| ちいさな太陽
初めて彼女に会ったとき、月のような子だと思った。
切り揃えられた銀の髪は、きらりきらりと揺れ。
まだ幼い顔立ちが、大人びた冷たい表情を。
けれど、「よろしく、セラちゃん」と、にこりと笑って手を差し出したとき。
きょとんと目を丸くする様子は年相応に感じられた。
「さすが君の子だねー、美人に育っちゃって」
「・・・せめて妹だろ」
初めのうちは、君の子どもだなんて言ったら、怒り狂って否定していたのに。
セラちゃんとルックがすっかり家族と化してから数年。
ふたりとも、少しやわらかくなったと思う。
「最初は、月のような子だと思ったんだけどな」
最近、セラちゃんはよく笑う。よく遊ぶ。よく話す。
「すっかり、この家の太陽になっちゃったね」
彼女に太陽の光を詰め込んだのは、他でもなくルック。
「まさか君がこんな風に子育てができるとは思ってなかったよ」
「…僕じゃない」
「え?」
「セラが太陽になったって言うのなら、それは僕じゃなくて、どこぞのお気楽英雄の影響だ!」
ぽかんと、口が開いた。
「…それってさ、僕も家族に入ってるってこと?」
今度は、ルックの目が点になった。
「なっ、どこからそんな話に・・・!」
「だって今の、”お母さん、うちの子立派に育ってるねぇ”、”何言ってるんですか、それはあなたの影響ですよ”って感じ?」
「馬鹿なことを言うなっ、切り裂きっ!!」
うわぁ、ルックが真っ赤になってる、珍しい。そう思った瞬間、僕の体は宙を舞った。
魔術師の塔では今日も、ちいさな太陽を胸に抱いた子どもたちが、戯れている。
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