| ことり。
ふと、視線が吸い寄せられることがある。
たとえば、おぼろげに次の戦の布陣を練っている時だとか、
夕飯何だろうなとぼんやりしている時だとか、
机の上の未処理の書類の山を忘れたくてたまらない時だとか、
なんら脈絡のない時に、ルックに引き寄せられる。
石版を確認しながらちらりと横顔を盗み見たり、
通りすがりにそっと眺めてみたり、
たまには正面からまじまじと見つめてみたり。
そんな自分の無意識の行動に気がついたのは、ごく最近。
ルックにその行為を、とがめられるようになったから。
気にするようになったら、何故だか今まで以上に、見つめる回数が増えた。
ルックは、不思議そうに、もしくは胡乱げに、ときどき呆れながら。
「何笑ってんのさ」
その言葉が、僕専用の口癖みたくなっていて、なんだかおかしい。
「別に」
軽く語尾を延ばしながらごまかす瞬間、しあわせがことり。
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