| ゆめ
「マクドールさんは、この戦争が終わったらどうするんですか?」
戦もそろそろ終わりの兆しが見えてきた。
マクドールさんは、一体この後どうするのだろう。
「この戦争が終わったら?また旅でもしようかなと思ってるけど」
「トランには、戻らないんですか」
「気が向いたら、戻るとするよ」
いつも通りに見えて、少し寂しそうな笑顔。
・・・聞いてはいけなかったのかもしれない。
「もうすぐ夢が叶うかもしれないって言うのに、そんな暗い顔してちゃ駄目だよ」
僕が後ろめたく思ったことを感じ取ったのか、マクドールさんは即座に優しい言葉をくれた。
「はい」
すみません、と心の中で謝る。
話題を変えようと、ふと新しく湧いた疑問を口にした。
「マクドールさんの夢って、何ですか?」
「夢?くだらないことから壮大なことまで、色々あるけど?」
逐一聞くのも面白そうだなぁと思いながら、「じゃあ、一番叶えてみたいのは?」と訊ねた。
そうだなぁとマクドールさんは少し悩んで、ポツリと呟いた。
「ルックに、幸せだって言わせることかな」
「え?」
ちょっと予想外だった回答に、呆気にとられる。
「いくら幸せを語っても、ルックはまったく興味が無いみたいでね。
だから、これ以上ないって位、幸せの渦に巻き込んで、どうだ幸せだろう!って宣言してやりたい。
きっと実際にやったら、馬鹿じゃないの?って呆れられるだけだろうけど」
「そこまでわかっててやるんですか」
変わった人だとは重々承知していたけど、やっぱり不思議な人だ。
「わかってるから、やりたいんだよ。きっと、ルックは笑うから」
「・・・マクドールさんって、ルックのこと本当に好きですよね」
前々から少しは思ってたけど、今ほどしみじみ感じたのは初めてだ。
「もちろん、ユノスのことも好きだよ?君にも幸せになってもらいたい」
鈍い。マクドールさんって鈍すぎる。
どうして、幸せにしたいと、幸せになって欲しいを同列に考えるんだ、この人は。
「これじゃあ、行く末が思いやられるなぁ・・・」
「え?」
「マクドールさんとルックの将来について、心配してるんです」
「何だそれ」
マクドールさんは、楽しそうに笑う。
きっと、本気で心配してるなんてわかってないんだろうなぁ。
「マクドールさん、ひとつ約束しましょう!」
「約束?」
「僕は絶対ジョウイとまた会います。国だ何だと言うなら、無理やり旅にでも連れ出します。
僕も幸せ一杯になりますから、そこにマクドールさんが幸せ一杯にしたルックを連れてきてください」
「わかった」
僕らはにっこり笑い合って、約束を交わした。
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