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米国のがん医療を紹介する連載「がんに挑む」の取材で、前立腺がんの治療を受けた何人もの男性の話を聞いたが、全員が「前立腺がん検診のPSA検査を受けるべきだ」と口をそろえた。
四年前に治療を受けたジュリアーニ前ニューヨーク市長も最近テレビで呼びかけていた。
PSA検査は前立腺で作られる特殊なたんぱく質。癌を知る手掛かりになり、血液検査で濃度を測る。数値が高い場合、前立腺に針を刺して組織を調べ、診断をつける。
米国の五十歳以降の男性の間では、PSA検査は一種の流行のようでもある。手術や放射線治療進歩し、早期発見して治療すれば、五年生存率がほぼ100%と言う数字があるからだ。
ところが、この検査、本当に有効かどうか定かでない。前立腺がんは進行が比較的緩やかで、放置しても命にかかわらない場合がある上に、高齢者に多いことから、癌が進行する前に別の原因で死亡する可能性も高い。PSA検査で前立腺がんによる死亡を減らすことが出来るかどうか分かっておらず、検査を定期的に受けている人と受けない人に分けて死亡率を比べる臨床試験が進行中。米国立がん研究所は「結果が出るまで有効性は不明」としている。
検査で早く見つけても、ごく初期の段階では命を脅かすほど悪性かどうか判別できない場合がある。しかし、癌が見つかれば、治療する人が多い。治療に伴う後遺症や副作用もあるだろうし、時には手術などで命を落とす。何でもかんでも見つけて治療する必要は無いのでは、という議論がある。早期発見の悩ましさだ。
こうした事情もあり、米国で多くの人は、がんを見つけた時の治療法や成績なども考慮して自主的に検診を受けている。一方、日本では、がん検診は国の施策で、市町村が主体となり、一律に行っている。だが、検査の効果、治療の方法や成績、副作用などが正しく受信者に伝わっているか、心もとない。