| 悪夢
灰色の夢を見た。
何度見ても、見慣れることのないその風景。
世界から、色が消え去る夢。
「・・・ック、ルック!」
目を開くと、慌てたシキの顔が飛び込んできた。
「シキ?」
何故居るのかと、不思議に思う。
辺りを見回し、見知った自分の部屋ではなかったことを悟った。
「ルック、大丈夫?どこかわかってる?」
「一緒に来たのが軍主とその姉と熊と青雷で、宿屋で、遠征で、この部屋割りになった」
とりあえず、思い出したことから並べ立てる。
「・・・わかりにくいけど、大筋はあってるよ。落ち着いた?」
軽く深呼吸をして、平常心に戻ったことを確かめる。
「落ち着いた」
「顔色が悪かったから、びっくりしたんだ。怖い夢でも見た?」
こわいゆめ。そうだ、あれは悪夢なんだ。違う、と頭の隅で何かが言うけれど。
「似たようなもの」
「そう。まぁ、とりあえず水でも飲む?」
うなずくと、シキは水差しを取って、コップに水を注いだ。
渡されたコップを受け取って、一口飲む。
ぬるい水と共に、安堵感が流れ込む。
外を見ると、もう随分月が高くのぼっている。
「シキ、もう大丈夫だから」
きっと、明日も強行軍だ。体力はあったほうがいい。
「うん、じゃあ寝ようか」
「な、何でこっちに入るんだよ!君のベッドはあっちだろう!?」
「ルックがもう一回悪夢を見ないように」
狭いベッドに、小さく二人で丸まって。
「今度は、底抜けに明るい夢でも見よう」
文句を言いたいことはたくさんあったけど、結局あたたかい体温にごまかされた。
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