■静葉1
――もう直ぐ、秋も終わる。
「私と一緒に、その身を埋めるつもりはないかしら」
紅葉舞う紅葉の木々の中、奥に枯れ木が見え隠れする。
静葉の顔は伺えなかったが、彼女も似た様な顔をしている気がした。
「此処を、貴方と私の終焉の地にしましょう?」
告白の、つもりらしい。
彼女は横顔を一瞬向けると、その頬が赤く染まっているのが見えた。
「もうじき、冬が来るから」
そう言って一枚の枯葉を摘むと、手の中で握り締めてバラバラにしてしまう。
「私と貴方の関係がこうなってしまう前に、ね。
今あるこの気持ちを、永遠のものにしたいから」
枯葉の欠片が、風に流されて舞ってゆく。
「残された時間は、もう僅かなものだけど――」
静葉は空を見上げる様に、目を伏せると。
小雪がそっと、舞い落ちて来る。
「”YES”か”NO”か」
静葉は真っ直ぐに此方を見て。
「私を好きかどうか。その気持ちは、教えて下さい」
自分への好意を確かめて来た。
口を開く。
瞬間。
びゅうっ、と大きな風が吹いて。
スカートを靡かせながら、彼女が笑っている。
「……ふふふっ……うふふふふ」
紅葉が全てを覆い隠すほどに舞う。空さえも覆い隠すほどに。
「――私達の世界へ」
かんげいするわ。
其処にはもう、静葉の姿は無かった。
……彼女を探そうと、一歩足を踏み出そうとする。
そのまま転ぶ様に、男は一面の紅葉のベッドへと、落ちていった。
男は動かない。
また、大きな風が吹き、紅葉が舞うと。
其処にはもう、誰も居ない。
ただ風の音に、幸せそうな女の声が、舞い踊る様に聞こえるだけだった
>>おやつ氏