なきがらになる前に

 

戦死者の埋葬が、行われた。
母が、恋人が、兄弟が、友達が。
涙をこぼして別れを告げる。

軍主として、言葉は述べた。
僕個人として述べたいことは、まだひとつある。

「ルック、ちょっと付き合ってくれない?」
暗い色彩の法衣を纏ったルックに声をかけ、残るように告げた。

 

新しく出来た墓標の前に立って。
大きく息をする。

「君達を、なきがらにはしない」

彼らの魂を、奪わせはしない。

彼らの想いを、意志を、潰させはしない。

「だから、僕は生きる」

彼らの死を嘆く人々には、幸せを。

幸せじゃない者に、幸せなんて作れないから。

「だから、僕は幸せになる」

なきがらになんて、魂のないものになんて、させない。

 

「わざわざ僕に言わなくても」
「ルックに聞いておいて欲しかったんだ」
「誰かに言わなきゃ実行できないような意志な訳?」
「まさか」
ただ誓いにしたかったんだと、小さく呟いた言葉は、彼に届いただろうか。