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P.S.あるいは雑考
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面白や〜,笛の歴史..
ヨーロッパの笛,即ちフルートですわね,それの歴史を中世からたどってみると面白いかもわかりません.
中世:円筒管:筒の壁は薄いが空気柱は太い.ピタゴラス調律という.吹きたいと思いますがまだ吹いたことありません.
ルネサンス:円筒:筒の壁は分厚くなります.1オクターヴ〜2オクターヴは現代のベーム式とよく似た感じ.
ルネ.バロ.移行期:興味大いにありだわ.円筒フルートにして Es キーが付いたもの,外見は殆ど円筒だが内径は微妙に円錐のもの,これらはフレスコバルディなどのかなりの名人芸を要する曲に利用されたことでしょう.円筒でありながら頭部管と胴体とに接合部が付いているが装飾は殆ど初期のフランス(オットテール型の3パートに別れるもの)を彷佛させるもの.1キーでオットテール型に分類されるもののルネサンスの楽器のように全体がツゲでできていて微妙なもので円錐のカーヴは緩やかのもの..リチャード・ハカという作者です.1音低く作られている.わたくしが最も欲しいと狙ってます.
バロック:頭部管は円筒だが胴体は円錐で先細り:下記で説明した如く円錐はどの音も完全対が響いている感じで充実している.少しずつ円錐の傾斜は急になってるのかな?? ルネサンスからバロックにかけてのオットテール型のぼてっとした響きに比して軽やかで明朗な感じかな.
クラシック期:バロック期は一つだったキーが4っつに増えます.B キー,Gis キー,F キーが増えたのかな.クロスフィンがリングの必要が減り機能的になったと思われる.勿論クロスフィンがリングのメロウな響きは魅力大ですよ.
ロマン派:まず最低音が D から C まで拡張したので Cis キーと C キーが追加.ロング B キー(右親指で押さえていたと同じ B キーを右の人さし指の第二関節付近で操作できるようにしたもの.現在のベーム式と異なり日頃は左の親指は管壁にじっとしているが時によいこらしょっと B キーの上へいくことが多かったようで,忙しくないパッセージではいいとしても親指が忙しくなり出すと右人さし指がさっと助け舟を出す.さらにロング F キー,レ,ファのスラーのときファで F キーを使って吹きたいときに至便です.右薬指を孔を開くと同時に F キーに指を滑らせるのは時には大変..初期の楽器のようにバロック式のクロスフィンガリングで音程が取りやすい楽器では迷わずクロスフィンがリングを使いますが,時代とともに古いものは犠牲になる傾向はあるようです.この8キー式はロマン派の笛の典型ですね.ウイーンのコッホっという製造者が画期的の改良を加えたとのことです.フュルシュテナウなどの名人が利用した楽器で有名です.このスタイルが中期以降のロマン派のフルートの典型と考えて良いでしょう.しかし,管楽器の世界例外が多く(例外の方が多い場合もあったりして)二つの異端児が出てきます.一つはフランスにおけるフルートですが,極力コッホの改良を受け入れずクラシック期の楽器に近いスタイルが保たれました.キーは5つでした.トゥリュというフランスの名人が使ってましたが,近代のフランス学派(もっともフランス学派の真の意味は全然違うのですけどね..)と呼ばれるスタイルの母体的存在です.ひとことでいうならバロック期の楽器からの伝統に最も忠実だったということですね.もう一つはドーバ海峡を渡って英国のニコルソン.彼の楽器の特徴は指孔がかなり大きいのです.これだけが原因ではないでしょうけど音が強靭なのです.(彼の演奏を聴いたベームは大きな指孔を多分に考慮に入れベーム式フルートを開発しました).ニコルソンの改良による大きな指孔とされていますが,わたくしは,軍楽隊で多く使用されていたファイフ(横笛)の指孔のスタイルをフルートに導入したと密かに思っております.とくに右中指の孔が大きく Fis の音程も運指表どおりの
@@@ @OO OOO
で正しくとれたと思います.わたくしは極力
@@@ @OtOO 000
と F キーを使うようにしてますが..
で,皮肉な話が始まります.これほどトゥリュとニコルソンが励んだにも関わらずよりによって新型ベーム式を快く取り入れたのはフランスと英国.ベームはドイツ人ですが当のドイツではベーム式なぞ目もくれられませんでした.上記のコッホ式はロマン派後期になるとどんどん改良をくらって挙げ句はオーボエかと思うほどのキーを胴体に着せられたのでしたが,ついにはベーム式に負けてしまいました.1940年ぐらいまではドイツでは非ベーム式が使われてました.
では,お払い箱になった英国とフランスの非ベーム式楽器は何処へ?? はい,英国のものはアイルランド(と限らずヨーロッパ各地のケルト系)フォークミュージシャンの広く流れていきいまでも現役で使われてます.フランスのものはキューバのチャランガ音楽で欠かすことができない楽器でしょう.4オクターヴ目のソの音まで駆使して演奏されるそうです.
バロック時代のフルート即ちトラヴェルソに端を発する伝統を重んじたフランスと,軍楽隊のファイフを取り入れた英国とは,同じく早くからベーム式を導入しましたけど,この違いはベーム式フルートにおいても現れます.とりわけ表情に富みメロウな響きで宮廷室内で演奏されたオットテールスタイルのバロック式を先祖にもつフランスはベーム式になっても同様の性質を備えた金属製ベームを採用しました.一方野外で強靭な響きで演奏なされた軍楽隊のファイフをモデルにしたニコルソンスタイルはベーム式になったときすかさず,強靭な鳴りの木製を採用しました.1970年代まではいわゆる英国スタイルのフルートというものがありました.ジョン・フランシス,フィルハーモニアのギャレス・モリスなどでしょうか? 現在は音楽におけるグローバリズムとでも申しましょうか音だけからは何処の国の奏者か殆ど分別付かなくなってきてます.
余談はどんどん続きます.
ドイツではどうしてこれ程まで長期間ベーム式に鞍替えしなかったのでしょうか? もちろん上記のコッホが開発したフルートが素晴らしかった,またそれに続く同スタイルの楽器もますます素晴らしかったということが第一の理由でしょう.しかしもう一つの理由があります.ヴァーグナと親睦あったルートヴィッヒ王が大のベーム式嫌いだったことです.
サマライズしてみますと,
フランスは一寸懐古的であったか? それに因縁じみたものです.というのもオットテールと金属製ベーム式フルート造りの名門ロットとは家系図をたどれば先祖・子孫関係.で,トゥルーの作品に非して,コッホの楽器愛用だったヒュルシュテナウの作品の方が相当技巧的であると思う.
英国は革新的であったか? あのファイフがコヴェントガーデン歌劇場を豊かに鳴らしたか? しかしニコルソンの本音は良い Fis だったりして..
ドイツ(ウイーンではあったが)コッホの楽器が最もバランス感覚が良いか?? 納得納得.
国ではないがベーム..凄い革新的ではあった.なぜなら,他の管楽器がみな向こうに向かって管が広がってるのにどうしてフルートのみが狭まってるのかそれをフルートの貧弱な音のせいにしてニコルソンを参考にベーム式を作ったから.管はどっちに向かって広がってようが,根本的には円錐か円筒かの違いが決めてだと思う.「先すぼみ,さかさに見れば,末広がり」の諺があるかないかは知らないがこれに気が付いてくださってれば良かったなと思う.
円錐フルートでブラームスの交響曲1番4楽章のソロを演奏するとき,経過音のドは普通の
O@O @@@ OOO
を使いたいが,持続音のドでは C トリル・キーの方のドを使いたい気分.
ソ〜,ファ,レ〜と下がってくるときのファは
@OO @OO OOO
よりも
@O@ @OO @OO
の方が格好良いと思う今日この頃です.
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話は変わりますが..調律の歴史について思うこと.ドレミファソラシドがどのように調律されるのか考えてみましょう.オクターヴは元の音の周波数の2倍これは振動している弦がなんかの拍子に弦の中央に節ができ二つの波ができたと思えばいいでしょうか? 元の音をドで振動数 d サイクルとするとオクターヴ上の d ' は
d' = 2*d
同じくなんかの拍子で3つの波ができたら?? これは d の3倍の振動数を持ちますが,ドレミでいうとオクターヴ上のソに相当します.即ち,
s' = 3*d
同じオクターヴ範囲に戻すためにはオクターヴ下げれば(1/2 を掛ければ)いいわけですから,
s = (3/2)*d
今度は s から始まって s に対する相対的なソはどうなるか? これはソラシドレと進みますのでオクターヴ上のレになりますね.振動数を r' とします.すると同様に
r'= (3/2)*s = (3/2)*(3/2)*d =(9/4)*d
同じオクターヴ範囲に戻すためオクターヴ下げると(1/2 を掛けると)
r = (1/2)*(9/4)*d = (9/8)*d
になりますね.こういう調律方法を有理調律法とでも呼びましょう.有理と申しますのも振動数の倍率が規約整数比(即ち有理数)で現されるからです.この再上のように5度うえの5度(すなわち5+5=10度上)の周波数は(3/2)*(3/2)という風に足し算が掛け算になることに注意してください.専門的なことは教科書や他の専門的なサイトの説明に任せますが,これではハーモニは美しくても変調していったときに最後はミ♭にしわ寄せがきてレ♯と大きなずれが出てくることが厄介だったようです.現にロココのフルートの名手クヴァンツのフルートはミ♭キーとレ♯キーが付いてます.
これを解決する手っ取り早い方法は1オクターヴ間の12半音を均等に分割する方法(即ち平均率)です.おそらく中世の学者も気が付いていたことでしょうが,先ほど足し算が掛け算に変わると申しましたが,振動数の算出には2を12で割って出てきませんわよね.2のルート12乗根を求めなければならない.これは無理数即ち解析的数ですから,下記の説明のように中世では解析は学問の仲間はずれでしたから中世には出現しませんでした.その後も気付いている人はいたようですが,ルネサンスの時代ですら出現しませんでした.計算の大変さもあったことでしょう.1500年代に入ってエジンバラのネピアが世界初の対数表を発表した後あの大バッハが平均率を造りました.わたくしは算術はとんと弱いのですが,おそらく log 2 を対数表で探して12で割って今度は対数表で逆引きをすればいいのでしょうか?? このあたりもわたくしのええかげんの憶測,オホホ.間違っててもお許しください.でも解析学の親ライプニッツも現れる頃ですので随分と解析学も市民権を得てきていたはずですよね..
実はこれとよく似たこと --- 有理数か実数全体か? --- のからみが楽譜をノーテイションとみるのかシーケンスととるのかで出てきます.が,またの機会に..
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このへんでそろそろわたくしの音楽的バックグランドを紹介しておくのも無駄ではないでしょう.縁あって小学校6年からフルートを習ってきました.半分は父親からの強い勧めでしたが,わたくしとしてもまんざらでもなかったようです.学生時代は学オケなどに参加することもありましたが,概して部屋で一人でさらうのが好きでした.卒後,OL,販売,を経て売店の仕事をしてきましたが,おおむね毎日すこしでも楽器に触れてきました.すこし専門的になるかもしれませんが,それまでつかってきていた楽器はベーム式といいまして,胴体の管が円筒のもので指穴が大きく理想的にはある指使いをしたとき最下の開いている穴の位置の長さの管の中の空気が振動するというもので,いわば金管楽器,弦楽器を理想のモデルにしたものです.ところが昨年縁あって1800年代から1900年初頭までつかわれた,木製のいわゆるアルバート式等価円錐楽器を入手しました.この種の楽器は優良の楽器と出会うのが至難だったのですが,見事なものでした.しかし幸運にも格安でした.この種類の楽器は円錐の胴体の管に小さな指穴が開いており,どの音も管全体で響かすような造りになってます.ものの本によりますと,円錐の楽器は音が小さく音色が各音で均等でないから円筒の楽器に変わっていったということですが,とんでもない.太い音で朗々と響き,年末姉が訪れたとき,玄関先でいつもになく太い響きがしてたのでびっくりしたとのことでした.
英国で産業革命が起き,楽器の世界にも合理化の旋風がおき,1800年代の中頃から合理的科学的な円筒フルートが幅をきかせてきました.抵抗し続けたのはドイツのみだったと記憶してます.他の管楽器も多かれ少なかれこれらの影響を受けたようです.ただ現在でもフランスで使われているバッソン(ファゴットのこと)とウィーンで使われているウィンナ・オーボエだけはベートーヴェンの時代と大差ないらしいです.
円錐フルートを吹いていてこれがどうしてベーム式円筒式に変わらねばならなかったのか不思議なくらいです.現在でなくてもグローバリズム(音楽における)を感じます.もっとも金属製円筒式の方が安定した質のものが安価で作れるというメリットがありますが..
円筒を吹いていたときは面白くもないと思って稽古していたアンデルセンのエチュード例えば難しいけど(MIDI)も円錐でさらうと含蓄のあるいいエチュードだと感得できます.実際はもう一つ簡単な Op.37の方に熱中してますがMIDIファイルはまだ作ってませんのでその内に..それにオケで皆といっしょに演奏するならまだしも,自室で一人稽古する分には円錐の方が遥かに楽しくわたくしを励まし,慰めてくれるものです.
この楽器の演奏はチャップリン主演の「モダン・タイムズ」のなかで登場するバンドのフルート奏者の演奏でお目にかかることができます.あの映画も行き過ぎた合理主義へのアンチ・テーゼを主張してますのでベーム式は使いにくかったのでしょう.多分ね..
そのような次第でコンサートウェア+MIDIの打ち込みで楽譜を読むのは苦ではないです.
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あけまして,おめでとうございます.
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます.
で,昨年から続き,ロー・テクの楽しみのもう一つの選択枝ですが,電脳界の現状をみておりますと,コンサートウェア+MIDIぐらいのアプリですと Palm 電子手帳の上でも可能かと..といいますのも,miniMusic 社の NotePad というアプリが Palm 上でいい線いってますから..ただ n/m 拍子の設定で n には5や7が選べ新しい機能と思えるのですが m は4に固定で一寸不便.表記譜面もピアノ譜に固定されておりわたくしには使いにくい.ポリフォニ演奏機能ですべての機種をサポートしていない.v.5 のソフト・シンセもどき機能を利用しているが,現行の機種ではこれに頼らずシンセ音源で音を出すにはかろうじて Zodiac 一機種のみ.古い Clié を買わざるを得ない.しかし,近い将来同社の SoundPad と連携して,即ちコンサートウェア+MIDIでいうならインストルメント・メイカに相当分の機能が加わって,ほぼ等価のお遊びができることでしょう.
ロー・テク ノットイコール ウニタ・ミニムムなのは当然ですが,後者に関してはまた気が向いたときに書きたいと思います.
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ミュージカル・アプリケーションに思う..わたくしのロー・テクの楽しみ..
平成7年 Windows 95 と Libretto 50 の上で作動するミュージック・タイムというアプリが最初の出会い.これもパソコンのキーを鍵盤楽器のキーと見立てた入力ができてご機嫌でした.
しかし home page でも述べましたように以前コンサートウェア+MIDIのデータを比較的多くULしていたサイトとの出会い,そこからリンクされていたフランスのサイトでコンサートウェア+MIDIそのものがDLできるところから入手したコンサートウェア+MIDIとの出会い --- 更に古くからの愛用のオールドマック上での稚拙ながらも,ノーテイタ機能,洒落た可愛いプレイヤ機能,ミュージック・タイムではなかったシンセ機能とノーテイション機能の便利さと,全体が実によくできていることに --- 感動しました.勿論マニュアルなしでは本格的にできませんでしたので,自在扱えるようになったのは,DL後秋葉の中古ソフト屋で日本語マニュアル付き最終ヴァージョンを購入してからのことですが..
それから,新マックになってから iBook を買いました.事務的用事のためにです.時を同じくして勤務地が遠方になって終着駅から終着駅までの通勤を余儀なくされ,1時間近く車内で座れることに甘んじモバイル打ち込みにチャレンジしました.となると,スマートソコアというキー入力こそできませんが,スキャナで取り込んだ楽譜の画面と打ち込み楽譜の画面がシンクロナイズして画面に表示できるので楽譜を広げる必要なく,ときにはOMR機能も使いながら打ち込めるアプリが至便極まりなし.だって,いくら Libretto 50 を使っても楽譜を広げると iBook 一つよりはずっとかさ高くなってしまいますもの.
しかし,コンサートウェア・ライクのキー入力の便利さが忘れることができぬわたくしは,灯台もと暗しとはこのこと,なんとシェアウェアのメロディアシスタントという理想通りのアプリの存在に気が付かなかったのです.コンサートウェア+MIDIよりも優れる点をあげ連ねれば夜が更けてしまいます.キー・アサインも自由自在ですのでコンサートウェア+MIDIと全く等価のキー配列が設定できるのですが,わたくしも人の子,欲張りすぎてオクターヴ・キーを極力使わないデザインにしたところ却って使いにくいものに..すぐさまコンサートウェア+MIDIと同じに設定しなおせばいいものを本来のモノグサが出てきてしまい結局コンサートウェアに戻ることに..それにもましてコンサートウェア+MIDIには手放せない魅力があります.今後もあり続けることでしょう.
iBook でのモバイルDTM(正しくはLTMでしょう)ではコンサートウェア+MIDIでは不可能の曲をと考え,スマートスコアで数十曲のアルス・スブティリオールの曲たちを打ち込みましたが,MIDI音源でないと聴けません.下にULしたソラージュの曲はこれで打ち込んだMIDIファイルです.
職場近くに引っ越して車内打ち込みをやめてからはアルス・スブティリオール離れしております.クラウズラの4連譜,5連譜もスマートスコアやメロディアシスタントを使えば楽々ですが,あえてコンサートウェア+MIDIで聴きたく思いつっぱっております.
わたくしのロー・テクの楽しみ方でした.このペイジには今後もこれらから作られたMIDIファイルがULされることでしょう.
如何なコンサートウェア+MIDIといえども決定的な失敗がありました.それは,その3部分のうち,ミュージック・プレイヤーをフリー・ウエアにしなかったことです.そのことが音楽データ普及とコンサートウェアの普及の多大なる足かせになったと思います.
いよいよ年明け.皆さま,良いお年を..
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オルガヌムが話題になったところでホケト或はホケトゥスについて言及しておきましょう.home page で述べたものとだぶりますが,ホケトとは当時のフランス語(ラテン語にはありません)シャクリのことであります.例えば 3/8 拍子の曲で上声部が最初の八分音符を歌うと次いでその間八分休符をとっていた下声部が四分音符を歌いその間上声部は四分休符を取るといったパタンであたかもシャックリをしているように聴かせる様式です --- ホケトが入ってるクラウズラ”ネウマ”(MIDI).これは古く1100年代レオナンやペロタンのオルガヌムに登場するもので特にクラウスラによく出てきます.これらはパリ・ノートル・ダムで歌われた宗教曲です.きっと司教が大事な法要でシャックりでもしたのでしょう.多分教会にお参りする民衆には司祭は大変偉い方なので司祭の唱える句には寸分のちがいもなく合わせて唱えるようにとのお達しがあったことでしょう.すると司祭が咳払いをすると民衆も同様に繰り返す,シャクリもしかりです.そんな訳で教会中はシャクリの大合唱になったことでしょう.挙げ句,音楽の様式にまでなり,後々の舞曲にもみられます.
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中世におけるモジュールあるいはプラグ・イン! OvO;
1100年代の教会音楽であったオルガヌム --- 例えばペロタンのアッレルーヤ(MIDI) --- のうち残存するもののうち数百ほどのクラウスラ(clausula 英語の close と似てますね)が残存します.たとえば --- パリシウスのイン・セクルム(MIDI) --- .似ていて当然それはオルガヌムを閉じるときに演奏される閉めの楽曲.そしておもだったオルガヌムの本体は3声4声のもので100もないでしょうか??? ある学者はどうしてこのようなクラウスラがこんなに多くあるのか不思議がってましたが,わたくしは,クラウスラをモジュールあるいはプラグ・インと解することで次のように自分を納得させてます.
まず法要での作法は状況により長くなったり短くなったり.でもおもだったオルガヌム本体だけでは作法が短くなりそうなとき唐突に演奏を止める訳にはいかず一寸不便.だって曲が興にいってる最中に終わっちゃうとしらけちゃうから..で,そのような場面でいつでも突入できるコーダの部分が用意されていれば便利.しかるに一方,毎年々々繰り返し行われる法要に毎回同じオルガヌムを使うのもあきちゃう.でも巨大な本体をそのつど作曲するのも面倒.となると連綿と行われた法要の度に,雰囲気にあわせて短く作曲してすませれるクラウスラを用意しておけば簡便.まさにモジュールでしょ??? しかもコーダと模様替えとを同時にしてしまえる.便利じゃないですか.便利でしょ?
以上,素人考えですが,自分自身をこのようにして納得させてます.モージュールというアイデアは中世にすでにあったのかぁ..
尚,上のMIDIは以前コンサートウェア+MIDI以外のアプリで作ったものです.
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下記にてデカルトが登場したところでついででナニですが..デカルトはときには可哀想であると思う.心身(心物)二元論がしばしばやり玉にあがるから.しかし,彼は身体というモノが心の原因であることを否定し,いわゆる機械論者ではない.それどころか,人は日常においては心身不分離であるとすら言っております.
たとえばここに針金で作られた円があるとする.日常的にはこれはこれで円として不分離としてある.しかし,デカルトの代数幾何学によると半径 r の円は一次元多様体であって2次元ユークリド空間に埋め込まれ,2次元ユークリッド空間に要素として実数xとyからなる座標を設定すると円上の各点は(x,y)と二分法で表現されるでしょう.実際には座標の選び方によって,例えば
x^2+y^2=r^2
と表現されることでしょう.あくまでもたしかに代数幾何学のなかでは円はxとyとの二分法で成り立つのであるが,日常は不分離です.
代数幾何学を創設した彼ですから「人」に対しても同様の便宜(学問のエコノミ)を与えたに過ぎず,彼に「心身2分論者」とのレッテルを貼るのはいい迷惑ではないでしょうか? と思ってみました.
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アルス・ノーウァ(新技法).下記の如く作曲においての14世紀初頭に始まった新しい技法.流れであった音楽の採記方法のみならず,流れが一旦図形と等価とわかりきや,音の流れでは解決,開発できなかった技法をばっさりと図形の領域でやってのけ,再び音の流れに戻す(演奏する).後にデカルトが発案した代数幾何学の芽,座標なるものを想定すると円錐曲線と2次代数式とは等価とみなせることがわかりきやこんどは幾何の問題を代数の領域で展開,解決,拡張しその結果を幾何に戻すという大事業の先取りと云えるでしょう.それが下記で説明した,対位法 punctus contra punctum です.わたくしはここに西洋の合理主義の一端をみます.くりかえし述べますが何が<新>技法だったか? それは音の流れとしての音楽の諸扱いを<図形の領域でやってのけそれをまた音楽にもどすこと>です.後のバッハの「音楽の捧げもの」「フーガの技法」などをみてますとアルス・ノーウァの主題である対位法では線対称,一周期するごとに半音上昇するなどの螺旋,カノンでみられる「ずらし」即ち「平行移動」など幾何的のものでした.
ではこれに続いて現れたアルス・スブティリオールとはどういった音楽でしょう? まずはMIDIで聴いてみたいというかたはクリック・ミー・プリーズ.込み入った分割ですね.ちなみにソラージュ作曲「女性の体」,オホホ..という曲です.スブティリオール subtilior(sub tel 即ちレース編の下,即ち枝葉の織り成しに隠れて本質がみえてこないもの.或は他に徹底的のという意味もあります)では有名な作品の一つとしてハープやハートを形どった楽譜のものがありますがそれらは上記の幾何をすでに逸脱し絵画の領域に入ってます.下記で示しましたように絵画が中世の学問基礎7科目に含められてなかったことを想起すると面白いできごとですね.考えようによっては行き過ぎた技法ですわね.
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古楽をコンサートウェア+MIDIに打ち込んでみたものの,たまたまであろうか,いまのところ中世のものばかりです.中世的とはどういうことなのであろうか? 自問自答してます.
1)知的財産の貧富の差が大変激しかった時代:神学を中心とする教会人と大学人と庶民との間の知的疎通はなかった.とはいうものの神学ばかりでなく基礎7科目には哲学,数学(解析学は仲間はずれ,これは平均率が遅れて取り入れられたことと関係ありそうです),音楽はばっちりと含まれてましたが,解析学同様美術は仲間はずれ.世俗歌曲といっても楽譜としてのこるものの大多数は宮廷のそれで少なからず学問の恩恵に被ることができた立場の人々の間における歌曲と解せられる.
2)学問の現場では自然科学よりも形而上学(メタフィシーカ:物理前すなわち,物理学を始めるに当たっての準備の学問,具体的には「物体の加速度,質量云々を議論する前にそもそも物質が存在するとはどういうことであろうか」を厳密に議論する学問,即ち哲学)が優先されていた.
3)したがって,実証性よりも理論的整合性が優先された.
4)知的財産価値はその直感的感動をもたらすか否かに依存するものでなく専門家のみが感得できる構造の優劣により定まった.即ち,吟遊詩人が奏でる直感的に大変楽しい或は美しいと感じるホモフォニの楽曲よりも,教会で奏でられたの見事な造りのポリフォニのオルガヌムの方が価値が高かった.幾何学は学問の仲間になれたが絵画はなれなかった.(これはダ・ヴィンチがのちに悔しがった)
5)あえて云うなら学者および教会人の世界観はユークリッド的というよりむしろ非ユークリッド的(取り分け射影空間ないし位相空間的)であった.例えば彼等にとって地球は球体か平面かが問題になるのでなく,宇宙の存在の学における整合性であり,地球が平面であろうが球体であろうがその上に整合性ある理論を展開できることの方が重要だった.神の存在がもし証明されるのであれば神を中心に宇宙の存在論を整合性もって議論できれば満足していた.
6)実証主義の現在の学者よりは中世の学者の方が拡張性と整合性に関してより鋭敏で柔軟な思考をしていた.しかし,空理空論に終わることも多かった.
わたくしが中世と聞いて思い当たる印象を列挙すると上記ですが,これをふまえて,アルス・ノーウァとそれに続いたアルス・スブティリオールとは何なのか今後考えていきたいと思います.
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最近,SE/30,PB170,PB270といったオールド・マックはコンサートウェア+MIDIのためだけに存在しているといっても過言じゃないわね.すこし若かったころなけなしのお金を叩いて買ったこれらのことを思うと一寸もったいない気もするけど..現在は普段は iBook を使ってるけどどうしてもこれでコンサートウェア+MIDIを聴きたいときは OSX では無理なので OS9.2 モードでコンサートウェア 1.5 で聴きますが,内蔵音源では音飛びがしやすいし,QuickTime 音源で聴こうとしても時には音飛びがあります.だからコンサートウェア+MIDIの本当の音を聴き続けるにはこれらのオールド・マックを大切にしなくては..なんだか手間がかかる趣味にはまったものね〜
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1200年代の英国の宗教曲を打ち込んでいて感じること.まぁ,つきなみみの無難な感想は,レオナンやペロタンに代表される1100年代のパリ・ノートルダム楽派のオルガヌムとりわけテナーはクラウズラ,ベネディカムスなどの影響をうけているかなというところでしょう..英国のトラッド・ファンの一人であるわたくし個人的の感想は? というますと,これはメロディのリズムが何となく水兵さんの民謡,海の民謡の影響を受けている感じがしてならないということです.
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下記の英国のサウンドってなんだろうと思いながら現在1200年代の英国の小品(宗教曲が殆ど)の打ち込みをしています.ほぼ同時代のモンペリエ写本の曲達に比して構造が単純3拍子のテナーの上に2拍子が乗るということはいまのところ発見しておりません.印象とすればオイッチニ〜オイッチニ〜の感じかな〜 オホホ.でも,中にはメロディとハーモニは凄く美しいものがありますわよ.そのこと等を英国のサウンドというのでしょうか? まさにわたくしにとりましての古楽って感じ..MIDIで聴いてみたい方はクリックしてください.
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ここにULしているCWMファイルはすべて元の楽譜とおりではありません.CWMの仕様上例えばテナーが3拍子で上が2拍子などの曲は2拍子にそろえるなどしないと打ち込みは不可能です(勿論聴いたときには原曲と全く同じに聴こえるように音符を並べてますけど..)またモノフォニに至ってはわたくしの独断と偏見による一種の編曲ですので本来の音楽とは似ても似つかないものになってる可能性があります.とはいってもなるべく楽譜とおりに聴こえるように配慮して打ち込んでますけれど..一言で云うならCWMの場合原曲に聴いた感じで忠実にしようとするとどうしても楽譜の上では原曲と同じにできなくなってしまうということでしょうか? もちろんわたくしは聴いた感じの方を重要視してます.
したがってミュージックライターで開いて見える楽譜で演奏会やテストを受けて不評をかったり落第しても責任はとれませんわよ.ちゃんとオリジナルの楽譜を買ってしてください.
また鑑賞するのもいわゆる音楽の漫画(しかもアクの強い)として個人的の範囲で楽しんで下さい.
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プンクトゥス コントラ プンクトゥム?
対位法という言葉の語源でアルス ノーウァ(新技法)(下記参照してください)の技法の一つです.
よく考えてみるとプンクトゥスというラテン語には単に点という意味だけでなく「点によってマークされたもの」という意味もあり,当時の楽譜とも解釈できます.単数形であることから一声部の楽譜と解せましょうか? まさに複数のメロディが同時に進行する様式に関わる技法といえますね.コントラという意味は「対立」「対抗」「対」という意味を持っています.が一方,コントラストという言葉から察せられるように「図」と「地」といった関係よりも,一方が図となれば他方は地になり,ときにはまた逆という関係を含め持っています.さらに「点によってマークされたもの」というように音によってというよりむしろ図形のなかにその関係をもとめているところも興味深いです.マショのロンド「私の始まりは私の終わり」の第2声部は第1声部の線対称になっています.バッハの「フーガの技法」や「音楽の捧げもの」のなかにも見いだすことができますね.
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ギヨーム ドゥ マショは1300年生まれの学者兼役人でした.当時は学問基礎7科目のなかに音楽が含まれてましたからマショが作曲の天才であることは不思議じゃないのです.マショは音楽史上アルス・ノヴァ(新技法)の代表作曲家に位置づけされてます.フォーヴェル物語付随の音楽も作曲したフィッリップ ドゥ ヴィトリの後輩にあたります.新技法の一つに対位法(プンクトゥス コントラ プンクトゥム,即ち,点に対抗する点)があります.対位法とは複数のメロディが同時に進行する様式に関わる技法です.その様式の音楽はモンペリエ写本の中にULしたペロタンのオルガヌムがヴィトリ以前からあります.
ではなにが新技法なのか考える前に面白いお話があります.ペロタン以降の世俗音楽はテナーパートはオルガヌムなどの教会音楽を使いその上声部に世俗歌詞を付随したメロディを作るというお遊びこころ豊かな作品が多く残ってることです.モンペリエ写本の多くはその様式です.ヴィトリにいたっては教会に対する辛辣な風刺を歌詞にしています.残念ながら訳してませんが..ペコリ.そうすると曲によってはどうしても3拍子のテナー部の上声に2拍子を乗せたいということが生じたりして,複雑なリズムが生まれます.モワレが生じます.1200年代はそういう時代だったと思われます.その作品の実際に基づいてヴィトリやマショは新しい体系だった技法としてまとめあげたのでしょう.すべては遊びからはじまりますとは正にこのことですね.
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ご存じない方もおられるかもしれませんが,このコンサートウェア+MIDIの日本語翻訳と日本代理店は化粧品などで有名なDHCだったのですよ.ちょっと信じられないでしょう.本国ではグレイト・ウェイヴという北斎の絵を図柄にしたロゴマークの会社が作ってました.現在はもうないと思います.古き良き時代のマックのお話でした.
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皆さん,上のステップ・タイムの方法で打ち込んでいて気付かれたことかとおもいますが,一寸困ったことがあります.それは,シャープ系の曲ではシ・フラットがラ・シャープに,一方フラット系の曲ではファ・シャープがソ・フラットになってしまうことです.これをふせぐには,上記の楽器の鍵盤(の黒鍵)に見立てたパソコンのキーボードのキーを押す前にフラット記号で描画したいときは q キーを押した後にキーを押す,シャープ記号で描画したければ w キーを押した後にキーを押すとうまくなされます.
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マショを聴いていてミス入力かと思うくらい妙な不協和音がございますでしょ.ミスプリント? いえ,どうもこれでいいようです.ただし,私の打ち込みに間違いがなければですけど..ミスプリかと思い不協和音を修正するともっと不自然な曲になってしまいますから不思議なものです.これもマショのユーモアでしょうか?
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当ページのBGMについて..BGMは私の気分で替えてます.概ねマショとは無関係の曲だったり著作権切れの古いポップスだったり,トラッドだったり.色々..申し訳ございませんが耳ざわりの方はパソコンのボリュームを消してBGMを止めてください.
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どうしてMIDI版をULしないのでしょうか? はい,それはみごとなオーケストレーションでつくられたMIDIを多くULしているこの手の古楽の専門サイトは世の中五万とあるから私如き素人おばさんが入り込む余地はございませんからです.それはいいとして本音はやはりコンサートウェア+MIDIのあの可愛いミュージック・プレイヤーの画面とあの健気な音色を忘れられないからです.
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