■さとり1
- やんでれさとりんといっしょ 或いは『ファムファタル』
ごきげんよう、と彼女は言った。
僕もごきげんよう、と答えた。
地霊殿、古明地さとりの私室――の、隣の部屋。そこに僕は閉じ込められている。
とはいえ、手足を雁字搦めに拘束されているわけではない。部屋から出られないことを除けば、逆に快適とさえ言っていいほどだ。
トイレ風呂完備、食事はきちんと三食(ちゃんと人間向けのものを)食べられるし、欲しいものがあれば言えば持ってきてもらえる。
――『他の誰か』、以外は。
有り体に言えば。僕はさとりに監禁されている。
「…………」
そんな僕の心を読んだのか、さとりはびくりと身を竦ませた。表情には哀しみと怯えが見える。
ああ、大丈夫だよ、別に不満なわけじゃないんだ。だから、いつも通りにしていてくれないか。
そう伝えると、さとりは恐る恐るといった感じで僕に近づき、そっと、両手で頬を包んでくる。
「……ン」
唇の湿った感触。続けて、ぬるりと彼女の舌が僕の口内に入ってくる。
「ぁ、ん……」
こうしていつも、暇さえあれば、僕達は睦み合っている。
他に何もできることがないから。
以前は――以前は、違っていた。二人で地上に出かけたり、それを色んな人妖に冷やかされたりした。
決して悪くはなかったそんな日々は、けれど、二度と訪れることはないのだろう。
さとりの身体を受け止め、ベッドの上に仰向けで倒れる。
だらしなく口の端から唾液を垂らしながら唇を交わす。
傍から見ればこの上なく熱情に支配された行為でありながら、しかしさとりの心には、なおも大きくその感情が居座っているのだろう。
後悔という名のそれが。
それをさとりが抱く理由なんて、ないと言うのに。
こうして自由を奪われ、閉じ込められ――けれど、悪いのはきっと僕だ。僕が、彼女の心を分かってあげられなかったからだ。
さとりは、その能力ゆえに他人に疎まれながら生きてきた。
そうした中で、初めて自分を心から受け入れてくれたのが、僕だったのだそうだ。
僕達は出会い、恋をした。僕達は幸せだった。
けれども、心が読める彼女は不安だったのだろう。僕が自分の前からいなくなってしまわないかと。
あなたは誰にでも優しい、と、いつかさとりは言った。そんな僕だから、誰からも好かれるのだろうと。
それが彼女には、きっと耐え難いことだった。
聡明な彼女のことだから、頭では理解していた。心が読めるから、僕の想いがさとり以外の誰かに向けられることがないと、知っていた。
それでも、嫌われてばかりの人生だったから――いつか僕までそうなってしまうんじゃないかと、彼女は思ってしまったのだ。
一度芽生えてしまった不安は取り除くことができず、いつしか彼女の中に根を下ろした。
寂しかっただけの彼女のその感情を、誰が責めることができるだろう。
責められるべきはこの僕だ。彼女が抱く寂寞を分かっていたつもりで、ちっとも分かっていなかった。
こうして彼女の檻に入れられるまで、彼女の本音に気づいてやれなかった自分が、一番悪いのだ。
「っ、違うっ……!」
搾り出すようにさとりが叫ぶ。
「ちがう、ちがう! あなたは何も悪くないっ! 悪いのは全部私なのに……!」
僕に馬乗りになったまま、駄々をこねる子供のように彼女は泣きじゃくる。
どうして、君は泣くんだ。後悔なんてする必要はない。悪いのは僕で、君は自分の心に従っただけなのに。
僕はこうなったことを微塵も恨んでいない。むしろこうすることで彼女の想いに応えられるのなら、それは幸せなことだと思う。
なのに彼女は、いつもこうして嘆いてばかりいる。
……本当は、彼女も、この行為が間違っていると気づいているのだろう。
けれども、僕を解放することも、またできない。
どこかに行ってしまうのではないか、誰かに取られてしまうのではないか。その恐怖に縛られている。
そんなことあるはずないと分かっていても、なお。
彼女はただ、寂しがりで、臆病なだけの女の子だ。心が読めるという、それだけで忌み嫌われた、可哀相な一人の少女だ。
そんな彼女が、自分の想いで自分を傷つけている現状が、とても哀しい。
そっと、彼女の頬を撫でる。
「あ……」
さとり、君はどうすれば泣き止んでくれるのだろう。
いつかのように、僕に微笑んでくれるのだろう。
僕の声はもう君に捧げてしまって、他の誰も聞くことがない。
それでも、君は足りないのだろうか。
「そんなこと……! 喉だって、潰さなくても、良かったのに……!」
ああ、そうだ。これは僕が勝手にやってしまったことだ。
けれども、僕は後悔なんてしていない。これは君の想いに気づけなかった僕への罰であり、君への想いの証だ。
君以外に、僕の言葉が届くことがないように。
君が不安になるというなら、他のどんなものだって僕は捧げる。
目も耳も潰してしまって、君以外、誰も僕の心を悟られないようにだってしてあげられる。
命すら、君になら奪われてしまっても構わない。
それでも君は、まだ不安なんだろうか。
「……ぅ、ぁ……」
ほろほろと、彼女の瞳からまた涙が溢れ出す。僕はその身体を優しく抱きしめた。
いいんだ。君が気に病む必要なんてない。そう心で伝える。大切な人に去って欲しくないというのは、誰だって同じだ。
僕も、さとりが自分の前からいなくなるなんて、考えただけで気が狂いそうになる。
けれど、どれほど想おうとも、それを証明する手段は存在しない。
心が読めるさとりの前で嘘をつくことはできないが、心は、変わっていくものだから。
神前で永遠の愛を誓おうと、それが真実永遠であるとは限らない。
指輪を交換しようと、書類上で婚姻を結ぼうと、子供ができようと。
未来は誰にも分からない。今こうしてさとりを抱いている僕の心ですら、いつしか、全く違う形に変わってしまうかもしれない。
それが怖くて怖くて――だから、さとりは僕を閉じ込めた。
「あぁぁぁっ、ぅぁあ、ぁぁぁぁああぁ……ッ!!」
だから、彼女は泣くのだ。
いつか訪れる未来への恐怖に。そのために僕を閉じ込め、自由を奪ったことへの罪悪感に。
そこまで分かっていながら、それでもなお、僕を手放すことのできない自分自身への憤りに。
「ごめんなさい、ごめんなさい……!」
君が謝る必要なんかないんだ。そう何度心で伝えても、きっと彼女の懺悔は止むことがないのだろう。
どれだけ言葉を重ね、身体を重ねようと。
心だけは、決して重ねられないから。
「ごめんなさいぃ……!」
でも、いいんだ。僕は今、君のそばにいられて幸せなのだから。
だから、いつか。いつかでいい、また笑っておくれ。あの日太陽の下で見せてくれた微笑みを、もう一度僕に見せてくれ。
それだけを、今、願って止まない。
あとがき
病んでない……だと……?
>>up0483
誰か助けてくれ。
さとりが、さとりがおかしいんだ。
糸のようなものを俺に巻き付けて離してくれない。
四六時中、俺にくっついて耳元で愛を囁くんだよ。
それだけならいいけど、「私以外のことを考えるなんて許せない」、「あの女のことは忘れなさい」、「帰りたい?……しつけが足りないみたいね」って強制的に( )をしてくるんだ。
今は眠っているから大丈夫だけど……。
どうしてこうなったんだろう……。
1スレ目 >>267
○○「・・・」
そこは、地下室だった・・・
男が鎖で繋がれていた。
お空「○○、晩御飯持ってきたよ・・・」
○○「・・・」
誰の言葉にも返事をしなかった・・・
○○「・・・」
そこは地下室だった・・・
男が鎖で手足をつながれていた。
服は白くて質素なTシャツにGパン。
お燐「お兄さん・・・だいじょうぶかい・・・?」
○○「・・・」
誰の言葉にも答えなかった・・・
○○「・・・」
そこは薄暗い地下室だった・・・
男は手足を鈍く光る鎖で拘束されていた、鎖の先は壁へ繋がっていた。
顔は下を向いてうつむいていた。
さとり「○○さん、様子を見に来ました・・・」
○○「・・・」
誰の問いにも答えなかった・・・
○○「・・・」
○○という外来人が鎖につながれていた。
髪は黒く、長く洗っていないのか、ぺったりとしていた。
手足はだらん・・・と、床にだらけていた。
こいし「○○・・・だいじょーぶ・・・?」
○○「・・・」
誰の問いにも答えなかった・・・
○○「ははは!もっといけるだろ!勇儀!」
勇儀「ああもちろんさ!」
ヤマメ「もっともっと〜♪」
宴会の真っただ中、地霊殿ではよくある光景。
その中に、簡素な黒いTシャツにGパンという不釣り合いな格好の・・・外来人がいた。
勇儀「さぁ!返杯だ!」
○○「おぅ!ングング・・・」
パルスィ「あんなに酒に強い○○たちが妬ましいわ・・・」
その男は、顔も普通髪も黒い目も黒い、普通の日本人、だが、常人とはかけ離れて酒に強かった。
鬼に匹敵するほどに。
○○「おら!さぁ返杯!」
勇儀「いいだろう!」
それだけで地下の連中にはなじむことができた。
一部を除けば…
○○「おう、いらしゃい。」
お空「うん、こんにちは〜」
○○は生計を立てるために店に頼みこんで、いわゆるチェーン店的なものを開いた。
売上を30%回すという条件で手伝いをするようなものだ。
店主も売り上げが向上してまんざらではない様子。
○○「今日は何がいリようかな?」
お空「ん〜と・・・なんだっけ・・・?」
○○は、差別とかをしなかった。
地霊殿近くに店を広げたため、地霊殿の物たちが利用することが増えた。
それも店主の喜ぶ要因の一つ、さとり達は地下の嫌われ者、誰も近寄りたがらない、向こうからも近づかない、しかし、彼女らも食べなければ生きていけない。そんな彼女たちに買い物は苦痛だった。
突き刺さる目線、聞こえる悪口。
そして何より、その主さとりには心の声が苦痛だった。
○○「また忘れたのかい?鳥頭だなぁ・・・」
お空「鳥頭じゃないもん!」
そんな中、彼らのあいだを○○がとり持つことになった。両方にとっていい出来ごとだった。
○○「おう、さとりちゃんいらっしゃい。」
さとり「ひさしぶりです・・・」
そんな彼は心の声も綺麗なのか、さとりも彼には近づけた。
以前無理やり入り込んできた腋や黒白は・・・例外として。
○○「ん?俺と一緒に夕食?」
お燐「さとり様が一緒に食べたいんだってさ。」
こいし「一緒に食べようよ○○。」
店じまいの時間、売上金を店主に渡し、帰り支度をする○○にお燐とこいしが呼びかける。
○○「なるほど・・・うん、ごいっしょさせてもらおうかな。」
お燐「いや〜わるいね!」
こいし「手ぇつないで〜!」
○○「はいはい、じゃあ行くか・・・」
彼らは地霊殿に向かって歩いて行った。
さとり「お忙しい中申し訳ございません・・・」
○○「店じまいした後だし、今日は予定もなかったから、それに人の頼みは断れなくてな。」
白い歯を見せながら笑う○○の顔につられてさとりもくすくすと笑う。
さとり「フフ・・・では、食堂はこちらです。」
さとりは、いや、さとりに限らず地霊殿の者たちは○○に好感を抱いていた。
○○は口で言うことばと心の声が一緒だ。そして○○はさとりの事を気持ち悪がらない。
さとりにとってはそれだけでありがたいことで、○○を意識した。主が気にすればペットもつられる。
姉が興味のあるものは妹も一緒に。
○○「いや〜、おいしかった・・・」
腹をパンパンとたたいて椅子にもたれかかる○○。
お空「お腹一杯・・・」
お燐「いつもおいしいけど、一人増えるだけでもおいしく楽しく食べれるね〜・・・」
こいし「そうだね・・・毎日こうだといいかも・・・」
さとり「そうね・・・」
○○「いやほんとごちそうさま。」
五人で思い思いに食後の談話、温かい時間が流れる・・・
○○「おっと、もう時間だな…そろそろおいとまするよ。」
さとり「そうですか・・・!?」
その瞬間さとりの笑顔が引きつった表情にいなるのに気づいた人はいなかった。
こいし「え〜、もっとゆっくりしていけばいいのに〜・・・」
お空「今日は止まって行きなよ〜。」
○○「悪いね・・・明日朝からはずせない用事があるんだ・・・」
お燐「ん〜・・・なら仕方がないねぇ・・・あたいが送っていくよ♪」
○○「ああありがとうな。」
さとり「まって!」
そういって部屋を出ようとする二人いを、珍しくさとりが大声で呼びとめる。
○○「うぉう・・・どうした?さとりちゃん。」
さとり「・・・○○さん、大事な話ってもしかして、店主さんとの店関連の話ですか?」
○○「え・・・?」
さとり「ちょっと小耳にはさみました。○○さんがもっと売るバリエーションを増やしたいとぼやいていたことをね。」
○○「あ・・・うん、そうなんガァ!!」
言いきる前に、さとりの放った弾幕が額を直撃し、派手に横転しながら○○は倒れた。
こいし「お姉ちゃん!なにやってるの!?」
息を切らしながら眼を血走らせる姉に妹が呼びかける。
さとり「・・・○○が嘘ついた・・・」
お空「え・・・?」
さとり「さっき用事があってて言うとき、○○は外界に帰るって心が言ってた、それなのに!!」
お燐「そん・・・な・・・」
四人と倒れた一人の部屋は、冷たい空気に覆われた・・・
○○「・・・ここは?」
目が覚めて、腕を上げて痛む頭をさすろうとして。
○○「ん?・・・なんだこれ・・・?」
手足に鎖が巻きついてるのに気がついた。
○○「なんだこれ・・・!?なんなんだ!?」
必死に取ろうとするが、音を立てるだけ取れる気配は一向にない。
さとり「目が覚めましたか・・・?」
その部屋の中に、さとりがはいってきた・・・後ろにはこいしもお空もお燐もついてきた。
○○「さとりちゃん・・・?みんな・・・?」
さとり「今から私の質問に、ちゃんと答えてください・・・嘘をつかなければ何もしません・・・」
何か言いたげな○○を無視し、さとりが一方的にしゃべる。
さとり「なぜ今○○さんはここにつながれていると思いますか・・・?」
○○「・・・わからない・・・」
ぽつりと答える○○。地下室の湿った空気が漂う。
さとり「・・・では次、あなたはなぜ嘘をついたのですか?」
○○「嘘・・・ばれちゃった・・・?」
相変わらず茫然とした表情で○○が言う。
さとり「質問に答えてください。」
思い切り平手打ちを喰らわすさとり。
お燐「さとりさま!暴力はダメです!」
○○「・・・色々言って心配かけるより、黙って行った方がみんな何も思わないって思って・・・」
頬を抑えながら○○が言う。
さとり「・・・これも嘘じゃないですね・・・じゃあ最後です・・・これが重要。」
座り込む○○と顔が向きあう。
さとり「なんであなたは外界に帰るんですか?」
○○「・・・向こうに残した・・・家族が心配でグゥ!!」
顔にぶち当たった弾幕で思いっきりのけぞる○○。
さとり「うそだ・・・・」
手を○○にかざすさとり。三人も茫然としている。
さとり「嘘に決まってます・・・」
嘘じゃないとさとりはわかっていた。
彼の心が嘘を言ってなかった。
さとり「うそだ・・・!!」
手から弾幕を撃って○○にあてる。
うめき声が響く。
さとりの眼から涙があふれる。
さとり「うそだぁ・・・!!」
人間でありながら、差別しなかった○○。
心が嘘を言わなかった○○。
まるで家族のように接してくれた○○。
さとり「家族が心配・・・うそだ!!」
お空「さとりさま!やめて!○○が死んじゃう!」
はがいじめにして必死に止めに入るお空。
息を荒げて涙をこぼすさとり。
大量弾幕を受けて横たわる○○。
こいし「・・・お姉ちゃん・・・」
さとり「うそよ・・・うそよ・・・」
お燐「・・・」
○○「だしてくれ…ここから出してくれ…」
さとり「うるさいです…想起「恐怖催眠術」」
○○「ぅ…あ…ああああああああ!!」
顔を見せるたびに出してくれという○○を黙らせるためにあの弾幕の痛みを思い出させる。それで恐怖でのたうちまわっておとなしくなった○○に、
さとり「帰らないって、約束すれば、もうここから出してあげます、ですから・・・」
○○「いやだ…俺は帰るんだ…」
それを繰り返すうちに、○○は壊れていった。
痛みから逃げるため、恐怖から逃げるため、何も感じなくなった。なにも答えなくなった、何も聞こえなくなった…
○○「・・・」
そこは地下室だった。
さとり「○○さん…聞こえますか?」
さとりがそばに立って呼びかける。
○○「・・・」
誰の言葉にも答えなかった…
>>麺類氏
――――ああ、○○さんったら頑張っちゃて
○○の心を読みながら彼女は微笑む。
今彼女が読んでいるのは最近地霊殿に住みだした○○の心だ。
彼女が密かに思いを寄せている相手である。
その○○は地霊殿の外壁を洗っていた、ここに住む際にさとりが提示した条件が地霊殿の雑務をするというもののためである。
○○はその条件をちゃんと守っていたがその条件をだした当の本人はもうそんなことはどうでもよくなっていた。
元々気まぐれでつけた条件、今はただ○○がいてくれればそれでよかった。
(こんなもんか、そろそろ休憩にするかな)
そう心を読んだ彼女は早速お茶の準備をしにキッチンへ向かった。
普段は積極的に心を読まないが○○に限っては別だった、自分が寝ている時以外は食事中も入浴中も全て○○の心を読んでいた。
例えば食事中に○○がちょっと醤油が欲しいなと思えばすかさず醤油を出した。
そんな時に○○が見せる心や好意は彼女にとってとても心地よいものだったので機会があればそれを逃すことはなかった。
そんなことを続けていく内に○○は自然と彼女に好感を持った。
居候の自分に何かと気にかけてくれる、しかもかわいい。種族の違いはあったが元々外から来た○○にはそんなことは気にならなかった。
なにせ彼女の能力さえ知らないのである。
最初彼女は能力を教えなかった、教える必要もなかったし何かあったらペットに叩き出させるまでだったからである。
しかし今はそれが幸いした。○○は割とさっぱりとした性格であるが誰だって心を読まれるのは好かない。
いくら○○でも彼女の能力を知ったら今のような関係は崩れてしまうだろう。
だから彼女はペット達にも自分の能力を○○に絶対に教えないように言い聞かせた。
「さとり様ー、おにーさんが休憩しようとしてるみたいですよー」
「はいはい知ってますよ」
大方屋根から○○のことを見ていたのだろう、お燐が知らせに来た。
○○とお燐は仲がよかった、ふらふらしているところがお互い気に入ったのだろう。
彼女にとってはいわばライバルともいってよかったが○○の心を読んでお燐に対する好意は友達とか友情の類だと知っているので気にはしなかった。
――――だって彼が好きなのは私ですもの
彼女はそう確信していた。
普段から心を読んでいれば分かる、確かに○○は彼女に好意を持っていた。
お茶の準備を終えたところでちょうと○○がキッチンに入ってきた。
「○○さん休憩してお茶にしません?」
「ちょうどそうしようと思ってたとこです、ありがたく頂きます」
そう言って席につく、○○の彼女に対する好意に偽りはなかった。
「いつもしようと思う時にさとりさんが準備とかしてくれて、なんだか長年連れ添った夫婦みたいですね」
○○が冗談めいて言った。彼女はすかさず心を読んでその言葉が嘘でないことを感じ取った。
――――ほらね?○○さんったら恋人じゃなくて一足先に夫婦までいっちゃうなんて
彼女は○○の言葉に酔いしれた。彼女は○○の言葉と心を盲目的に信じた。
――――…嘘
彼女は○○の言葉と心を盲目的に信じた。
だから最初はそれが信じられなかった。
そろそろ地霊殿を出て地上に戻ろうかな。
朝起きて○○の心から読み取ったのは彼女には信じられないものであった。
○○さんが出て行く?そんなことはありえない私との関係を夫婦とまで言ってくれたんだから。そんな彼が出て行くはずが無い。
それにと彼女は考える、彼はいつも色々思っていたしそれがころころ変わっていたり、と。
今のそれもきっとその類に違いない。彼女はさらに心を読む。
さて朝食もできたし声を掛けてくるかな。
ほら、もう別のことを考えてる、杞憂だったのだ。彼女はそう信じた。
だからその後の朝食で○○が出し抜けに言った言葉により強い衝撃を受けた。
「さとりさん、俺そろそろ地上に戻ります」
「…どうして…」
だから彼女はなんとかそれだけ言葉を紡いだものの何も考えられなかった。
○○が何か言っているようだが彼女には聞こえていなかった。
「行かせない…」
「え?」
「どうして…?今まであんなに私に好意を持ってくれていたのに…この間なんて夫婦みたいって言ってくれたのに…」
「あれは―――」
と○○が説明しだす。だが彼女は既にその心を読み解いた。
軽い冗談だったのだ、と。
思えば確かに好意は持っていてくれたのかも知れない、知人友人よりは仲がよかっただろう。
恋人、ましてや夫婦などではなかったと今○○の心を深く読んで彼女はそれを知った。
彼女は○○の言葉と心を盲目的に信じていた。
彼女の読んでいた心はそれこそ表面部分のみ、それだけで十分だった、○○も当然自分のことを愛してくれていると確信していたのだ。
「ふ、ふふふふ…」
笑ってしまう、心を読めるはずなのに、それを過信してしまって深くまで読まなかったことに。
「さとりさん?大丈夫?」
○○が心配そうに声を掛ける。その言葉に嘘偽りは無かった。
だがそこに自分を愛する感情は読み取れなかった。
「……行かせない」
「え?」
「行かせない行かせない行かせない行かせない行かせないあなたはどこにも行かせない!!」
「さ、さとり様…?」
横で朝食を取っていたお燐が心配そうに声を掛ける。
「お燐!○○さんをどこでもいいからどこへも行けないように閉じ込めてきて!」
「…さとり様、止めましょうよ…」
その返事は彼女にとって予想外のものであった。
お燐も○○のことは好いていた、ならなんで私の言うことに反対するんだろう?彼女はそう疑問を感じた。
そして直ぐに結論が導かれた。
―――この子は私から○○さんを取り上げようとしている
もちろんお燐の本心ではない、しかし彼女は既に心を読もうとはしなかった。そんな心の余裕がもうなかったのだ。
その場の感情に任せてお燐に対し想起を発動する。
「にゃ…さ、さとり様…や、やめにゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!」
お燐は凄まじい叫び声を上げた後、猫の姿になり走り去った。
自体を全く読み込めていなかった○○もその光景を目の当たりにしてようやく頭が回り始めた。
「さとりさん!お燐に何をしたんだ!」
先ほどの悲鳴に負けんばかりの大声で○○は怒鳴った。
だがそれに動じず彼女はゆっくりと○○に体を向ける。その目は酷く虚ろな目になっていた。
そして彼女は微笑みを浮かべて言う。
「大丈夫…大丈夫ですよ…。あなたが私を愛してくれているのは分かっているんですから…」
その日、彼女の目は妹とお揃いになった。
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「○○さん。やっと目が覚めたのですね。」
俺はゆっくりと体を起こし、さとりに話しかけようとする。
しかし、何がどうなっているのか声が全く出ないのだ。
「へぇ、どうして声が出ない…ですか。まあ当たり前ですよね。そんなふうに考えるのは。」
「どういう事だ…ですか。いいですよ。教えましょう。」
「あなたの喉を私が潰したんですよ。」
○○の口が空いたまま塞がらない。まさしくフリーズしたようだ。
「どうしてこんな事を…ですか。簡単ですよ。私はあなたを愛しているからですよ。」
「あなたが好きで好きでしょうがないからですよ。あなたの声が好き。あなたの手が好き。あなたの足が好き。あなたの口が好き。あなたの髪が好き。あなたの目が好き。あなたの吐息が好き。あなたの歯が好き。あなたの耳が好き。好き。あなたの全てが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで仕方がないから。」
「無理矢理でもいい。全部私の物にしたかった。」
「あなたは巫女とか魔法使いとかと話してるそうですね。」
「あなたのすべてを蹂躙しつくして愛し尽くしたい。だからですよ。」
「だから、ね。」
その後の○○の行方は知れない。
4スレ目>>482
ちっくしょう、ホントに誰もいねえぞ。
旧地獄街道その大通りを走りながら○○は驚く。
普段なら魑魅魍魎が酒を飲んで大声で笑って将棋を指したりなんだりで実に恐ろしい(付き合わされる身にしたら)場所なのだが、今日に限っては姿どころか酒の匂いさえしない。
地底に来てからそこそこの日が経ったが今までこんなことは一度もなかっただけに○○はビビりまくっていた。
それに加えて今現在彼は逃亡の真っ最中なのである、地霊殿からここまで来れば顔見知りの妖怪にでも助けて貰えるだろうと考えていたのが、肝心の助けを乞う相手がいないのだ。
もうビビるしかない。
そもそもなぜ彼が逃げまわっているのかと言うと、彼が先程逃げ出してきた地霊殿がらみのことだ。
地底に来てから地霊殿に住み込みで働いていたのだが、そこの主、古明地さとりに偉く気に入られてしまったのだ。
最初はキャッキャウフフと仲睦まじい恋人同士だったのだが、日を重ねるにつれて彼女の独占欲は強くなっていった。
彼女は心が読めるなので彼の行動などお見通しだったし、自分を本心から好いてくれているのも分かっていた。
しかしそれでも彼女は不安でたまらなかった。
それに加えて自分以外の人妖含めて誰とも関わって欲しくはなかった。
なので彼女は行動した。さとりと○○愛のラヴラヴ計画発動である。
計画のコンセプトは二人が二人だけを見つめ合い愛しあっていけること、である。手っ取り早い話○○を地霊殿の一室に監禁しちゃおうというもの。
彼女は、完璧な計画ね、と満足し朝食を二人でとった後○○を二人の愛の巣に連れて行き、ここでずっと二人っきりで暮らしましょう?と言った。
この時の彼女の迫力は凄かった、三つの目を爛々と光らせ息も荒くコードを○○に巻きつけ、普段の彼女からは信じられないような握力で○○の手を握って部屋に引き釣り込もうとしたのだ。
さすがにここまで迫力が増すと○○も、ハイそうですか、などと同意など出来ない。
思いつく限りの言葉で説得をしても、さあさあこっちですよ、などと全く○○の言葉が耳に届いていなかったので○○はあらん限りの力を振り絞って
自分でもどう逃げ出したのか分からないが、なんとか逃げ出して来たのである。
「お〜い勇儀さ〜ん?いる〜?」
大通りから少し外れた一軒家、彼は普段なら酒瓶を持っているか杯を傾けているか樽を抱えているかしている勇儀宅の戸を開いた。
外と同じく誰もいない。
「誰かいますか〜?」
隣の家の戸を開けて聞いてみるが誰もいない。
「おらおら人間がのこのこやって来たぞ!」
今度は少し戸を荒く開けてみる、誰もいない。
「おらあ!電気料金の徴収じゃあ!」
ヤクザキックで戸を蹴破って入ってみるが、誰もいない。
一戸一戸尋ねるのも時間が惜しくなり窓に石を投げつけて誰かいるか確かめる。
ガシャーンガシャーンガシャーン
やったぜ!全弾命中!さあ誰か怒鳴ってこい!
そう身構えるがガラスが割れる音以外には何も聞こえてこない。
こりゃあ本格的にヤバい、本当に自分以外他に誰一人いないのである。すなわち誰にも助けは乞えない。
こんな状況でさとりやそのペット達が追ってきたら人ごみの紛れて姿を隠すことすら出来ずに捕まってしまうだろう。
地霊殿からここまでSTGに例えるなら一面分ほどを突っ走ってきたことに加え、捕まった時のことを考えて○○は思わず胃の中身を戻してしまった。
吐しゃ物の中に消化しきれていない朝食の欠片があった、飯に変なものを混ぜたりしてたのかな、そう考えてまた嗚咽をする、今度は何も出なかった。
なんとか気分を落ち着けた後、○○は地上へ通じる洞穴へ向かった。
どっちにしたって地底から出るにはあそこを通るしかないし、
手前の橋には年がら年中橋姫がいるから事情を説明し地上まで連れていってくれるかもしれない。そんなに愛されて妬ましいと言われる確率の方が大きいだろうけど。
街道を隠れながら進み橋。またしても誰もいない。くそうと思いながら洞穴に向かう、看板がある。
地上まで666階
「なんだと!だけどダイジョビ!上下さかさまにして見れば…」
999階
「くそう!階数が増えたぞ!」
そんなボケをかましながら下(上下さかさまなのでつまり上)を見ると紅白のふわふわした物が浮かんでいた。
もしやと体を起こし見上げると、間違いない霊夢がいた。
おーい、と手を振る。霊夢も○○に気がついて手を振り返す。
ふう、これで一安心だ、と思ったのもつかの間、霊夢はそのまま洞穴を昇って行った。
「え!?お〜い!待ってくれ!バイバイじゃない!戻ってきてくれ〜!」
その声も虚しく霊夢とグングン昇っていき見えなくなった。
「…仕方ねえ、登るか」
そうつぶやき階段に足をかけ
ふふふ―――地霊殿の一室、彼女と○○の愛の巣に笑い声が響く。
彼女の膝の上には汗を流しウンウンとうなされているような○○がいた。
いや、彼女によってよりうならされているのだ。
○○を愛の巣に連れていこうとした彼女は抵抗する〇〇に催眠術をかけた。その内容は○○がここから逃げ出せたらというもの。
催眠術が使えるなら最初から自分に惚れさせてしまえばいいじゃないかと思えるかもしれないが、そこは彼女の(ちょっと歪んだ)愛情である。
ともかく催眠術にかかった〇〇は彼女の見せる世界から抜け出せずにいた。
様々な状況を作り出せる彼女はまさにこの世界の神であった。
ちょっと心理的負荷を大きくしたり逆にお気楽にと○○の心理を操りその反応を見るのも楽しかった。
しかしそれもそろそろ終わりだ、たとえ催眠術の中でも他の女が出てきたのは彼女にも予想外だった。○○は私だけを見てればいいの、そう思いながら〇〇を揺り起こす。
○○がうっすらと目を開ける徐々に大きくなり彼女を見つめる。先程よりかいていた汗がさらに多くなる。
「さ、〇〇、これからは生の時間よ」
5スレ目 >>292 src2/up0275