■幽々子1

俺、こと○○は元外界の人間だ。

幻想郷に迷いこみ、亡霊に襲われている所を偶々通りかかった幽々子様に助けてもらって以来、妖夢の仕事を手伝いながら白玉楼で世話になっている。

なんでも外界で交通事故にあった時の衝撃でこっちに来たらしく、むこうで俺は死んでしまったらしい。

事故にあった衝撃のせいかその時の事は記憶に無いが、既に死んでいると聞いた時はおもわず自暴自棄になってしまった。

それを幽々子様が文字通り身体を張って落ち着かせてくれた。

最初は幽々子様にさえ辛く当たってしまい、時には暴力をふるった事もあった。

そんな俺でさえも幽々子様は優しく抱き締めてくださり、その優しさに触れた時俺は思わず涙していた。

それから数日たって精神的に落ち着いた頃、俺は幽々子様の事が好きになっていた。

だが俺なんか普通の人間(亡霊?)が気持ちを告げてもよいのだろうか。

そう思った俺はある程度強くなったら、妖夢に剣術で一本取れたら告白しようと決めた。

妖夢と稽古を始めてからはや5ヶ月、ついに妖夢から一本取る事ができた。

妖夢はこの後何か用事があるらしく神社に行くらしい。

もう告白をするのは今日しかないと思った俺は幽々子様の部屋に向かった。

そして今幽々子様の部屋の前に着いたのだが、中から話し声が聞こえる。

来客は誰もいなかったと思ったが、とりあえず出直そうか

「はいこれで結界は完成よ。それで幽々子、結局の所○○はどうして幻想郷に来たのかしら?」

この声は紫さんか。

神出鬼没な人だからなんとなく部屋にいることは納得できたけど、何を言っているんだ?

事故にあったって事を説明してくれたのは紫さんだったのに。

話の内容に気を取られた俺は、思わず立ち聞きしてしまった。

「あらあら、それはどういう意味かしら紫」

「彼は交通事故にあった結果こっちに来た、これは確かよ。でも不自然なのよ」

「不自然?」

幽々子様がくつくつ、と笑いながら問う。

「何が不自然なのかしら?」

「何がじゃないでしょう。何で街中の人通りの中で、○○だけがトラックに轢かれるのよ」

「そんなの決まっているじゃない。私が○○だけを死に誘ったからよ」

今何て言った?

まさか、聞き間違えだよな。

「それならもしかして、○○がこっちに来たときに亡霊に襲われていたのも」

「勿論私の指示よ」

「○○の精神状態が不自然に不安定だったのも」

「もしかしたら蓬莱の薬師の薬を飲んでしまったのかもしれないわね」

はあ、と紫さんがタメ息をつく。

「タメ息を付くと幸せが逃げていくわよ?」

「その原因が何を言っているのかしら。まあ仕事も終わったし、聞きたい事も聞けたし今日はもう帰らせてもらうわよ」

「そう。じゃあまた今度」

「ええ、また」

声からして紫さんが帰ったのだろう。

「それで○○。そこにいるんでしょう?」

幽々子様が俺を呼んでいる。

しかし返事ができない。

部屋に入りたくない。

それどころか幽々子様に会いたくない。

「全部聞いていたのよね」

立ち上がり、こちらに向かって歩く音が聞こえてくる。

逃げたい、逃げたい。

だが身体が、足が動かない。

聞いた事のショックに頭が麻痺しているのだろうか。

動け、俺は逃げるんだ、ここから出るんだ。

「あら、どうしたの?そんなに震えて」

目の前の襖が開き、歪な笑顔の幽々子様が出てきた。

誰だこれは?

信じていた物は、全てまやかしだったのか?

あの優しさは、全て偽者だったのか?

俺の想いは、無意味なものだったのか?

「ほら、これで大丈夫」

幽々子様が俺を抱き締めた。

優しさなんて感じない。

冷たい、怖い、冷たい、怖い。

「もう何処にも逃げられないのだから」









その日、白玉楼に新たな結界が張られた。

博麗の巫女でさえ気づかない様な微弱なそれは、特定の人間にのみ反応するものだった。

その結界は、特定の人物はそこから出れず、身体・思考さえ操られてしまう物だという。

そしてその日以来、白玉楼ではまるでオシドリの様な亡霊の夫婦ができたらしい。

多くの人間や亡霊、そして妖怪はその事を祝った。

しかしその夫の方の剣の師匠は次の日の日記にこのような一文を書いていた。

「あの人の剣の筋が変わった。幸せで稽古に身が入らないのは分かるが、まるで別人のようだ。まあ数日もすれば元に戻るだろう」と。



〜〜〜〜〜〜隙間の裏〜〜〜〜〜〜
駄文ですまん。
昔から作文は得意じゃないんだ。
ただ幽々子様への愛が暴走したんだ。
あんまりヤンデレっぽくないのは秘密。
お目汚し失礼。
では ノシ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

>>up0358




「幽々子の膝枕は最高だな」

「あらあら、それはどうも」

幻想郷の白玉楼。

俺はとある事情で、亡霊達の住むそこに生きていながら住んでいる。

そんな事はともかく今日は満月の出る秋の夜。

月見団子が食べたい、という幽々子の意見によって白玉楼で月見をすることになった。

団子や芋料理は妖夢が作り、酒は俺が倉に眠っていたものを出した。

夕食を早めにすませて9時ごろに3人で月見を始め、11時を過ぎたあたりで妖夢は部屋に帰り眠ってしまった。

もう12時を過ぎたしそろそろ寝ようか、と言ったら酔っているのか幽々子が膝枕をしてくれると言い出した。

そんなこんなで俺は幽々子に膝枕をしてもらっているわけだが…………酒が回ってきたな、そろそろ寝てしまうかも。

もう視界もぐちゃぐちゃだし、なんだかぼーっとしてしまう。

「ねえ○○」

「なんだ幽々子」

「○○は本当に紫が起きたら帰ってしまうのかしら?」

そのつもりだけど。

でもその事は2・3ヶ月は前から言ってることだし、今更なにかあるのか?

「仕方がないだろう。こっちに残りたいとも思うが、向こうには母さんと姉さんがいるんだ」

父さんが死んで家計が苦しくなったのに二人は俺を高校と大学に通わせる為にパートやバイトをしてくれたんだ。

だから就職して給料で姉さんに何かを買ってあげたいと、母さんには楽をさせてあげたいと思ってるんだ。

「それにたくさん一緒に馬鹿やってきた△△や□□達がいるしな。だから、帰らなきゃ」

「そう」

一言つぶやき、幽々子が無表情になる。

ほんと今日はどうしたんだ?

調子でも悪いのか?

「それより悪い、俺はもう寝ちまうぞ?」

「大丈夫よ、そうなったら亡霊達に運んでもらうから」

そうか。

なら寝ても大丈夫か。

そんな事を考えると俺はもう寝ていた。





春になり紫さんが起きたと聞いてさっそく外に帰してもらおうと思った俺は、紫さんから予想外の事を聞いた。

母さんと姉さん、それに友人達がみんな死んだらしい。

そんな馬鹿なと紫さんに詰め寄ったが、やはり聞いた内容は変わらなかった。

なんでも向こうで俺は行方不明扱いになったらしい。

その情報提供の為に俺の家に集まっていた所に、トラックがつっこんだらしい。

確かにでかい道路に面している家だったが、そんな事が起こるなんて。

ショックで崩れ落ちてしまった俺を幽々子が膝枕で頭をなでながら慰めてくれた。

精神的な衝撃の為か泣きつかれた為か俺はそのまま寝てしまった。

まるで宙に浮くような感覚の、妙に深い眠りに落ちるその直前、ふと幽々子の声を聞いた様な気がした。

「私達の生活を邪魔する人間は全員死に誘った。後は○○さえ…………」




以下、とある日の烏天狗の新聞より抜粋。

 白玉楼在住の外来人○○氏が精神の衰弱によって急死している事があきらかになった
 偶然その現場に居合わせた西行寺幽々子氏が八雲紫氏に協力を仰ぎ、八雲紫氏の力によって○○氏は亡霊化した模様
 無理やりな蘇生であった為○○氏の霊体は強度が足りず、当分の間は白玉楼を出られない様だ
 しかし無理やり亡霊化をさせるという事は輪廻の輪から外すという事であり、その事について閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥ氏は「(中略)」とコメントしている
 また精神の衰弱により死亡したのなら、亡霊として蘇生しても精神状態は回復しないのではないのかという疑問点も残っており、当新聞はこの事を次号で判明させる予定だ

>>up0384




酒の魔力と徹夜のテンションで投稿
ツッコミ所満載かつ端折り過ぎと思う
長さは3レスぐらい
ゆゆ様がどうしてこうなったのか今の俺には理解できない



○○という男が幻想郷に迷い込んでから数ヶ月、外の世界へ帰る目処も立った冬の夜の事だった。
「こんばんは〜幽々子」
「紫……」
紫は親友である幽々子の頼みを聞くためにわざわざ冬眠を中断して白玉楼を訪れていた。
「人払いは済んでいるわ、妖夢も寝るように言いつけたし」
「それは重畳……さて、何かしら?」
そう言った紫にいつものような胡散臭い笑みを浮かべた。
「ええ……彼の帰ろうという決意は変わらなかった」
答える幽々子は普段のとは違い、危うい雰囲気を漂わせていた。
紫は何か異質なものを感じたのか、黙したまま続きを促した。
「だからね、私は考えて、考えて、思いついたのよ」
そこで言葉を切った幽々子の口元が弧を描く。
「彼も亡霊になればいいのよ、そうすれば外の世界には帰れない。
 嫌でもこの地に留まらざるを得ないわ、亡霊だから」
「……そうね、でもどうやるの?」
「彼が帰るその日に誘うわ、事故に見せかけてね。
 それから屋敷の使用人達に暇を出すわ、当然妖夢もね?
 誰かに知られて閻魔様でも来たら大変だわ。
 だから紫……協力して頂戴?」
そう言うと同時に紫を取り囲むように反魂蝶が現れ、ゆらゆらと舞い始めた。
紫は愕然として幽々子を見つめたが、その瞳に光は無く、墨染のように真っ暗だった。


千年来の友人の変貌に驚いていた。
何が彼女をそこまで変えたのか、○○と彼女が顔を合わせ、会話したのは宴会の席程度。
……箱入り、だからかしらねぇ?
死霊を操る能力を持っていた為、人と交流を持つことなく若くして死を選んだ幽々子。
亡霊となっても冥界に訪れる者などなく、異性の知り合いなど先代庭師ぐらいしかいないであろう幽々子。
不安と嫌な予感を感じつつも、親友の頼みは断れず、紫は彼女の計画を手伝うことにした。
少なくとも、彼女は現時点で失うものはないはずだから。


妖夢は突然の暇に戸惑っていた。
曰く、自分が連れ戻しに来るまで白玉楼に立ち入り禁止。
門前で呆然としていたのを紫がマヨヒガに招き、その言葉に甘える形でゆっくりと思考できる程度にくつろいでいた。
妖夢は自惚れかもしれないが、紫の次に幽々子から信頼されている人物だと自分で思っている。
そんな自分にも関わらせない用件とは何なのだろうか……
思わずため息を一つ、空を見上げても答えは出ず。
悩んでいても仕方ないと見切りをつけ、日課の鍛錬を始めた。


ある晴れの日、博麗神社には一人の男を見送る為に数人の人妖が集まっていた。
「んじゃ……数ヶ月間お世話になったな、霊夢」
「そうね、代価として次はお茶とお賽銭持って来なさいよ」
見送られる側の○○は礼を、見送る側の少女達は少しばかりの寂しさを誤魔化す皮肉を言い交わした。
似たやり取りを数度繰り返し、○○は境内から鳥居をくぐり、外を目指す。
聞いた話ではまっすぐ、振り返る事なく歩き抜けば外の世界に帰れるという事だった。
頭を過ぎるのはたった数ヶ月間だが、間違いなく今までの人生の中でもトップクラスになるであろう日々の事。
それらの思い出はこれからの時間に希望を持たせるだけのものがあった。
浮かれていたからだろうか、目の前に蝶がまっていた事に気付かなかったのは。
それに触れ、足を踏み外し頭から階段を転げ落ちていっても仕方なかったのだ。
幽雅な蝶が消える前に、クスリと哂った。


○○が死んだ、あんなにもあっけなく。
あの時、その場にいた鴉天狗や普通の魔法使いによって永遠亭まで素早く運ばれたが、手遅れだった。
薬師は一見しただけで首を横に振った、それだけで十分だった。
葬儀にはどういう訳か冬眠中の紫が名乗りを上げ、全てをこなした後どこかに消えた。
まあ、誰がやろうと宴会の場所はウチの境内なのがいただけないが。
ただ、片付けをこれからまた一人でやらなければならない事に気が滅入った。
しばらくはこんな日々が続くだろう、しかしそのうちなんとも無くなると思う。
人間が死んだ、偶々知り合いだった、それだけなのだから。


○○の葬儀が終わった翌日、紫は白玉楼にいた。
既に○○の遺骨は幽々子の"お願い"通り、西行妖の根元に埋めた。
マヨヒガに帰る前に、幽々子の顔を見ようとスキマを開いたが、すぐ閉じた。
見てはいけなかった、いや断るべきだった。
あの時感じた警鐘は紛れもなく本物であり、私は以前のような彼女を失ってしまった。
ショックのせいか、冬眠を中断した反動なのかフラフラと力無くスキマに潜り、マヨヒガへ戻る。
「紫様、お帰りなさいませ……っと、どうしました?」
優秀な式の出迎えに答える事もせずに抱き締めた。
いや、抱きついたと言った方が的確だろうか。
何かしら察したのか、優秀な式は何も聞かずに主を抱き返す。
しばらくして、殺し切れなかった嗚咽がかすかに漏れた。


白玉楼は大きな屋敷な為、出入り口たる襖以外は壁に囲われた部屋もある。
死に誘われ、自覚なく死んだ○○は目覚める事無く寝かされていた。
そして、その傍には幽々子がいた。
亡霊ゆえに姿形こそ以前と全く変わらないが、その顔はまったく別人のようだった。
その視線は横になった○○に向けられ、その口元は絶えず何かを呟いていた。
「ねえ○○早く起きてねえ起きてちょうだい退屈なのつまらないの一緒に何かしましょう詩を読み合う?庭を見て回る?それとも何か食べる
 ?○○が望むなら同衾でもいいわ恥ずかしいけれど他でもない○○のお願いだものそれなら私はいいわ○○起きて○○ねえ起きて……どう
 して起きてくれないの?私が嫌いなの?そんな事はないわよね?だって私は○○が好きで○○は私が好きなんだからいいえ好きじゃなくて
 愛しているし愛してくれる相思相愛のはずよだから○○早く起きてちょうだい一人は寒いし寂しいわ○○起きて起きて起きて起きて――」
時が流れ、季節も冬から春へと移る。
しかし、冬に閉ざされた白玉楼は、いまだ春は訪れない。



オチが弱い気がする
病んでるのかなこれ


>>489のレスを見て書いてしまった。
これからは自重しようと思う。
一応>>485からの続き。


4/3 蛇足、あるいは散ってしまった桜の花弁

僅かな眠気の残滓を残したまま、紫は再び白玉楼を訪れた。
もう幻想郷各地では春告精が飛び回っていると言うのに、この地の桜にはつぼみがついてるかも怪しかった。
幽々子の気配を探すと、最後に訪れた時と同じ部屋にいた。
眠気の残滓は徐々に不快感へと変わっていた。
深酔いし過ぎた時のように気持ち悪さと吐き気が同居した、なんとも言えないものを紫は感じていた。
襖の前にスキマを作り、そこから声をかける。
「幽々子はいるかしら〜? 目覚めたから挨拶に来たのだけれど」
相変わらずぶつぶつと何か呟き続ける声が止まり、目の前の襖が開けられる。
久しぶりに見た幽々子の顔は、最後に直接顔を合わせた時と全く同じだった。
「あら……紫じゃない、おはようと言うべきかしら?」
「そうかもね、入ってもいいかしら?」
返事の代わりに幽々子は元の位置に戻り、紫も部屋へと入る。
布団に寝かされた○○も覗き見た時と変わらなかった。
どちらも口を開くことなく、しばらく無音が続くが、じっと○○の顔を眺めていた幽々子が切り出した。
「紫、○○が起きてくれないの。
 どうしてかしら、私のせいかしら。
 私には原因がわからないのよ、紫にはわかる?」
紫は、先ほどから感じている不快感が徐々に強まっているのを意識した。
そして、自分の判断ミスを強く恨んだ。
親友の初恋なんて手伝うべきではなかったのだ。
妖怪である紫には、人間の価値観は知識として知っていても理解はできない。
それでも……あんな"お願い"は断るべきだった。
自ら出向いて直接言葉にしろ、といつもの様に言えばよかったのに。
ああ、神にも等しい力を持つなんて持て囃されていても私は――
「ねえ紫、聞いているの? ○○が目覚めてくれない……
 どうしたらいいの? いつもみたいに教えてくれないかしら」
気持ち悪い。吐き気がする。幽々子がこっちを見た、こっちみんな。
「黙ってないで答えて頂戴。
 ○○が起きてくれないわ、何が原因なの?」
ああ、藍の顔が見たい。藍、藍はどこ? 藍助けてらん――


冬も終わり桜が舞い散る春の頃、妖夢はいまだマヨイガにいた。
流石に食客というわけにもいかず、藍に頼み込んで家事手伝いをしている。
あの日、いつもの突飛な"お願い"のように言い渡された暇、庭師である妖夢は庭がどうなっているか気が気でなかった。
当然、主である幽々子の事は心配だった。
しかし、主の親友たる紫から幸せそうにわらっていた、と伝えられそれほど憂う必要はないと思っている。
それでも……まだまだ半人前な従者は傍から見ると落ち着きが無かった。



5/3

春の彼岸と託けて魔理沙が○○をしのぶ宴会を開くと言ってきた。
あんたは騒ぎたいだけだろうに。しかし、既に各地から手土産を持って人が集まってきていた。
「やれやれ……恨むのは○○の顔の広さか、魔理沙の強引さ、どちらかしらね……」
魔理沙の音頭ではじまった宴は○○の名前が一度も出る事なく盛り上がっていた。
縁側に座りつつ、一人で酒を飲む。あいつがいた頃は隣に居てくれたんだけどな――
「こんばんは、霊夢」
「紫? あんたいたの?」
久しぶりに顔を見たため、思わずそう言ってしまった。
まあ、もう春も終わりだし、こいつが起きててもおかしくはないのだけど。
「ねえ、霊夢。魔理沙は白玉楼にも行こうとしたのかしら?」
不意に、こいつはそんな事を聞いてきた。
「あ〜行ったけど結界の穴が埋められてるし破れなかったから諦めた、って言ってたわ。
 あら、あんた何時の間に修復したの?」
紫は答えずそう、とだけ言った。
何か、嫌な感じがする。異変が起きる前にも似た焦燥感のような何かが。
「……そういえば妖夢は来ているのに幽々子は来てないのね」
「……そうね、何かあったのかしら」
間の空いた返事、チラリと宴会の場に視線を向けて妖夢を探したが見つけられなかった。
「何か、あったのね?」
「何も、無いわ。そして起こる事も無い」
紫の表情は読めない。ただ、既に起きて、終わってしまったという事は理解できた。



遅い遅い春がやってきた。やっと○○が起きてくれた。だけど○○は何にも覚えていなかった。
でも、それは好都合。だって今までのいらない事は全部忘れて、これから私と一緒にする事だけを記憶していくのだから。
「ねえ○○、何をしようかしら?」
「わたしはゆゆこといっしょにいられたらそれだけでいいです」
うふふ、そうよね。じゃあ、もうしばらくこの桜吹雪の中に居ましょう?

春度を集めていないのに白玉楼中の桜は咲いていた。
見る者には狂気しか感じさせないほど舞い散る花吹雪の中、幽々子は傍らの亡霊を抱き締め、わらった。



ヤンデレゆゆ様のはずがスキマ妖怪主役になってしまった。
普段は既存キャラ同士で書いているからかなぁ……
なお、ゆゆ様のいい知れぬプレッシャーに負けたゆかりんはその能力を酷使し、マヨヒガに帰ってから式に泣きつきました。

――最後に、あなたには、どちらの"わらった"に見えたましたか?



1スレ目 >>483-485 >>496-497




「○○〜」
「あ、幽々子様」
 ○○が里の裏路地を歩いていると、空から幽々子がやってきた。
 幽々子はあたりを警戒するように見回し、誰もいないのを確かめると○○の正面に降り立ち、挨拶をする。
「その手に持っているのはなあに?」
 一頻り世間話をした後、、幽々子は初めから気になっていた○○が手に何か抱えているのは何かを尋ねた。
「これはさっき紫様に貰ったチョk「えい」」
 だが説明しようとした○○の言葉は尋ねた本人によって遮られてしまう。
「ごめんなさい、手が滑ったわ」
「いや今、えいって言いましたよね」
 しかし○○の抗議も、幽々子はいつものよく判らない笑顔で華麗にかわす。
 仕方がないとでも言いたげに○○が溜息を吐くと、幽々子は頬を膨らませた。
「そんな風にしないで頂戴、私も貴方にこれをあげるわ」
 言うと幽々子は懐からきれいにラッピングされた箱を丸々に手渡した。
 これは何かと訊く○○に幽々子は、チョコレートよと顔を赤くさせながら答える。
「ほら、味がどんなか、早速一つ食べてみて」
 幽々子は期待するような目で○○を見つめ、それに抗しきれず○○は包みを開けるとチョコレートを一粒取り出した。
「それじゃあ頂きます」
「はい、召し上がれ」
 言って○○がチョコレートを口に含み噛み砕くと、途端に○○は痙攣し、じきに絶命した。
「ごめんなさい、これ死蝶ボンボンだったわ」
 幽々子は哂いながら、○○の骸に話しかける。
「お詫びに転生するまで白玉楼でお世話してあげるわね、ずっと」
 そう言って彼女は○○の魂魄と○○だったものを抱きかかえると、白玉楼のあるほうへと飛んでいった。

これならヤンデレかね?

2スレ目 >>336




 いつものように起きて、いつものように里へ出て、いつものように働いて、いつものように帰ってくる。
 何ら、不思議なことは無い。いたって平和な、幻想郷での生活だ。
 そう――、

「ねぇ、○○? このお魚美味しいわね」

 四六時中、それこそずっと。
 幽々子さんが一緒にいることを除けば。

「はあ、ありがとうございます」
「それで、今日は休日だったわね? どこに行くのかしら?」
「買わなきゃならないものがあるので、里に行こうと思ってますが……」

 いつからだったか。思い出せないな。
 いや、構わない。
 思い出せないって言うなら、それは些細なことだ。

「それで、その……」
「いいですよ。どうせ、駄目って言っても憑いてくるんでしょう?」

 ……誤字じゃないぜ?
 
「○○……! 大好きっ!」

 そう言って、飛びついてくる幽々子さん。
 抱きとめると、ふわり、と桜の匂いが香る。
 ……夏桜ってのも風情がありそうだ。いや、ないか?

「じゃあ、もう、行きますから」
「は〜い」

 戸締りを確認して、真夏の太陽の下へ出た。



 肩に、文字通り、憑いている幽々子さん。
 ぴったりと、俺の肩にくっ憑いている。

「ねぇ、次はアレを食べましょうよ」
「いや、ちょっと、お財布の中身が……」
「○○ぅ?」
「うっ……」
「○○ーぅ?」
「……分かりましたよ」

 そんな顔するなんて反則だ。

 幽々子さんが指差した先にある喫茶店。
 財布の中身を確認するに、もう限界だが。

「ご馳走様♪」
「いつものことでしょ……」

 財布の中身。限界だ。確かに、限界だ。
 でも、この女性の、この顔が見られるならば、と思ってしまう。

 結局、彼女の笑顔と、自分の用事を天秤にかけて、俺は彼女の笑顔を取ることにした。

 馬鹿で結構。
 なに、間違っちゃいないさ。



 夕焼けが綺麗だった。
 昼間の暑さも、夕暮れの蝉の合唱で帳消しになる。
 加えて、

「今日はありがとうね」
「今日、も、でしょう」
「あらあら、狭量な殿方ね?」

 黄昏時の夕日を背景に、亡霊のお嬢様は微笑む。
 桜が似合うだとか、なんだとかよく聞くがな。
 夕日ってのもよく似合う。
 いや、そもそも、美人にはどんな風景も似合うんだ。

「それじゃあ、帰りましょうか」
「そうですね」

 立ち上がろうとして、手が差し出されたことに気が付いた。

「あの……?」
「あら、言ってなかったかしら? 今日はあなたの家に泊まろうと思うの。勿論、妖夢は承諾済みよ?」
「え? いや、でも……」

 いつも、許可なしに泊まってるじゃないか。

「ほら、無粋なことは言わないの。……その、今まで無理やりだったから、お互いの合意が欲しいというか……ちゃんと、言葉にしたいというか……」

 顔を下に向けて、か細い声で何かしらを発している。

「だから、その……今晩は、ちゃんと、泊めて頂戴な?」

 息を飲むってのはこのことか。
 下らない理屈をすっ飛ばして、彼女が美しい。

「……分かりました」

 承諾は必然だ。
 断れるはずがない。

「うん、ありがとう」

 最高の笑顔は、夕日の逆光で見ることは出来なかった。







 ――それから、数ヶ月カが経った。
 町の外れにある小屋。そこには青年が住んでいた。
 彼は人当たりがよく、里の人たちから大層好かれていた。
 
 だが、ある日を境に、違和感が生まれる。

 最初は微々たる変化だった。
 だが、それも、徐々に広がっていく。
 波紋が端にまで到達したときは既に、手遅れだった。

 その小屋には、今は誰もいない。




 ――白玉楼。

「あ、お帰りなさいませ、幽々子様」
「えぇ、ただいま妖夢」

 幽々子様が帰ってきた。
 どこか、嬉しそうな表情をして。

「ねぇ、妖夢」
「何でしょう?」
「急く、というのは、やはり愚かなことね」
「は?」

 幽々子様は、正直、分からない。
 いつものことなのだが、今日は、群を抜いて、分からない。

「蝶の羽化、桜の開花。全て、ゆっくりとした動作。故に、美しいの。故に、愛情を持てるの」
「はあ……」
 
 話がまったく見えない。

「急いでは駄目。継続は力なり、よ」
「はあ……分かりました」

 

 更に、幾日か過ぎた後。
 冥界白玉楼に、一人、住人が増えたそうな。 

>>up0646