仏像の木版画(第5弾)
2015年10月   桑原貫次
 今年の夏も暑かったですね。特に、7月末から8月上旬にかけて猛暑日が続いてウンザリする日もありましたが、 気持の集中を図るために、今年も“真夏の作業”としている『仏像の木版画』を制作しました。
 国宝級の仏像を安置しているお寺では、写真撮影・スケッチも出来ないため、木版画の下絵は仏像の写真集や 絵葉書を参考にして、かつ自分で仏像を見て強く印象に残ったところを強調してみました。

夢 違 観 音 像ゆめちがいかんのうぞう
 菩薩ぼさつは、人々を苦しみから救いながら、 如来によらいとなるための修業を励んでいる者を指しますが、 この菩薩グループの中で一般に最も親しみがあるのは「観音さま」です。 この夢違観音像は奈良・法隆寺の大宝蔵院に安置されており、 「悪い夢を見た時、この仏像にお祈りすれば、いい夢に替えてくれる」という仏像です。像高は90cmにも満たないですが、 優しいほほ笑みとふっくらとした体つきが特徴です。また、手の形(印相いんそう;いんぞうとも云う)が とても綺麗な印象があったため、ここを強調しました。
 注記:金銅仏、白鳳時代の作。
    木版画;サイズは葉書の倍版、版木5枚、画材は版画用油性絵の具。 ’15年8月制作。

時 国 天 像じこくてんぞう
如来によらい菩薩ぼさつに仕えて、 仏の世界を様々な方向から護るのが四天王してんのう時国天じこくてん増長天ぞうちようてん広目天こうもくてん多聞天たもんてん)です。 日本最古の四天王像は奈良・法隆寺金堂に安置されていますが、この本版画では奈良・東大寺戒壇堂かいだんどうの時国天像を取り上げました。 四天王像は甲冑かつちゆうを身に付けて武装し、悪の象徴である邪鬼じやきを踏みつけて立ち、堂内の四方からにら みをきかせていますが、その鋭いまなざしを強調しました。
 注記:塑造・彩色。奈良時代の作。像高は160cm。
    本版画の注記は、夢違観音像と同じ。  
 

(2015.10.25掲載)
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