住み慣れた家庭や地域において療養しながら生活を送り、身近な人に囲まれて、人生の終末を迎えることを望む患者も多いです。
私自身もできることなら自宅で静かに死を迎えたいと考えています。
しかし、在宅医療を行う診療所の割合が低下しており、それを希望する患者と家族をサポートする体制が十分に整備されているとは限らない地域もあります。
急性期を過ぎたものの、なお療養が必要な患者が、住み慣れた環境で生活し、さらに終末期を在宅で迎えられるようにすることが、今後の在宅医療を推進する上で重要であると考えています。
なお、ここでいう「在宅」の範囲には、自宅のみならず、ケアハウスや有料老人ホームなど多様な居住の場が含まれるものを意味しています。
とりわけ高齢の患者に対して、住み慣れた環境で最期を迎えたいという希望があれば、それに応えられるようにしていく必要があります。
在宅医療を推進していくためには、地域において医療を担う在宅主治医が中心となり、他の医療機関、さらには介護、看護等多職種(訪問看護師、ケアマネジャーや薬剤師等)とによる連携をこれまで以上に強化する必要があると言えます。
併せて、自宅以外の多様な居住の場の確保、継続的な療養管理・指導、訪問看護、症状が急変した際の緊急入院体制、終末期における看取りの体制の整備等が急がれています。
病院、有床診療所、老人保健施設、特別養護老人ホーム、在宅療養支援診療所、居住系サービス施設が連携して在宅療養を支えることが大切なのです。
在宅医療を推進するためには、24時間体制で終末期も含め患者の急変等に対応できる体制を準備することが必要なことから、在宅療養支援診療所の整備が進められており、9,434施設が届出を行っています。 (2006年7月1日現在)
また、在宅における対応が困難な状態に陥った場合、患者の状況に応じて、救急医療の機能を持った医療機関、回復期リハビリ機能を持った医療機関、さらには生活リハビリを含め療養を提供する機能を持った医療機関と連携し、適切な医療を提供できるよう用意しておくことが重要であり、患者、家族の安心につながります。
現状では、住宅が高齢者や障害者に適していないために在宅での療養生活の継続をあきらめなければならない場合が多いです。
そこで、高齢者や障害者が、在宅で福祉用具を使いながら、希望する生活に近づくことのできるよう、それに見合った住宅整備を推進していくことも大切です。
また、高齢者ができる限り住み慣れた家庭や地域で安心して暮らし続けることができるよう、自宅以外でも高齢者向けの多様な住まいでの生活を支援できるケア体制を推進することが求められています。
このため、都道府県は「地域ケア体制整備構想」の中で、地域のケア体制の整備の方針を盛り込むこととされているところですが、そこでは、地域の見守りを伴った、高齢者の生活に適した住宅を整備するなどの住宅施策を進めていくことになっています。
その際には、過疎地域・山村地域におけるサービスの効率的な提供に向けた住み替えの必要性、高齢者の集住しているエリア(ニュータウン地域、公営住宅など)における食事、安否確認、緊急通報などの支援システムの在り方などについても検討することが大切です。