが、こちらでは当然のようにたくさんあります) ・屋内スポーツ施設、ホール ・小売店(グローサリー・ストア) ・集会場、裁判所 ・病院、診療所、その他ヘルスケア施設 ・児童施設、高齢者施設 ・図書館、学校 そして、なんと ・これら施設の入り口から20フィートの範囲内 最初の2つがかなり衝撃的。レストランやバーが完全禁煙って、いったいどうするの?って感じですが、受動喫煙の害を排除するためとあっては当然の措置なのでしょう。このlawが施行されてから後の、地元レストラン、バーの様子を取材した記事を大学新聞で読みましたが、店によっては屋外に「快適な」喫煙場所を作ったりはしているものの、やはり経営的には打撃のようです。夏場はいいとしても、冬、わざわざタバコを吸いに外へ行くというのはつらいものがあるのでしょう。 ちなみにこのlawの対象外となっているのは、 ・個人の住居(ケア施設を除く) ・ホテル等宿泊施設の客室(25%を上限とする) ・タバコ販売店 ・私的な集まり ・市が管轄する以外の建物 ・ビンゴ・ホールの禁煙エリアから独立し、換気設備を有している喫煙室 (ビンゴ・ホールってのも、日本にはありませんな) ・同上のように分離されたボーリング場のバー (これまた見たことがないので、どういう状況なのか、わかりませーん) 要するに、ほとんどが禁煙。 ところが、歩きタバコはいいんですよ。キャンパスでも歩きタバコ、座りタバコなど、かなり見かけます。秋口、キャンパス内で開かれたHealth Awarenessのイベントで、このlawの紹介をしていた女性に、「どうして歩きタバコはいいんですか」と聞いたら、「そこまでは規制できなかった。とりあえず、ここまで禁煙にできただけでも成果だと思う」との答え。確かに考えてみれば、東京の駅周辺の雑踏と違って、こちらは人口密度が低い。多少歩きタバコをしていても、そんなに問題はないということなのでしょうけど…。うーん、所変われば、問題も変わるということなのかしら。でも、日本でレストランやバーをすべて完全禁煙にするなんなんて、絶対無理でしょうね…。(2004年1月3日記) |
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毎年の健診は不要?
(8月16日付のRocky Mountain Newsから) U.S. Preventive Services Task Forceの中のAgency for Healthcare Research and Qualityの専門家グループは、「pelvic, testicular, rectalのannual tests(年一回の検診)が無症状群の生存率向上に寄与するとする証拠はない」とする報告を出しました。「子宮頸がん検診(pap smear)、血圧測定、コレステロール検査も毎年行う必要はない」「無症状の、大多数のアメリカ人は、毎年健(検)診を受ける必要はない」とのこと。ただし、Task Forceのアドバイザーによると「これは健(検)診を減らせと勧めるものではなく、ターゲットを絞る必要性を訴えるものであり、皆に一律の検診方法(the one-size-fits-all approach)は意味がないと主張するものである」とのこと。 背景にはやはりhealth costの上昇があるようです。健(検)診(health checkupまたはphysical)は、アメリカ人が医者に行く最大の理由で、年間6400万人(2000年)、70億円の費用がかかっていると同紙は書いています。これがhealth insurance(注:アメリカは「皆保険制度」ではありません)でカバーされており、コストの上昇に伴って、むだな検査が行われている可能性とともに、有効性が証明されていない検査が行われていることが指摘されているのです。 記事では、学会や専門家ごとに推奨する検査の回数が異なる(たとえば、大腸内視鏡についても「毎年」「5年ごと」などさまざま)という問題も指摘していますが、これは「客観的」な研究者集団が出した結論なのか、その検診のadvocatesによる推奨なのかで変わることですので容易に理解できます。あとは、消費者個々人がどの意見を「信じるか」によってしまうのでしょうか。 さて、ここでひとつ、おもしろいことが書いてありました。 「Johns Hopkins、Mayo Clinic等は2000ドルの総合健診を提供しており、安静時心電図や体脂肪測定、胸部X線撮影などが項目に含まれている」。体脂肪測定は別にしても、日本ではあたりまえの検査項目ではありませんか? ところが、同じ記事の中で「無駄な検査項目が見直しの対象となってきている」と指摘している医師は、「心電図や胸部X線写真が無症状群にとって利益となるとする証拠はない」とも言っているのです。さらに同紙は、「こうした”Cadillac of care”を受けられない人たちは『二流の検査を受けている』という見方を生んでいると、Task Forceは指摘している」とも。 「キャデラック健診」が当然の日本から見ると一種不思議ですが、「そういえば、心電図や胸部X線撮影の有効性を示すデータってあったっけ?」と今さらながら考えました。がん検診の有効性についてはさんざん議論がありました(今もある)が、無症状で家族歴・既往歴もない成人(この集団が今回の発表の対象ですので、誤解なきように)の場合、心電図検査や胸部X線撮影によってどんな疾患・異常が発見でき、それによってどの程度の死亡率低下効果が得られるのかを示すデータ、あるいは検査間隔に関するデータはあるのでしょうか。健診項目の見直し・検査の標準化の必要性は日本でも指摘されていますし、今回のTask Forceの発表は日本の健(検)診にも少なからぬ影響を及ぼすような気がします。 追記(8月21日) BBSでご指摘をいただきましたので、上の文章、最後の段落を書き換えました。それと、Mayo ClinicのExecutive Health Programの項目も見てみました。 私の目から見ると「日本ではフツーじゃん」という感じですが、それはやっぱり国民皆保険で、企業でも学校でも地域でも健(検)診を行うよう法律で定められている「きわめて例外的な国」の住人だったから、でしょうね…。 |