| 第1話 『鎮魂歌(レクイエム)』 |
| ストーリー のどかな村で孤児ながら平穏に暮らしてきたハーメルとフルート。しかし魔族が十五年の眠 りから覚めスタカット村にその手が伸びた時、悲劇は再び幕を開け二人は過酷な運命の道を 辿り始める。ハーメルの美しいバイオリン演奏と共に…。 個人的感想 ◆OP・ED無しで、劇中画面にスタッフクレジットが入る形のせいもあるにせよ。だがそ れを差し置いても、ゆうに1時間はある映画でも見たに等しい我を失う怒涛の充実度、ショ ックの連続、殺人的な濃さに気力・体力の残値ゼロ。(全部見なくても分かる)25話全話 が別格!の『ハーメルン』の中でも、別格!の完成度。自信を持って断言、第1話だけでも 歴史的最高傑作!…「30分」ってどんな長さだったのか、不安に…。 ◆まず冒頭からクライマックス!?に飛び込む大胆な構成。このタダ事でない気合いと覚悟 が分かっただけでも、充分です。(途中打ち切りになったというウワサですが、ホント?だ ったら尚更スゴい。ラストシーンと1話があんなに深い余韻を残して繋がり、作品全体のイ メージの永久冷凍保存はもうカンペキだから…なんてまではさすがに全話見ずして分からん ので、見てから言います。) ◆冒頭のアレがウソの様に静かに始まる物語。が、主人公の初登場において見せる姿が鏡に 映った「もう一人のハーメル」。既に暗示的な演出だが、ボ〜と見てると気付かないような さり気ない描き方が何てオトナ…またこれが、実に多い。(2話の小動物の使い方とか) ◆フルートがステージ衣装でキメたハーメルに見とれ、思わず漏らす言葉。当たり前の、 何の変哲もないセリフ。でもこんなん、聞いた事無かった…。 ◆『ハーメルン』に唯一TVアニメとしての欠点を挙げるとしたら、途中参加がしづらい点 かと。この第1話を逃し、5話辺りをいきなり見ても、もう番組中盤〜後半として映る可能 性大。…正直言うと、24話の前に6話の頭だけチラッと見た事があります。ああ、もう終 わりかけの番組じゃ今からはツラいわ、と疑いもせずアッサリ諦めました…私のバカーっ! …逆に、ラスト直前の24話は何故すんなり入れたのか。予備知識ゼロでもその1本だけで いきなり鑑賞に耐えてしまう、これまた恐るべき30分だったから!そして勿論、予告で次 が最終話の番組だと知った時は頭が真っ白に…。 ♪モーツァルト『レクイエム』 ◆美しいハーメルと、グロテスクな魔族。格調高い旋律と、身の毛もよだつ光景。そしてシ リアスの渦中で「ギャグ!?」と一瞬引っくり返りそうになる展開。(しかし有無を言わせ ぬ説得力!)…いずれも片方がもう片方の引き立て役に甘んじる力関係が生じそうなものを、 すべてが等しくオモテで主張し合う画面…。この不思議な興奮にもう病み付きに。 ◆現在調べ中ですが、この曲のアレンジって田中公平氏、スゴい事やってる気が…。それと も、モーツァルトがそこで筆を断った(残りはお弟子さんが仕上げたらしい)『涙の日』最 初の7小節目からいきなり『怒りの日』に繋がる編曲は、既に在るものなんでしょうか?? (門外漢はツラいです…)『続誦』のラスト曲の頭から最初の曲に順序的にも戻ってしまう この構成は、正に第1話そのものだったりする!ってコジツケかしら…。 |
| 第2話 『運命のくるみ割り人形(マリオネット)』 |
| ストーリー 自分の頭に生えた角、魔族を倒したバイオリン演奏の意味も分からぬまま、ハーメルは長老 に命じられるままフルート、オーボウと共にスフォルツェンド公国に旅立つ。15年前、フ ルートの実母・ホルン女王がその法力で魔界と人間界の間に結界を張ったが、今それはもろ くも破れつつある。そして二人の背後には、15年近く育った村が焼け落ちる…。 個人的感想 ◆ハーメルの角を無言で隠し、その魔曲演奏にロコツにビビるフルート。ハーメルが謎だら けな以上、普通一番身近にいるヒロインに狂言回し的な役割がいきそうなもんだが(原作で はそう)、この娘は期待を裏切る言動でトバしてくれます。その、凄まじすぎる物語の中で あまりに「当たり前な女の子」のスタンスを貫く様が、ムゴさ際立てるのに一役買ってて、 もうこっちは見るも辛くて凝視。 ◆とにかく強烈で残酷な絵が目立つアニメだが、単純な暴力描写ではない所がミソ。技巧編 でも書いたが、ほとんどシュールなホラー映画の域である。特にこの回は白眉!↓ ♪チャイコフスキー『くるみ割り人形』 ◆明るくリズミカルな調べの中で繰り広げられる、骸骨姿の魔族と瀕死の村人達による血の 惨劇。この絵と音楽の絶大なるギャップが、死体と死にかけが殺し合う異様さに拍車を掛け、 もう本気でコワい。土気色の顔をした村人たちがゆっくり立ち上がる動きは、悪夢そのもの。 しかし曲は軽快に楽しい気分そのもの。何なの、今まで私の頭の引き出しには無かったこの 世界。必死に探して、映画『ゾンビ』のEDが一番近い味わいか。オマケに曲の最後を華麗 に飾る、トドメのあの絵!(…もう降参…) ◆ダメ押しラストの、炎に包まれながら手を振る村人たちのシルエットに至っては…。 ◆この番組って、今時の軽いタッチのキャラ・デザでようやくTV放映に耐えたのでは…。 (まだ2話で…) |
| 第3話 『白鳥の湖』 |
| ストーリー ハーメル達は、マルカー卜の町で旅芸人の一座と出会う。その中には幼い日のハーメルを知 るライエルの姿もあった。そのピアノでハーメルと同じ魔曲を演奏するライエルは、再会し たハーメルに記憶は失われている事を知る。そしてフルートを追う魔族の襲来は、マルカー トの町もまた戦火に染め上げる。一方魔界では、大魔王・ケストラーの後継者探しの勅命が 下っていた…。 個人的感想 ◆特に脚本が光る回。ゲストキャラやエキストラまでもが一人一人生彩を放ち、珍しくほの ぽの落ち着いた気分で見られる回でもある。程よい体温のキャラに程よく恵まれてますが、 何となく、これが一番平穏な回って気も…。 ◆今の所、ラストが明るい絵で終わるのもこの回のみ。だが妙に明るすぎて、躁鬱病の人間 が自殺する直前の表面上の安定期みたいで、かえって不気味。 ◆座長の全セリフ、腹話術人形の描写(やっぱりコワい絵に並々ならぬ拘りを感じる)、夜 の町のそれぞれのキャラの表情…と見所だらけだが、↓ ♪チャイコフスキー『白鳥の湖』 ◆やはり最大の見所はライエルのステージ!静かに曲が始まり、優雅に精霊が舞い、遂に幕 の後ろからピアノごと飛び出すシルエット!その勇ましい姿!表情!…5回分の致死量でカ ッコいい!まさに拍手喝采!日本一!そしてハーメルと一瞬の華麗な対決…これ又、5回分 の致死量でカッコいい!…ほんの短い時間だが、確実に10回は死ねる。 ◆「ファンタジー」の真骨頂を、目の当たりにする思いである。 ◆「ファンタジー」の最も洗練された部分と、最も野蛮な部分の両極が拝めるアニメだと思 う。 |
| 第4話 『アンセムの追憶』 |
| ストーリー ライエルも加えた一行は、ハーメル・ライエルが幼い日を過ごしたアンセムの町にさしかか る。13年前の事件で廃虚と化した町。ライエルの脳裏に蘇る、両親を奪った三本角の魔族。 ハーメルの思い焦がれる母・パンドラ。…そして新たに今、ダルセーニョ王国の幼い王子・ トロンと出会う。一方魔界は、魔曲の鳴る所に後継者の存在を嗅ぎ付ける…。 個人的感想 ◆特に構成がスゴい回。回想と現実の複雑な絡み等については技巧編で述べましたが、例え ばここではトロンとライエルをバラバラに置いといて、やがて最後の『皆殺しのアンセム』 のセリフで完全一致する、このザ・点と線が繋がった快感に震える〜というコトです。 ◆『ハーメルン以外のアニメ』の構成がショートケーキだとしたら、『ハーメルン』のそれ は間違いなくミルフィーユと言えます。それだけ、場面の層としての扱いが細かいのです。 ◆今の所、ロコツなギャグが入るのは3・4話のみ。4話は特に、室井ふみえ作監の絵も 思い切りイイ感じに崩れて和めるスパイスになっているが、これ以上ムリにやる必要もない と思う(話キツくなる一方だし…)。原作をへタに意識して、折角別カラーで切り開いたア ニメの世界の雰囲気が壊れるのは惜しい。 ♪ロッシーニ『ウィリアム・テル序曲』 ◆今んとこゾクゾクNO.1でハーメル・ライエル二人の演奏姿が満喫できる〜?場面だが、 それでもここで使われる絵は、たった5枚…。そこに全てを注ぎ込んで最大限に印象強い絵 に仕上げる作監さんの力量に、ただただ脱帽…。 ◆だが、美しく凛々しい絵もやがて切なく彩られる。前向きで力強い音楽だけが響き続ける 中で、コレまたたった2枚の絵が空気をガラリと変えてしま〜う! ◆カカシの描写も、やっぱりかなりコワい。だけでなく、コミカルに見せる余裕もある所が 余計にコワい。…つくづく、「ファンタジー」だから許される、ギリギリの所で暴れまくる アニメである。タマランです〜どんどんやって〜! |
| 第5話 『ダルセーニョ炎上』 |
| ストーリー トロンも加えた一行は、その祖国・ダルセーニョに辿り着く。しかし既に魔族の攻撃は、ス フォルツェンドの守護国であるこの国の城中にまで迫っていた。トロンの両親である王・王 妃が魔族に果敢に立ち向かう中、ハーメルに遂に魔族の覚醒が起こる…。 個人的感想 ◆言語を絶します、今の所、1話に次いで強烈な回。 ◆でも言わずにおれまへん。…主人公が!この掟破りの凶行を!5話で!…何から何まで、 既成の文脈をプチ壊して突き進むアニメ。全くこんなんアリか、情けもへったくれもない、 ヒドすぎる!…オアシス〜…。もう、心の底から今時こんなアニメを待っていた(感涙)。 ◆まぁアナタ、その画面がスゴすぎ。ハーメル・シュリンクス王のイキっぱなしの表情、ド サイケな色指定に頭クラクラ…。やっぱこのアニメって明らかに、悲惨な場面ほど鮮やかに 輝いてるよ〜…(感涙)両親を殺した三本角の魔族を、ライエルに『素晴らしくも美 しく見える』なんて形容させんのも、意図的なのでは…。 ◆音楽の使われ方も今の所一番印象的な回。『何故こんな絵で、こんな曲を〜っ(泣)!?』 の集大成↓ ♪ビゼー『カルメン〜闘牛士の歌』 ◆激しい戦火の中、耐え切れず悲鳴を上げて極限の形相で走り出すハーメル。その姿を無視、 或いは嘲笑うように華やかに高らかに鳴り響く音楽。…もうどうしろと…。もはや感情移入 のレベルではなく、有るのはただ、脳ミソ掻き乱される「悲惨な快感」。そろそろ一連のコ ワい絵にはある種の「残酷美」の気配を感じてはいたが、実はこのアニメって本質的に…? 確かに、「悲劇」の娯楽性を突き詰めると、最終的にはそのスタイルに行き着くかもしれな い。しかし、よくぞTVアニメでそこまで徹底してやる覚悟を…。 ◆となると、そんな「残酷」を美化したものをTVアニメで流してええんか、という問題も 生じますが一口に答えは出せないと思います。例えば、美化は入っても「残酷」を避けず真 正面から描くアニメと、人気キャラの汚れなきイメージキープ等々の都合により、有る筈だ ろうが「残酷」もウヤムヤに誤魔化して描けないアニメ。どっちがいい悪い?ってのはもう、 個人の価値観によってくるんではないかと…。いやとにかく刺激の強過ぎる映像は、子供も 見るTVアニメでやっぱヤバい?じゃあ刺激的にさえ描かなければ、○○○が○○を平然と ○○ったり、○○○を堂々と○○に見立てるアニメは感覚的に大丈夫なのか?ってコトも。 (なぞなぞ:○を埋めてみてね!ヒント・月曜と火曜。 ←うわ〜…) ◆話戻って、この場面はライエルの演奏が悪作用した結果、ハーメルが前後の見境の付かな い闘牛化した、なんて考え過ぎ?…実はベース以前にライエルがあの事件の火付け役だった とか…。だったらあまりに皮肉な話なんで、そう思うことにします。 ♪チャイコフスキー『白鳥の湖』 ◆精霊に乗り、城を飛び出すハーメルとライエル。流麗なピアノ曲、巨大な白鳥の上で寄り 添う美少年…もうウットリするような絵…から一気に転じて、あのラストかあ〜! |
| 第6話 『五つの希望の名の下に』 |
| ストーリー 焼け落ちたダルセーニョを後にし、ー行はフィーネ山中に入る。しかしその山の正体こそは、 魔族のモンスターであった。ダルセーニョ以来互いに不信感が生まれる中、五人はこれに立 ち向かえるのか…。 個人的感想 ◆ギータ様一匹飼いたいです。「皆さんもそろそろ新しい仲間が欲しいようですね…」とか、 一見独り言に見せ掛けて、さり気なくおねだりされてみた〜い! ◆最初の、王妃が息を引き取る(リアル!な…)場面を見て、てっきり前述の「もう終りか け」の番組だと…。よくもまあ、1話1話が確実にズシリと重いテンションを維持できるも んだ…6話でこんな調子じゃあもう先が思いやられて、期待が膨らむばかりです。 ◆そして死体の上を飛び越えるハーメルの不吉な影。既に、主人公が物語中最も禍々しい存 在感をたたえてますが…ええんか、まだ6話で…。 ♪スメタナ『我が祖国〜モルダウ』 ◆コレが主役がトロンになっただけで、視点変えれば実はそんなヒドイ話でもない気が。幼 い少年が、亡くした両親の遺志を感じ取り、仲間に勇気づけられ、王子として巨大な魔族に 剣だけを武器に立ち向かう!正義の力強さ、未来への希望…もうこんなキラキラ要素が満ち 満ちてます(このアニメでは免疫がないだけに眩しい)。スメタナはチェコの為でなくダル セーニョ王国の為に作曲したんだ!と思いたくなる説得力。この話だけ見れば、100%ト ロンの勝利に酔うさわやかな感動の名場面です。 ◆それがこんなにも悲痛でやり切れんのは、主人公がハーメルゆえ…。5話のアレが影を落 とすと、モンスターの上を健気に駆け回るトロン(これからの人)と、軽やかに舞いながら バイオリンを弾くハーメル(もう後がない人)を…コラ〜、そんな交互に映すな〜(泣)! ましてや同時に映すな〜(号泣)!…ホントええ年こいて、アニメ見て目が腫れ上がるまで 泣かされるとわ。 |