| 雨の七夕
「・・・雨、だね」
たくさんの人の願いを抱えた笹は、室内で静かに揺れていた。
「これじゃ天の川も見えねーな。織姫と彦星の逢瀬も延期か」
シーナが窓から天を仰いで言った。
「364日ずっと待って会えないってのは悲しいよな〜」
「雨が降っても宇宙なら関係ないだろ」
現実的なことを返すなよと、シーナの肩ががくりと下がる。
「きっと、逢瀬を見られるのが恥ずかしいから雨を降らせてるんだよ」
そう言ったシキに向けられたのは、冷たい視線。
「うっわー、お前それ乙女チックすぎ!」
「同感。あんたと意見が合うなんて嬉しくないけど」
「だから一言余計なんだよお前」
ため息を吐きながらシーナはそう言った。
「結構、良い意見だと思ったんだけどなぁ」
「俺の延期説のほうがまだ良いって。ほら、来年会う楽しみが倍!」
「さっき364日会えないのは悲しいって言ってたのはどこの誰だよ」
「う・・・」
「それなら、雨が降っても降らなくても毎年あってるって方がロマンチックで良いだろ?」
持論を押す二人に向かって、ルックが一言告げた。
「どうでもいいけどさ、旧暦の方が梅雨時期よりそれらしいんじゃない?」
それだと来月になるしあまり雨の降らない時期だよ。
シキとシーナには、返す言葉がなかった。
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