■永琳1
師匠に用事があったので、彼女を探して部屋に入った。
見つからなかった。もしかしたら、と思い、危険だから入るなと言われている奥の部屋の戸を開けてみると
そこにいたのは○○、1ヶ月前に外の世界に帰ったと聞かされていた人間。
私は、見てしまった。
○○が永遠亭に・・・幻想郷に来たのが半年くらい前だろうか。
気づかぬうちに幻想郷に迷い込んでしまったという外の世界の人間、
たまたま竹林で迷っていたのを拾ってきたのは、誰でもないこの私、鈴仙・優曇華院・イナバだった。
永遠亭は(ただの気まぐれで)彼を受け入れたし、彼もまた、よろこんで私達を受け入れてくれた。
彼はただの人間で、特別なものは何も持ち合わせていない。そのかわりにあるのは
やさしさと、心強さと、ちょっぴりの好奇心だった。
彼はとてもいい青年だった。姫様の相手をし、師匠の言うことも聞くし、
私が力仕事をお願いしても嫌な顔せずに引き受けてくれる、そんな人間だった。
そして彼は素直で頼りになる。いつしか彼は私達の家族同然になった。
事実私も彼を慕っていたし、兄のように感じていた。(年齢はずっと下なのにな・・)
彼に、異性として惹かれたのは言うまでもない。
それは、師匠にとっても同じだった。
・・・永遠亭のトップは、事実上は師匠、八意永琳だ。
基本的に姫は自分から動かない。その姫を支え、因幡に支持を出し
「永遠亭」を形作っている、それが師匠だ。
もしかしたら実力でも姫を上回っているかもしれない。師匠は強い。
そんな師匠の前にいきなり出てきた○○。彼は師匠を気遣い、自ら永遠亭の力になってくれた。
師匠は・・・なんというか、その、ときめいてしまったんだろう。
師匠は○○を呼び出して、告白した。
普段の冷静さが微塵も見られない、落ち着かない様子で、
ただ顔を赤らめて○○に想いを伝えたのだそうだ。
月で大昔から薬学や姫の周りの世話をしてきた師匠にとっては始めての恋だったのかもしれない。
ただ、ただ一人の女性として想いを伝えたのだった。
だが、○○は受け入れなかった。
○○ははじめ喜んだそうなのだが、その後悲しい顔をして断ったのだそうだ。
「ごめんなさい」
「自分は永遠亭の皆に恩がある」
「誰か一人と特別な関係を持つことはできない」
「皆とのいい関係がこじれてしまうのが怖い」
「今のままの関係で、これまでどおりに過ごして生きたい」
・・・などなど。師匠は○○が去った後も現実を受け入れられない、と言った表情で佇んでいたのだそうだ。
(全部てゐから聞いた話。私は当初、生意気に「出し抜かれた・・・」としか思っていなかったが。)
その後、すぐだったかな。○○が私達に挨拶をせずに外の世界に帰ったと聞かされたのは。
師匠にだけ挨拶をして、静かに出て行ったのだそうだ。私達を悲しませたくなかったのだと聞いた。
だけど、すごく悲しかったな。ちゃんとお別れくらい言いたかった。
○○はもともと外の世界の人間だったから、元いた場所に帰らなくちゃいけない。
それは正しい事なのに、私は信じたくなかった。
今でも、私の心の中には○○が住んでいて、何かの拍子に出てきて
「おはよう」と朝の挨拶をしてくれるんじゃないかとずっと思っていた。
きっと、みんな同じだったと思う
てゐも、姫様も、そして師匠も。
師匠は一人の女性としてとても悲しんだだろう。その気持ちはわかる・・・
だが何が彼女をこうさせてしまったのだろうか。
今、私の目の前では一糸纏わぬ姿の○○が、椅子に縛り付けられている。
私は嫌な興奮を感じていたが、それを押さえつけ冷静になることができていた。恐怖で、だ。
○○の眼と口は何かで縫われている。脚と胴は椅子に固定されていて、
自由を求める手が、何かをつかむようにして、私の方に伸びてきた。
うめくような声で何かを言っている。よく聞こえないが、名前を呼んでいるみたいだ。師匠の・・・
怖い、怖い、怖い。
なんで、私はこんな状況に置かれているのだろう。それすらわからなかった。
昔、家族同然に生活してきた人間が、師匠の部屋に監禁されていた・・・?
身体が芯から震える。これは、嫌だ・・・
事実を受け入れたくなかった。受け入れようとすると吐き気がした。
私は、立って居られなかった。
きっと、師匠は○○のことがあきらめきれなかったのだろう。
一ヶ月前、○○を呼び出し、一杯盛った、薬を使ったのだろう。
人を殺す薬と死なせない薬・・・蓬莱の薬の応用だろうか。
そして身体の自由を奪い、視界を奪い、人に見つからないように、部屋に閉じ込めた。
・・・師匠は、○○が「欲しかった」んだ。○○をモノとして自分のものにしたかったんだ。
なんておぞましいことだろう。人として愛するかどうかなんて問題じゃなかったんだ。
そこまでして○○を手中に収めたかったんだ。師匠は・・・
歪んだ薬師の愛情。私には理解できなかった。
今の○○はまるで・・・植物じゃないか。口を塞がれて自分で食事をすることはできないだろう。
注射なり点滴なりで栄養を送れるのは師匠しかいない。
結果的に、師匠は○○を自分に依存させた、のだ。
師匠は○○を鉢に植えた一輪の向日葵のように世話し、育てたかったとでも言うのだろうか。
私には信じられない。信じたくもない。
そこまで考えた時、私の身体はいきなり宙を舞い、
部屋の壁に叩きつけられた。いきなりのことで私はとても驚いたし、とても痛かった。
痛みを抑えながら眼を開けると、そこには師匠が。
○○の顔に手を回し、唇を押し付け、身体を預け・・・
○○に愛を語っていた。素直な変わり映えの無い愛の言葉だったが、何度も何度も。○○に塗り重ねるように。
その師匠の行動は異常だったが、それと同時に何故か美しく、そして楽しそうで・・・
私はそれが気持ち悪く、そして怖かった。
○○が手を伸ばすと、師匠もその手をとって握り締めた。師匠はとても嬉しそうで
頬を赤くし、彼の行動に答えているようだった。私がいることなんて関係ないかのようだった。
私は助けを呼んだ。てゐを、姫様を。あるいは因幡でも誰でもいい、助けて欲しかった。
自分では動けなかった。動き出せなかった。とにかく大声を出した。
無意識のうちに師匠の名を呼びそうになった。強くて、美しくて頼れる私の師匠。
今は愛に狂い、崩れ落ちてしまっている。
私の目から涙が流れた。
助けは来なかった。師匠は私の首筋に注射突き立てると
ためらわずに中身を注入し、注射器を投げ捨てた。
私は邪魔者だ。「見てしまった」から消されるのだろうか。
薄れていく私の目に入ったのは、やはり師匠と○○。
苦しかった。
・・・。
えーりんに狂おしいほど愛されたい 終
>>up0224
○月○日
今日から永遠亭の薬師さんの弟子として永遠亭に住み込むことになった。
医学経験など一切無い私が名高い八意永琳先生の弟子になる事など夢にも思わなかった。
何でも先日の里の流行病の際、先生が来る前の応急処置が良かったというが…。
まぁ、明日から本格的な修行が始まるらしい、今日は早くに眠るとしよう、姉弟子に当たる人と仲良くできればいいが…。
×月△日
今日の作業中、補助をしてくれていた鈴仙が急に倒れるというハプニングがあった。
しかも高熱を発し酷く苦しんでいた、幸い永琳先生の処置により一命は取り留めたが原因は不明。
原因が究明されるまでは流行病の可能性も考慮し隔離、病も毒も通じない蓬莱人であるという先生が処置を施す事になった。
鈴仙は先生の姉弟子としても、一人の女性としても慕っている人、何とか無事助かって欲しい……。
×月□日
鈴仙は無事峠を越し命に別状はないそうだ、だが、高熱のせいか、それ以外の何かのせいか記憶障害が起こったらしい。
なんでも幼児期位まで精神が退行してしまったらしく、私達との関係も全て忘れてしまっているそうだ。
あと少ししたら、香霖堂で売っていたあの指輪で告白しようとしていただけにショックは隠せない……。
×月×日
あれから数日、未だに鈴仙の記憶は戻らない、だが、私も何時までも立ち止まってはいられない。
先生も鈴仙の記憶復活に最善を尽くしてくれいるし、てゐさんも落ち込んでいる私をみて優しく励ましてくれている。
鈴仙が復活した際に笑われないよう、傍に立てるだけ立派になれるよう、もっと頑張ろう。
追記
これから眠ろうとしていた時に因幡の子達が大騒ぎしていたので何事かと聞いてみるとなにやらてゐさんが急に倒れたらしい。
他にも因幡の子達の中にも急な高熱で倒れた物がでたらしい、まさか鈴仙と同じ……。
先生もどうやら同じ判断をしたらしく、この騒動を「流行病」の物と断定、症状が出たものは隔離し、各自処置を施す事になった。
先生一人では流石に手が足りない為に永遠亭の主である輝夜様と友人と言う妹紅さんの手も借りる事にしたらしい。
こういう時、ただの人間である自分のみが呪わしい…… なんと、無力なんだ、私は。
△月Ω日
どうなっているんだ!? 一向にあの謎の流行病が治まる気配が無い。
日に日に患者は増え、最早私も永琳先生が作った特別な防護服を着て看病に回らねばならぬほどに自体は緊迫している。
幸い、鈴仙の頃の知識が活きる形で高熱は直ぐに抑えられる、だがその後の記憶障害だけはどうしようもないらしい。
次々と幼児化していく因幡達、あの悪戯好きだったてゐさんでさえも、今は外見相応の幼子状態。
だが、輝夜さんが何かを発見したらしく、私に「もしかしたら解決の糸口が掴めるかも」と言う情報を伝えてくれた。
しかし、自分の情報が間違っているかも知れないので永琳先生には確信になるまで伝えないで欲しいとも言われた。
どうか、輝夜さんの発見が正しいものでありますように、鈴仙達が元に戻りますように… 今の私には、祈る事しかできない。
△月Σ日
最悪だ… もう、永遠亭は、いや、この病が広がったらこの幻想郷も終わりかねない……
蓬莱人である蓬莱山輝夜、藤原妹紅両名が病を発症、持ち前の治癒能力の高さゆえか直ぐに熱は収まったが、障害がでた。
幸い鈴仙達ほどの幼児化には至ってはない物の、二人とも精神退行を引き起こし、今や普通の少女でしかない……。
永琳先生が一人奮戦しているものの、どうすればこの病を抑えられると言うのだろうか。
そういえばこの永遠亭に近づくものを、人妖、動物問わずに此処最近何一つとしてみた事が無い。
幻想郷の大事にはスキマ妖怪が動くと言うが… もしや、永遠亭はそのスキマ妖怪に見捨てられ、切り捨てられたのだろうか…?
□月Ζ日
……なんと言う事だ、信じていた神が残酷な悪魔だったとは……。
私は恐らく、今日中にでも処理されるだろう、だが、その前に真実を、書き記しておく。
永遠亭に流行った病の正体、それは八意永琳による実験によるものだった、どうやら記憶の逆行、並びに任意抹消により対象を幼児化する薬の実験を行ったらしい。
最初の実験台は鈴仙、次にてゐ、そして因幡達、そして輝夜・妹紅両名はこの事実を嗅ぎつけたが故に実験台にされたらしい。
信じがたいが、事実だろう、何せ本人の日記から読み取った物なのだから。
さらにこの永遠亭を完全な密室にしたらしく、スキマ妖怪でさえも侵入できない程に強固な結界を張っており、誰も出ることもはいる事もできないらしい。
幸いなのはその密室内部で完全な自給自足が可能、と言う程度か。
自らの家族を実験台にし、完全なる密室を作ってまで彼女、八意永琳が何を求めていたのかと思えば… これこそ信じられない。
どうやら彼女は、この私を、△×○○に一目惚れしたらしく、私を蓬莱人にする為の下準備としてこのような事をしたらしいのだ。
私の記憶を完全に逆行させ、自らが『母』代わりとなり育て、【永遠】を【普通】にし、蓬莱人にした後、『妻』となる為に………
狂っている、彼女は、八意永琳は狂っている、何故私一人の為だけに、自分の家族を、全てを犠牲にできると言うのだ!!
どうやら、私の記憶も此処までらしい、先生が、彼女がこの部屋に歩いてくる音が聞こえてきた。
蓬莱人にすら効果を発したと言う薬に、ただの人間である私が抗えるはずも無く、彼女との力比べなどなおできようはずも無い。
……部屋の前についたようだ、しきりに私を呼ぶ声が聞こえる… たとえ自殺を図っても、彼女相手では直ぐに蘇生されて終わりだろう。
願わくば、この日記が誰かの手に届きますように、△×○○という存在がいた証が、誰かに……(此処から先は墨が零されているらしく読むことができない)
1スレ目 >>117-118
「……今まで、本当にありがとうございました」
そう言って○○は今まで世話になった面々に深く頭を下げた。
「外の世界でも元気でやりなさい。仮にも貴方は私の従者だったのだから」
「……何時から僕は輝夜の従者になったんだ」
「冗談よ。また遊びに来なさいよ」
「……約束は出来ないよ」
「あら、私の求愛を断るつもり? つれないわね」
「そうだね、もしもまた幻想郷に来ることがあれば真っ先に寄らせてもらうよ」
「……約束よ」
「ああ、約束だ。……それじゃあ、そろそろ行くね」
あまり話していると名残惜しくなる。
そう思った○○は振り返らずに博麗神社に向かった。
しかし気になってはちろちろと後ろを振り返りつつ、まだ手を振っている皆の様子を確認してちょっと苦笑しながら永遠亭での数ヶ月の生活を思い出していた。
12月のある日、幻想郷に迷い込んだ○○は永遠亭に保護された。
○○は普通の大学生だったが、外の知識とそれを面白おかしく話せる話術が輝夜に気に入られてそのまま永遠亭で過ごすことになった。
それから○○は輝夜の話し相手になったり永琳の薬の実験台になったり鈴仙と一緒に永琳にこき使われたりてゐに騙されたり……そんな日々を楽しく過ごした。
外ではけっして体験できない様々な出来事を前に○○は自分は来るべくして幻想郷に来たのだと最初は思った。
……しかし○○は幻想郷には馴染めなかった。
永遠亭で保護されて衣食住には困らずまるで夢のような生活を送っていたのだが、ある日用事の為に外に出た時に妖怪に襲われた。
その時○○は真の意味で幻想郷という世界を理解した。ここでは○○のように何の力も無い人間は本当に簡単に死んでしまうことがあるのだと。
本当にどこにでもいそうな普通な青年だったからか、そんな簡単に命が失われてしまうかもしれない幻想郷という世界そのものに恐怖を感じるようになった。
何度かそんなことがあって精神的に辛かった時に酒の席でそれを永琳に告白した際に「なら私がまもってあげる」と言われた際など感極まって号泣してしまったほどだった。それほど恐ろしく感じていた。
それ以来何かと永琳と行動と共にしたり鈴仙やてゐに空の飛び方などを教わったりしてある程度その恐怖も薄まったが、それでも外の世界が懐かしかった。家族や友達が恋しかった。
しかし同時に永遠亭の面々とも離れたくなかった。たった数ヶ月の生活だったがあまりに濃厚な日々が輝夜達との時間をまるで数年来の付き合いのように感じさせたからだ。
帰りたい。けれど帰りたくない。死にたくない。けど護ってもらえるじゃないか。確実とは言えない。けど外の世界でも命の危険はある……
そうやって何日も悩んで悩んで最後の最後まで迷ったのだが、○○は結局外の世界に帰ることにした。
そして季節が春になると迷い込んだ際に持っていたわずかな手荷物と一緒に住み慣れた外の世界へと戻っていった……
○○が結界を抜け外の世界に戻り家に帰ると家族が呆然としていた。
数ヶ月も行方不明になっていたのだから至極当然の反応だったのだが、ただ○○が無事なことを喜んでくれる家族の様子を見て○○は帰ってきたことは間違いじゃないと思った。
流石に幻想郷での出来事は話せなく訝しがられたりもしたが結局失踪していた間の記憶が無いとごまかすことにした。
最初はちょっとしたニュースにもなったりしたが、すぐに沈静化した。幻想郷でのことは誰にも話していないので当然のことなのだが。
そうして○○は幻想郷に行く前の、ごく普通の生活に戻った。
……かに見えた。
○○がふとおかしいと思ったのは元の生活に戻ってから一ヶ月ほど経った時だ。
それは大学で講義を受けていた際に偶然ノートの端で指を切ってしまったというどこにでもありそうな出来事だったが、その傷がすぐに塞がったのだ。
指先を見たら傷はどこにもなく一瞬見間違いかと思ったがノートに薄っすらと血が付着しているし、痛みも感じたのでそれはないと思った。
その時は幻想郷での生活で治癒力が上がったのかと思った。傷の治りが早いことが悪いことではない、そう思って。
しかし○○が感じた違和感はそれだけに終わらなかった。
それから何年か経ち、大学も卒業してそれなりの会社に就職した○○はそれなりに幸せな毎日を送っていた。
結局自分の目当てだった会社に就職することは出来なかったが元々大抵の物事をそつなくこなす○○は数年も経てば会社でもちょっとした人気者になっていた。理由の一つに輝夜にも気に入られるきっかけになった話術があったのだが○○は既にそのことを思い出すことは少なくなっていた。
○○にとって幻想郷での出来事は既に過去のことになっていた。たまに夢で当時のことを思い出しては皆は元気だろうかなどと考えたりはしたがその程度だった。
そして○○は同じ会社に勤めている一人の女性と付き合い始めることになる。
幻想郷で出会った面々に比べれば流石に見劣りするが、料理が得意な優しい女性だった。○○は女性との結婚も既に考えていた。
付き合い始めてから三年で二人は結婚した。
○○は本当に幸せだった。
結婚してから十年の月日が経った。
○○は四十歳になったのだが、見た目が二十歳の頃と全然変わらなかった。
何時までも若々しい○○に周囲の人間は何か秘訣はあるのかと聞いてきたが○○自身特に何もしていないので答えようがなかったが気にすることでもなかった。何時までも若々しいということ自体悪いことではないと思ったからだ。
だがそんな○○にも悩みがあった。結婚した女性との間に子供が生まれないのだ。
結婚してから当然のように夫婦の営みをおこなっていたのだが一向に生まれる気配が無く、それが元で夫婦の間で揉めることが増えた。
結婚して二十年がたった。
既に五十歳になり会社でもそれなりの地位についていた○○だが、あまりに見た目が変わらないことから陰で色々な噂が横行した。
会社での同期や大学からの友人から少しずつ敬遠されるようになった。何時までも若い○○の姿を気味悪がったり嫉妬したりと理由は様々だったが、皆が○○を避けるようになった。
○○と結婚した女性はそれがあからさまになってきた。何時までも変わらない○○の姿に恐怖を感じたからだ。妻として○○と共に過ごしていた女性は○○が異常なほど傷の治りが早いことも知っていた。○○がまるで人間ではないように見えたのだ。
流石に○○もおかしいと思い、医者などに見てもらったのだが完全な健康体だとしか結果が出なかった。五十歳を過ぎても老いないという明らかな異常があるのにその異常の原因が分からないのだ。
そしてそれから更に数年が経った。
夫婦間での亀裂は修復できない大きさになり、離婚が成立した。
会社でも完全に孤立していた。数年で定年退職という年齢なのに新入社員よりも若く見えてしまう○○は異常だった。異物だった。仕事が出来ることがかろうじて○○を会社に繋ぎ止めていた。
○○は自分が分からなかった。どうしてこうなったのか分からなかった。自分が恐ろしかった。
気が付けば○○は米寿になっていた。
とうの昔に両親は他界し、肉親は既に誰も居なかった。離婚した妻も○○が米寿を迎える4年前に老衰で亡くなった。
○○は一人だった。
全く老いないということがテレビの番組で取り上げられたりしたが、あまりの異常性に誰も寄り付かなくなった。
誰も居ない家で寂しく食事をする時に決まって思い出すのは幻想郷での日々だった。
そして○○は幻想郷を探すようになった。幻想郷でなら老いない程度で問題にならない。○○の居場所は最早幻想郷にしか存在しなかった。
「……そろそろ○○がこっちにやって来る頃かしら? もう限界でしょうし」
○○と別れた頃から全く変わらない姿で、永琳はそう呟いた。
永琳は○○と別れる直前に蓬莱の薬を○○に分からないように飲ませていたのだ。
永琳は○○が好きだった。○○を愛していた。○○が欲しかった。だが同時に○○が恐れているものを知っていた。
だからいずれ○○が元の世界に戻ることを知っていた。だから蓬莱の薬を飲ませたのだ。
そうすればどんなに時間がかかっても○○は自分の元に戻ってくることを理解していたからだ。
「これからはずっと一緒よ……○○……」
1スレ目 >>883-885
>>22>>23>>25のさらに補完
その晩、烏天狗はある使命を帯びて竹林の奥の屋敷を訪ねた。
最近、紅の館もろとも消え失せたあの男について調査だ。
数日前、里を探索していると稗田家のものに声をかけられた。
当代の御阿礼の子が話をしたいとのことだった。
屋敷を訪ねると、挨拶もそこそこに依頼を持ちかけられた。
あの男のことだ。
彼はあの通りの人物なので、求聞史紀に項目を作りたくてもそれができない。
だから、彼のことを比較的よく知っていると思われる竹藪の奥の連中にいろいろと聞いてきてほしい。
天狗はすぐに話を受けたかったが、その場では答えを出さずに上役に判断を仰いだ。
自分の職分から逸脱すると思ったからだ。
バランス感覚に優れる天狗の面目躍如といったところか。
少しして、上司からゴーサインが出た。
決定が下されるまでどのようなやり取りが上層部で行われたのか。
彼らはどのような利益が見込めると判断したのか。
彼女はそういったことについてあたりをつけられる程度には聡い女だった。
だが、拝命した時にはそんなそぶりを見せなかった。
彼女にとっての賢さとは、まさにそのような種類のものなのだ。
あの男のそれとはまるで逆。
稗田家に依頼の受諾を報告するための道行、そんなことを考えては自分の不自由さをわらった。
彼女はあの男が苦手だった。
それでいて好きだった。
いや、彼女だけではない。
妖怪という妖怪は皆、あの男に引け目と真摯な愛情を感じていたのだ。
あの男が幻想郷に住み着いてから一月ほどしてからのことだ。
彼はそのときすでにちょっとした有名人になっていた。
霧の湖のほとりに滞在し、生き残っている。
これは不思議だ。
彼女は仲間を出し抜いて独占取材を試みた。
結果は芳しくなかった。
何を質問しても、彼は黙殺した。
これでは何も書けない。
だが、彼女はなにか書かねばならない。
結局、わずかな印象を元に彼女流の「真実」を引きだし、それを記事にした。
仲間内での評判は、予想に反してそう悪くはなかった。
だが、それは自分の目の届く範囲での話だ。
陰でどのような口を叩かれているか想像するだけで彼女は憂鬱になった。
彼にも報告しなければ。
出来上がった記事を取材相手に見せるのが彼女の習いだった。
あの男は、記事を手渡すとそれに目もくれずにこう言った。
何も話さなかったのに、新聞なんて書けるのですか。
軽く怯んだ彼女にさらにこうたたみ掛けた。
先日鬼に聞いたのですが、あなた方はずいぶん不自由な思いをしていらっしゃるようですね。
なにを、といぶかしげな様子で天狗が尋ねると、人間はこう続けた。
言い方を変えようか。あんたは自分の居場所を守るために真実を売ったんだ。
瞬間、天狗は全身がひきつり、呼吸が止まるのを感じた。
見透かされた。
緊張の波が去ると、次はひどい脱力感が彼女を襲った。
反論する気になれない。
殺す気にはもっとなれない。
今こそ理解した。
この人間が何故ここで生きて行けるのか。
何故、あのスキマ妖怪が「電卓女」呼ばわりされても手出しできないのか。
妖怪の真価とは何か。
圧倒的な力。
実にわかりやすい、しかし平板な理解だ。
本当はこうだ。
胡散臭さ。
妖怪は強い。
それは事実。
だが、彼らは思わせぶりな態度でその、実際の強さを何倍にも拡大してみせて人間を縛り付ける。
これこそが妖怪の本質。
鬼のいない現在、あのスキマ妖怪がもっとも妖怪らしい妖怪として君臨している理由。
そして、それもいまこのちっぽけな人間に見破られてしまった。
殺しあいも所詮は人と人(妖怪)とのやり取りにすぎない。
そこには腕力でも覆せない、微妙な力関係が存在する。
その点で負けた。
恥も外聞もなく地に伏した彼女の所に男が何かを持ってくる。
それはひとかけらの角砂糖だった。
これが彼のせめてもの贅沢というわけか。
胸の内で呟きつつ、それを放り込む。
甘い。
口に出すと。
男が。
砂糖ですから。
真面目な、真面目すぎるくらい真面目なその調子に軽く笑う。
砂糖ですからね。
そう合わせながら、彼女の心のなかで何か固いものが、それこそ砂糖のように溶けていくのを感じた。
あの、と月の兎が言葉を発する。
天狗は今となっては遠い、甘美な疼痛を伴う思い出から現実に引き戻される。
その、師匠は今出られないそうです、兎が続ける。
玄関先でずいぶん待たされたあげくこれか。
軽く嘆息して覚悟を決める。
こういう場合、てっとり早く自分の要求を通す方法が幻想郷にはある。
あれをやるか。
月の兎の後、抵抗はとくにない。
途中で出くわした年経た兎が眼を伏せ、見て見ぬふりをすると、他のものもそれに倣った。
容易に薬屋の仕事場にたどり着く。
戸を叩いて中に入ろうとしたそのとき、何かが飛び出してくる。
天狗が忌々しげにそれをのけようとした瞬間、それが人間の男、それもすでにここにはいないはずの彼であることに気付く。
なんで、と口の中でその疑問を反芻する。
ひどく憔悴した様子の男を抱き起してもっと良く見ようとした彼女の耳に奥から声が聞こえてくる。
これもだめだ。
それは、はたしてこの部屋の主人のものだった。
ゆらり、ゆらりと歩み寄り、天狗の腕から男をもぎ取ると、抜き手でもって薬屋は彼の胸を何の躊躇もなく貫いた。
どっと倒れる彼に近寄ろうとした天狗を薬屋は一喝した。
やめろ。
天狗も負けていない。
あなたは自分が何をしたのかわかっているんですか。
感情をむき出しにした天狗を見ると、憑き物が落ちたように茫洋とした表情で薬屋は言った。
それは偽物よ。
は、と言葉を失った様子の天狗から眼をそむけ、彼女は続ける。
彼がここにいたときにちょっと「一部」を頂いてね、でっち上げたの。
口を大きくあけたままにしている天狗をおかしそうに見つめたかと思うと、今度はひどく取り乱した様子で喚き散らす。
でも、だめだったの、偽物はやはり偽物、原典ではないのよ、ほら。
男の遺体をぐいと掴むと天狗の顔に押し付ける。
ここが違う、ここも、そう、ここも、ああ、ここも違う、だめ、こんなのは彼じゃない、ほら、ここもこんなになって。
死体が喚起する生理的な嫌悪感だけでなく、もっと根深いところから生じる目の前の女への恐怖に天狗は震える。
大きく翼を広げ、その場から脱出をもくろむ。
待ちなさい。
ぞっとするような金切り声が背中にぶつかり、いよいよ速度を上げて屋敷から飛び出す。
竹藪を抜け、さっと視界が開けるのを確認してからようやく一息つく。
もう大丈夫だ。
だが、それですべてが解決したわけではない。
あれは何だったのだろう。
薬屋の態度に、いなくなったはずの男と彼のクローン。
そういえば彼女の主はどこへいったのか。
ごちゃごちゃとした、それでいて強烈なもろもろの印象が彼女を苦しめる。
今日はもう何もする気になれない。
神社にでも行こう。
鬼を誘って酒でも飲めば楽になれるかもしれない。
天狗は彼女に似合わぬ弱々しい様子で飛び去った。
2スレ目>>54-56
「不妊症、ですか」
「はい。文字通り決して子供が産めない、という病気です」
「そ、そんな!俺たちの子供が……永琳先生、何とかなりませんか!お願いします!」
「慌てないで下さい、○○さん。確かに子供はもう作れませんが、それは貴方の奥さんとです」
「…………え?」
「貴方にはまだ生殖能力はあります。子供が出来ない訳ではありませんよ」
「でも……どうやって……」
「……借り腹、という言葉を知っていますか?」
「そんな!相手に迷惑を掛けられないですし、妻もなんて言うか……」
「私が産みましょう」
「………………はい?」
「ですから私が貴方との子を、貴方の奥さんの代わりに産む。というのはどうでしょうか」
「ええええええええ永琳先生!?」
「落ち着いて、○○さん。医療の為ですから何の不義密通もありません。」
「子作りというものは昔から愛するもの同士がしないと……」
「その点なら大丈夫です。私は少なからず、貴方の子を産みたいと思うほどには
貴方の事を愛しています。それに顔には少しは自身がありますし、
おっぱいだって結構あると思いますよ、ほらこの通り…………」
「わわわっ!いきなり服を脱ぎだすなんて…………」
「○○さん。こんな私と子作り……してみませんか?」
「……ゴクリ………………は…………い…」
「そうと決まったら早く寝室へ行きましょう。なにしろ医療行為ですしね。やればやるほど効果が出ますし、
睡眠で8時間、食事排泄その他諸々で2時間、残りの14時間を一日の治療に充てます。
……ああ、きちんとてゐに貴方の奥さんを説得させて、生活費を送っておきますし、
ウドンゲには食事や精力剤を作らせておきますから、どれだけまぐわっても大丈夫です。
何日でも、何年でも、私以外の事を考えられなくなるまで…………」
2スレ目 >>943
○○月××日
今日から日記をつけたいと思う。
何故かといえば、今日からやっと本格的に俺のこの幻想郷での生活が始まるからだ。
いきなり外の世界からやってきて当然この幻想郷に住む場所など無かった俺ではあるが、
今日からやっと竹林の中に存在する『永遠亭』なる場所に住まう事が決定した。これでようやく人里で他人の家を渡り歩く生活もおしまいだ。
最も、代償としてここの家事雑事は全て引き受けるのだが、暖かい家に住むことが出来るのはそんな事を気にしなくて済む程のメリットだ。
永琳さんの手料理も凄く美味しかったしな。
明日から仕事が始まる。何、今まで泊めてくれた人の家でも同じことはやってたから慣れてるさ。さて、そろそろ眠ることにしよう。
○○月□□日
いきなりではあるが、永遠亭の住人は変わっていると思う。いや、もっと正確に言うなら永琳さんが変わっている。
何故、永琳さんは見ず知らずの自分をいきなり雇うと言い出したのだろうか?
レイセンさんが言うにはあそこまで姫様に俺を住まわせるよう、お願い――――いや、命令にも近い口調で喋ったのを見るのは始めてだったらしい。
自分はその場にいなかったので詳しくは分からないが。
何はともあれ、変わってはいるが永琳さんはいい人だ。俺みたいな後ろ盾も、特別な能力もない人間を住まわせてくれるし。
いつか此処を出て行く時にはお礼をしなければ男が廃る。
□□月△△日
今日の出来事は正直、思い出したくない。里に一人で薬を配っていて日も暮れたから帰ろうとしたら、竹林の奥で、妖怪が人を食っていた。
遠目でよく見えなかったが、喰われていた人間の着ていた服は明らかにここの人間が着ている物とは違っていた。
妖怪は俺に気がついていないのか、ただずっとその人間だった物を下品な音を立てて喰っていた。血をビチャビチャと撒き散らしながら。
辺りに鉄と糞と、尿が入り混じった匂いをばら撒きながら。
外来人、俺と同じ、外の世界の人間。噂によると、ここの管理者である大妖怪は妖怪たちに外の人間を攫ってきて、食わせてるらしい。
吐き気が、した。俺もその程度の存在だと思われているのだろうか? 永琳さんにとって俺は、ただの外の世界の人間のサンプル?
あの俺が仕事を終えた後に見せてくれていた見惚れる様な笑みも演技?
これ以上は考えたくない。今日は眠る。今度里にでも行ったらここに代々住まう家が書いている幻想郷に住まう者について纏めた書物を買おうと思う。
△△月□□日
今日ほど自分が馬鹿だと思った日はない。今日、貯めていた小遣いを叩いてここについて纏めた『幻想郷縁起』を購入して、絶望した。
この世界では俺達人間は只の料理、ただの無力なモルモット、檻に閉じ込められ飼い殺しにされたサルだ。
妖怪は人を簡単に殺す。呆気なくだ。中には殺した人間を剥製にしてコレクションしてるものや、畑の養分にするもの。
挙句には湖のほとりにあるあの紅い屋敷では何人もの人間が『食材』として消費されているらしい。
だが、それ以上にショックだったのは永琳さん達についての記述だ。結果から言えば、永琳さんは人間だ。そう書かれていた。
死なず、年を取らず、ありとあらゆる薬を生み出すことが出来て、月にある都の賢者だったというのを除けば普通の人間だ。
……正直、自分でも書いてて悲しくなる。淡い恋心みたいな物もあったのだろうけど何処かに吹っ飛んでしまった。
そもそも俺は何を期待していたのだろうか? 永琳さんと恋人? そんなことありえるわけないじゃないか。彼女は俺とは違うのだから。
彼女からすれば俺なんて、そこいらのゴミと同じなんだろう。彼女が興味あるのは姫様と、自分の研究だけだろうな。俺なんて蚊帳の外だろう。
明日からは少しだけ距離を置くことにする。向こうもその方が嬉しいだろう。俺みたいな穢れた地上人と会話しなくて済むのだから。
□△月△日
信じられないことが今日起きた。一言で言うと、彼女に告白された。
勿論断ったが。あの赤く染まった顔も演技なのだろう。億年単位で生きれば名優並みの演技力も身につくのだろうなとつくづく思った。
つまり彼女は玩具が欲しいのだ。俺と言う玩具でただ自分の退屈を紛らわせたいだけなのだろう。
だって俺みたいな何のとりえも能力もない一般人を月の賢者様が好きになるわけない。それに俺は不死などではない。
付き合って結ばれてもいつか先に死ぬだろう。いや、むしろ俺が老けていくのを盆栽の成長を見るような感覚で見たいだけなのだろう。
そしていつか俺のような存在の事など忘れ去るのだ。そうに違いない。
理由を聞かれたからこれらの事をオブラートに包んで言ってあげた。
俺は貴女と同じ時間を生きれません。と。次に彼女がいった言葉に俺はもっと驚いた。
何と、それならば俺の為に人を不死にする蓬莱の薬を作るというのだ。鬼気迫る表情でそういう彼女にはいつもの冷静さなど欠片も見当たらない。
全く大した演技力だ。普通の人間なら騙されるだろうが、俺は違う。大方「一般人が不死になったらどういう精神状態になるか」のデータが採りたいらしいが
、俺は実験体なんて真っ平ごめんだったから、これも丁重に茶を濁すような返答の仕方で断った。
そのまま彼女の返答を聞かずに俺は自室に戻った。正直、俺の頭の中は俺の事を何とも思っていない賢者様何かよりももっと大事な事で埋め尽くされていた。
そう、故郷への帰還だ。里で聞いた話によると博霊神社という場所に居る巫女さんに賽銭を払って頼めば外に返してもらえるらしい。
教えてくれた里の住人は俺が知らないことに驚いていたな。てっきり薬師が教えていたものだと思ってたらしい。
でも、生憎俺は彼女に一言もそんな事を教えてもらっていない。理由は大体分かる。俺というサンプルをずっと此処に飼っていたいのだろう。
偽りの愛を囁いてまで。恥知らずめ。
しかし残念だったね。俺は来週にでも外の世界に帰るとするよ。こんなイカレタ世界絶対に嫌だ。こんなイカレタ賢者が居る家なんて絶対に嫌だ。
実験台なんて絶対に嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、いや、だ。
○○の日記はここで終わっている。
○○月××日
今日は素晴らしい日だ。何故ならば○○が今日から永遠亭に住み込んで働いてくれるからだ。
○○……里の家を転々としていた外来人で性格は明るく、働き者で素直、子供好き。そしてとっても優しい人。
思えば、始めて彼を遠目で見た時から私は彼に惹かれていたのだろう。彼という存在そのものに。
明日から彼がこの家で働き始める。あぁ、明日が楽しみだ。これほど胸がウキウキしたのは数億年の私の人生の中でも始めてだろう。
博霊神社については後々教えたいと思う。まだ早すぎるのだ。今教えたら帰ってしまうかもしれないじゃない。彼には彼の意思で私の傍にいてもらいたいのだ。
○○月□□日
今日は彼に魚を釣ってもらった。大きな大きな魚だ。彼曰く泥を抜いて食べると美味しいらしい。早く彼と一緒に食べたい。
その時はあの夜雀の店から何かつまみでも買うとしよう。
○○の笑みがとっても眩しくて、年甲斐もなくドギマギしたのは此処だけの話だ。
□□月△△日
今日は薬の売り出しから帰ってきた○○の様子が何処か変だった。顔は真っ青で身体がガクガクと震えている。
何かあったのかと聞こうとしたら、小さくヒッと叫んで自室に走っていってしまった。
追いかけようとしたが、優曇華に薬の配合の事で呼び止められ、結局話を聞けなかった。
△△月□△日
おかしい…今日の○○は何かおかしい。会話を振っても外面だけはまともに受け答えするが、中身、心は篭もっていない。
それどころか、彼の私を見る目には明らかな『怯え』が混じっていた。彼は隠しているつもりなのだろうが、私にははっきりとそれが見えた。
何か、あらぬ誤解をしているのだろうか? 私が○○を害することなどあり得ないのに。ねえ話して?貴方は何か勘違いしてるのよ。お願いだから私にいつもみたいに
心からの笑みを見せて。
結局○○は以前釣った魚を食べた時も私に対して心から笑ってくれなかった。変わりに私達に注がれるのは疑いの目。まるで妖怪を見ている様な怯えを含んだ目。
手の届かない存在を見るかの様な無関心な目。何で?何で?何で?分からない。○○がどうしてそんな目を私に向けるのかが分からない。月の賢者と呼ばれた私でも分からない。
□△月△日
今日、彼に、 きょぜつされた。 完全にだ。 そして、彼は、、、もう隠そうともせずにワタシヲ化け物でも見る目で見た。こんなにあいしてるのになんで?
分からない分からないわからないワカラナイ。
□△月□日
偶然○○の居ない間に見た彼の日記を見て、全ての疑問に答えが出た。全ては些細な誤解なのだ。○○の中では私は彼を実験体ぐらいしか思ってないそうだが、
それは誤解だ。だから誤解を解くために○○には少しの間大人しくして貰わなければ。
そう、○○に精神安定剤を投与して、その後に私の言葉を素直に信じるようになる薬を打たなければならない。
何故ならば私は医者だからだ。○○は治さなければならない。○○は病気なのだ。私は彼を治さなければ。
治療時間は大体100年ぐらいだ。私だけが彼を治せる。蓬莱の薬を作っている時間が惜しい。変わりにあの竹林の不死の少女の肝でも持ってくるとする。
ここで日記は終わっている。
>>up0865
最近よく体を壊す。
昔から病弱なほうではあったけれど、
ここ最近はとみにひどい。
ついには宴会の只中でぶっ倒れ、
皆に心配されるあまり、永琳さんの勧めで
永遠亭に部屋を借りることになったくらいだ。
ま、まぁ、彼女と会話できる機会が増えたから
俺としては万万歳なんだけどさ?美人だし、優しいし、薬はよく効くし。
……料理が苦手だと知ったのはつい最近。
4スレ目>>309