未来からきた天使EX〜未来からきた戦乙女 後編〜 2章 後悔は憂いと共に その部屋の大きな窓の向こうには、青い空があった。 かなり高層にあると思われるその部屋には、青年が行儀悪く足を机の上に投げ出していた。 その青年の側には対照的に、キチンとした女性が立っていた。 自分の執務室で、アカツキ・ナガレはプロスぺクターの報告を聞いていた。 内容は、再び未来から現れた、アキトとルリの娘のことについてである。 「ヒスイ君といい、テンカワ君の娘は美人ぞろいだね」 アカツキの興味は別の所にあるようだ。 そんな不謹慎な発言を、エリナ・キンジョウ・ウォンは咳払いで嗜める。 「いいよ、C・Cを渡しちゃて。あとテンカワ君によろしくと伝えておいて」 アカツキは、そんな秘書に苦笑しながら話をまとめた。 プロスペクターはネルガル会長の言葉に承諾すると、頭を下げ通信を終えた。 「前回といい、随分簡単に帰してしまうのね」 「まあ、いいんじゃない?うちはもうボソン・ジャンプの研究からは手を引いているんだし」 エリナの何か含んだような言い方に、眉を寄せながらアカツキは答えた。 「いずれ、この世界はボソン・ジャンパーで満ちる事になるんだ」 言いながらアカツキは隣のエリナを見た。 「それよりも、僕達の子供は男の子でないといけないかな?」 エリナは一瞬何の事か分からずにいたが、理解すると秘書の顔に戻った。 「会長!!執務中です。冗談は止めて下さい」 「僕は本気さ」 アカツキはいつもの軽い調子ではなく、真剣な表情で言い切った。 「・・・そうね、そうなると良いわね」 堅い表情だったエリナは、柔らかい笑みを浮かべていた。 「もし私達の子供と、あの人の子供が結ばれたなら、それは素敵なことね。あなた」 アカツキは、そんなエリナを眩しそうに見つめていた。 未来からきた天使の事はプロスペクターにだけ知らせ、クルー全員には知らせれなかった。 知らせると、また倒れる人間で溢れることになると判断したからである。 その天使は、眠りから覚めていた。そして今は・・・・。 「父様・・ごめんなさい」 メノウはアキトに本当に済まなそうに謝った。 シュンとして、アキトの布団の上にペタンと座っているメノウの頭をアキトは撫でながら。 「そんなに気にしないで、メノウちゃん」 だがメノウは俯いたままだ。そして・・ 「父様・・ごめんなさい」 こうしてまたアキトが慰める。この繰り返しが何度も行われていた。 その様子を少し離れた場所からルリは無表情に見つめていた。 「やきもち?」 ミナトはルリの横で、彼女を見下ろして訊ねた。 「そんなんじゃありません」 ルリはミナトを見ようともせずに答える。 「自分の娘に嫉妬してもしょうがないでしょ?」 「そんなんじゃありません」 「・・・・」 こちらも同じようだ。 この状況を打開する為、ミナトは考えを巡らせた。 そして名案でも浮かんだのか、ルリに再び話かけた。 「ねぇルリルリ、ブリッジに戻りましょうよ」 彼女たちは待機任務の途中なのだ。 しかし、ルリはミナトの正論に納得しかねていた。 なんとなく胸にもやもやした物がある。 以前ならこんな事無かったのに。 ルリはその頭脳で、あの二人の引き離す策を素早く計算した。 「テンカワさん、そろそろ食堂に行かないとホウメイさんに怒られますよ?」 そのルリの言葉にアキトは時計を見ると、確かに食堂に行かなければいけない時間になっていた。 「メノウちゃん、俺食堂に行ってくるから。早めに戻ってくるから、この部屋から出ては駄目だよ?」 メノウは俯いたままコクンと頷いた。 「じゃあ、行ってくるね」 アキトは部屋を出ていった。 その後に続き、ミナトとルリは出て行こうとした。 ルリはドアの所で振り返ると、少女は相変わらず項垂れたままだった。 「私は嫌な人間ですね」 なぜそんなに利己的な考えをしてしまったのか。 罪悪感に捕らわれながら、ルリは部屋を後にした。 3章 戦いは決意と共に 「ルリ、救難信号を感知しました」 あれからずっと考え事をしていたルリはオモイカネの突然の報告に我に返った。 「位置の確認および艦長以下ブリッジ・スタッフへ連絡してください」 IFSを介し直接脳に流れ込んでくる情報。 近い・・・ 「ミナトさん、救難信号をキャッチしました。定期航路より外れるかもしれません。準備してください」 ミナトもその言葉で読み掛けていた本を閉じた。 「了解、ルリルリ。進路の設定したいから情報ちょうだい」 「今、送ります」 プシュー 「ルリちゃん、状況は?」 ブリッジに飛び込んできたナデシコ艦長ミスマル・ユリカは開口一番、ルリに状況を確認をする。 連絡してから3分と経っていない。 だが、身だしなみをキチンと整えて、シャキッとしている。 「火星の輸送会社所属の船が救難信号を発信しました。”S−05”です」 「宇宙海賊・・」 それを聞いたユリカの顔が戦艦を預かる艦長の表情になる。 それは実に数ヶ月ぶりだった。 「ナデシコはこれより救出へ向かいます。ミナトさん、進路を変更してください。メグミさん、宇宙軍への連絡をお願いします。」 そして一呼吸を置いて、凛とした声がブリッジに響き渡った。 「第二種戦闘配備。ルリちゃん、警報を発令」 ナデシコの艦内に警報が鳴り響く。 同時に重力波砲、相転移砲以外の武装の封印が外された。 ナデシコの巨体を加速させるべく、相転移エンジンが咆哮を上げる。 それは真空の空間に音も無く吸い込まれていった。 ナデシコは定期航路を大きく離れ進んでいった。 その姿は獲物を狙う猛獣のようにみえた。 メノウはアキトの部屋で、布団に横になっていた。 「父様・・・」 呟きが、彼女の口から漏れる。 迷惑を掛けたくなかった。役に立ちたかった。 だが現実はどうか。 未来では役に立てず、過去にまで来て迷惑を掛けている。 「泣いては駄目です」 声に出し、自分に言い聞かせる。 家を飛び出したとき泣かないと決めたはずだった。 メノウはアキトの枕に顔を押し当てて必死に我慢した。 その枕に残る父親の温もりが慰めてくれているような気がした。 「何?」 そんな彼女に逼迫した音が聞こえてきた。 それが何なのかすぐに気がついたメノウは、決意を瞳に宿すとアキトの部屋を飛び出した。 メノウの目指す場所はアキトの部屋からすぐ近くにあった。 エステバリスのパイロットはその部屋の近くにあるのだから。 その部屋には先客がいたので、メノウは彼女達が出て行くのを見計っていた。 「教官?」 部屋から出てきた3人の女性の一人に見覚えがあった。 思わず言葉が口から漏れてしまうが、どうやら誰にも聞かれなかったようだ。 メノウは誰もいなくなった更衣室に入っていった。 「ありました」 視線のその先には、パイロット・スーツがあった。 その一つを取り素早く着替える。 どんな体格でも合うように作られているスーツは、少女の体を包み込んだが、手と足に余りがあった。 それをなんとか捲り上げて格好を整えるヒスイ。 着替えを終えたメノウは更衣室を出て行こうとした時、鏡に映る自分の姿が目に入った。 ストレートな髪を、手早く編み込み始めた。 「よし」 三つ編みにしたヒスイは、もう一度鏡で確認すると更衣室を出ていった。 エステバリスの格納庫はすぐそこであった。 物陰でキョロキョロと辺りを見回す。 目当ての物はすぐに見つかった。 赤い巨人。 それはアルバムの中で何度も見たもの。 それが今目の前にあった。 メノウは猫のように素早く走り出し、巨人に乗り込んだ。 その一陣の風のような動きに辺りの整備員は誰も気がつかない。 「やっぱり、ちょと大きいですね」 座席に座るとIFSコントローラまで手が届かない。 アキト専用の機体であるため、座席を調節するものはない。 メノウは座席の下から、毛布を取り出すとそれを丸めてお尻に敷いた。 「これで大丈夫」 どうにか操縦が出来るようになった。 そしてベルトで座席に体を固定した。 そして深呼吸をすると、コントローラーに手を置いた。 メノウの手の甲に紋様が浮かび上がる。 その紋様は強く光り始める。 「パイロット、エントリー」 メノウのIFSからの命令でパイロットの確認が始まった。 「・・・・・アクセプト、システム・スタート」 一瞬の後、エステバリスのOSが起動を始めた。 テンカワ・アキト以外を受け付けない筈の機体はメノウを主と認識した。 「外部の通信を音声のみにしてください」 気がつかれては困るので、設定を変更する。 「エステバリス隊、準備が済みしだい発進してください」 通信士、メグミ・レイナードの連絡で、リョーコ、イズミ、ヒカル、それぞれのエステバリスは次々に闇へと飛んでいった。 ヤマダ・ジロウ。魂の名はダイゴウジ・ガイは発進しようとしていたところだった。 「アキト!久しぶりの戦いだ!!燃えるねー・・・・っておい、アキト!!アキト?アキトおおぉぉぉぉぉ」 返事の無い事を訝しく思ったガイは何度も呼んでみたが、発射されてしまった。 「くすっ、隊長ってずっと変わらないんですね。教官も苦労なさります」 ガイの行動が面白かったのか、メノウは上品に笑った。 「テンカワ機、準備はよろしいですか?」 メグミの声にメノウは我に返った。 「発進準備完了」 そして真紅の機体はカタパルトに運ばれた。 目の前には初め見る宇宙が広がっていた。 「発進5秒前・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」 ゼロの声を聞くと同時に強い圧力が体にかかる。 押し付けられる感覚にしばらく何も出来ないメノウだったが、急に体に加わる力が弱まったのを感じた。 慣性を抑制する機能が作動し始めたのだ。 それが動作を始めるまでのほんの数秒の出来事であるが、メノウには長い時間に感じられた。 メノウは何度か頭を振ると、目を閉じた。 エステバリスからのフィードバックにより、目を閉じていても周りを視る事が出来た。 すぐ近くに光球の輝くのが見えた。 「父様、メノウに力を」 その言葉とともに、彼女の顔に光り輝く紋様がいくつか浮かび上がった。 彼女の父、テンカワ・アキトより受け継いだナノ・マシンが、意志に従い活動を始めたのだ。 勇気と、そして死を司る乙女が降臨した。 戦化粧を施した少女は、ふさわしい舞台に向かい、赤い巨人を従え飛び去っていった。 アキトはブリッジに向かい走っていた。 「メノウちゃん」 彼には自分のエステバリスに誰が乗っているのか分かっていた。 アキトはブリッジに走り込んだ。 「テンカワさん!?」 「テンカワ君!!」 「アキト!」 「アキトさん?」 ブリッジのスタッフは戦闘中にも関わらず、ブリッジに入ってきたアキトに気を奪われた。 「メグミちゃん。俺のエステバリスに通信をつないでくれないか?」 その鬼気迫るアキトにメグミは思わず頷いてしまう。 「テンカワさん、もしかして・・」 ルリの漏らした呟きにアキトは首を縦に振った。 その間に回線を開いたメグミはアキトにマイクを渡す。 それを奪い取るようにすると、怒鳴り気味に言った。 「メノウちゃん!!」 一瞬の間を置き、その呼びかけに反応があった 「父様、見ていてください。メノウの実力を」 「メノウちゃん!!帰って来るんだ!」 だが、それっきり返事はなかった。 勝敗は決していた。 貨物船を襲っていた海賊は、エステバリスによって掃討され、母艦はルリのハッキングにより完全に掌握された。 戦いは終わった。 ナデシコに被害は無く、襲われた商戦も数人の負傷者と軽微な損傷ですんだ。 海賊は連絡を受け駆けつけた宇宙軍に引き渡された。 役目の終わったナデシコは出撃したエステバリスを回収した後、その宙域を後にした。 4章 明日は微笑みの中に 海賊との戦いで被害のまるでなかったナデシコだが、医務室は野戦病院さながらだった。 アキトのエステバリスに乗り戦った少女が、アキトとルリの娘だと知ったクルーがまたもや大勢倒れたからだ。 そんな中アキトはメノウを自分の部屋に連れてきていた。 「父様、誉めてください。メノウは5機も倒したのですよ」 頬を紅潮させ、興奮気味に話すメノウ。 「実戦は初めてでしたけど、上手にできました・・・・父様?」 メノウはアキトの悲しそうな表情を不思議に見た。 そんな娘に何と言ったら良いのか、アキトは考えていた。 「メノウちゃん、もうあんな事やったらいけないよ」 「なぜです?父様」 諭すようなアキトの言葉をメノウは疑問に思う。 自分は良い事をしたのに。 「メノウちゃんに、あんな事はしてもらいたくないんだ。メノウちゃんが戦う必要は無いんだよ」 メノウはその言葉を聞き俯いてしまう。 その母親譲りの美しい瞳から、一粒の真珠がこぼれ落ちた。 「父様はメノウが邪魔ですか?」 アキトはそっと、慣れた手つきで髪を撫でてあげた。 「そんな事は絶対にないよ。でもメノウちゃんが・・」 「メノウも姉様や兄様のように父様のお役に立ちたいのです!!手伝いをしたいのです!!」 アキトの言葉を遮って、思いを口にするメノウ。 父様がメノウを守ってくれるように、メノウが父様を守るのだ。そう決心したのだ。 だから甘えてばかりはいられない。そう思ったからこそ、家を出たのだ。 涙を瞳に一杯ためて、メノウはアキトを見上げていた。 「メノウちゃん、俺は君を守らなければならないんだ」 未来でも、現在でも。 それはテンカワ・アキトの義務。 「でも、メノウちゃんが俺のために戦う必要はないんだ」 「なぜです、父様!」 自分は必要がないのか。 メノウはそう思ってしまう 腰を落とし目の高さを揃えたアキトは、メノウの涙を拭ってあげる。 「俺はメノウちゃんが側にいてくれたなら、絶対に誰にも負けないから」 それは決意。いつかそうなる為に。 「だから俺を守るためでなく、メノウちゃんはいつか見つける宝物のために戦って欲しい」 「宝物ですか?」 「うん。いつの日か、きっと見つける。誰にも譲れない物を」 メノウは涙を拭ってくれるアキトの服の裾をギュッと掴んだ。 「父様は見つけたのですか?宝物を」 アキトは優しい微笑みを浮かべながら答え始めた。 「そうなのかもしれない」 よく自分でも分からない。でもそれはすぐ近くにあるような気がする。 「メノウにも見つけられますか?」 不安そうな声。 アキトはそんな声を出すメノウの小さな手を取った。 「必ずこの手に掴めるよ。メノウちゃん」 それが何かは今はまだ分からない。 だけどこの手で掴むのだ、たとえそれがどんな物であっても。 「テンカワさん、プロスぺクターさんからC・Cを頂いてきました」 ドアを開けてルリが入ってきた。 彼女の手にはC・Cが握られていた。 ルリはメノウを見ずに、それをに差し出す。 メノウはアキトの手を放すと、C・Cを受け取った。 「母様、ありがとうございます」 前に来た天使とはあまりに違う、丁寧な言葉使いにルリは戸惑いを覚えた。 そしてメノウを視界にはっきりと捕らえ、ルリは唐突に気がついた。 多分、私はこの子が羨ましかったのだと。 美しい黒の髪。 アキトと同じ色を持つこの少女がとても羨ましかったのだ。 しかし、少女の髪は完全な黒ではなかった。 黒曜石に瑠璃を混ぜたような、とても鮮やかな色だった。 そして瞳。 ルリと同じ琥珀の瞳は、自分の心の内を見ているように思えた。 「ごめんなさい・・・メノウ」 素直に謝れた。 メノウはそんなルリを見て、いたずらな表情になった。 「父様、メノウも素敵な宝物を見つけます」 はっきりした口調で言うと、まだ膝をついたままのアキトの頬に顔を寄せた。 「「!!??」」 頬に感じる感触に驚くアキトと、目の前の出来事に驚くルリ。 メノウはそっと離れると、手にしたC・Cが光り出した。 「母様、これくらいは許してください。父様、・・」 メノウは光の中に包まれて何かを言い掛けたが、その光と共に二人の前から姿を消した。 アキトは呆然と頬に手を当てた。 ルリはそれを見て先程の出来事を思い出し、一気に機嫌を損ねた。 「ずいぶんモテるんですね?テンカワさん」 アキトはその言い方にトゲを感じた。 「メノウちゃんは・・・俺の・・娘だよ」 「・・・」 「だから、これくらいは・・」 言いかけたアキトは、ルリが冷たい視線で見ている事に気づいた。 「ルリちゃん?」 「テンカワさん、目を閉じてください」 視線以上に冷たい声。 「ルリちゃん?気を悪くした?」 「目を閉じてください」 怒ったようなルリの表情を見て観念したアキトはおとなしく目を閉じた。 「ピースランド以来か・・・・平手の一発ですむかな?」 そんな事を考えていたアキトの頬にはいつまで経っても予想した衝撃はなかった。 代わりに、とても良い香りがした。とても甘い果実のような。 「テンカワさん、間違いですよ。あの娘は、私・・・達の娘です」 囁くように紡がれる言葉は、アキトの耳をくすぐった。 そして・・・唇に微かにふれる、柔らかいものを感じとった。 「ルリちゃん!?」 慌てて目を開きルリの名を呼ぶが、彼女はすでにアキトの前から姿を消していた。 ドアの閉まる音だけが、アキトの耳に聞こえてきた。 「これって・・」 そっと唇に触れてみた。そこにはまだ、あの感触が残っているような気がする。 「メノウちゃん。どうやら俺は見つけていたみたいだよ」 それはほんの少しの勇気。認めるという事。 自分の心の奥に閉じ込めていた想い。 「父様、未来でお会いしましょう」 ふと、アキトの脳裏に、もういないはずの少女の声が聞こえた気がした。 「いつか会いに行くよ、メノウちゃん。俺の宝物と一緒に」 アキトは、ホウメイから呼び付けられるまで、先程のシーンを何度も思い返していた。 エピローグ メノウは辺りを見回してみた。 最近になってみなれた風景。 ここは彼女の部屋。 ベッドの側に置いてある時計を見てみると、さほど時間は経っていないことが分かった。 「この時間なら父様はまだ起きているはず」 そう考えたメノウは壁のスイッチを一つ押した。 すると大きなスクリーンが一枚、彼女の前に現れた。 続けていくつかのボタンを素早く押し、しばらくするとスクリーンに一人の男性が現れた。 「父様!!」 うれしそうな声を上げるメノウ。 「久しぶりだね、メノウ。元気か?」 懐かしいと思う。ほんの少し前まで聞いていた声。だけど懐かしく思う。 「父様。メノウは話したい事がございます。聞いてくださいますか?」 伝えたい事、知ってもらいたい事があった。 だから話をしましょう。そして理解してもらいましょう。 自分の想いを。 「メノウ。メノウがそう考えるなら、応援する」 「父様、ありがとうございます。本当にありがとうございます」 そうしていろいろと話した後、通信を切った。 ふと時計を見るとだいぶ時間が過ぎていた。 もうすぐ訓練が始まる頃だ。 ピンポーン そう思ったのと同時に部屋のチャイムが鳴る。 「メノウ、起きろー。飯の前に一汗流すぜ」 「少々お待ちください、リョーコさん」 ドアの向こうから元気な返事か帰って来る。 リョーコはメノウの返事に違和感を覚えた。 それが何なのかしばらく考えたが、答えはなかなかでてこない。 そうするうちに、ドアが開きメノウが出てきた。 「おはようございます。リョーコさん」 ああ!そうか。 リョーコはようやくそれに気がついた。メノウは自分を「リョーコさん」と呼んだのだ。 どれほど言っても、「教官」としか呼ばない少女が名前で呼んでくれたのだ。 「ああ、おはよう、メノウ」 どんな心境の変化か分からなかったが、良い事だとリョーコは思う。 「何かいい事でもあったのか?」 リョーコの問にメノウは微笑んだ。 初めてみるメノウの微笑みはある人物を彷彿とさせた。 「本当に父親似だな。反則だぜ、その笑顔はよ」 その笑顔の眩しさに、リョーコは直視できず顔をそらしてしまう。 「はい。とても良い事がこざいました」 そう言うと、メノウは元気良く飛び上がりガッツ・ポーズをした。 その胸にとても大きな夢を抱いて。 未来からきた天使EX〜未来からきた戦乙女〜 完 後書き改めオリキャラ座談会 戦乙女 「はじめまして、テンカワ・メノウと申します。正確には・・」 作者 「ちょとまってメノウちゃん」 戦乙女 「どうかなさいましたか?」 作者 「いやなんでも。読者の皆様こんにちは。赤城しぐれです。この物語にお付き合いくださいまして、たいへん感謝しております」 戦乙女 「でもよろしいのですか?またオリキャラを出演させて・・・」 作者 「それがIFストーリーの良いところ」 戦乙女 「そうですか。でもこの作品でまた、謎が増えてしまいましたね」 作者 「それは・・」 戦乙女 「こんなに伏線を張り巡らしてよろしいのですか?」 作者 「とりあえず、ルリとアキトの物語の結末までは出来ているんだけど・・」 戦乙女 「その後のお話はどうなったのですか?」 作者 「最初はアキトが主人公で考えていたんだけど、どうやら君の兄が主役になりそうなんだ」 戦乙女 「まあ、兄様がですか?」 作者 「で、オリキャラが主役の物語なんて、それはすでにナデシコではないような気が・・・だから書くのを止めようかと」 戦乙女 「それもそうですね」 天使 「何でそこで納得するの?メノウ」 謎? 「そうだ!!」 戦乙女 「まあ、姉様に兄様。お久しぶりです」 作者 「げげっ、なぜここに!?」 天使 「今回あたしの出番が無かったから顔を出しに来てあげたの」 謎? 「まだ姉さんは良いですよ。僕はいまだ出番が一つも無いんですよ」 戦乙女 「でも兄様は未来の主役らしいんです」 謎? 「そうか?(テレ)」 天使 「なに照れてるのよ。さっき、作者は書かないって言ってたじゃない」 謎? 「はっ、そうだった。その辺はどうなっているんです・・・あれ?作者がいない」 戦乙女 「作者なら次の物語を書く為に、帰ってしまわれました」 天使 「しょうがないわね。メノウ、パパは?」 戦乙女 「部屋で休んでいらっしゃいます」 天使 「じゃあ、ケーキでも焼いてもらいましょ」 戦乙女 「そうですね。メノウはチーズスフレケーキが良いと思います」 天使 「何いってるの。ケーキはシフォンケーキと決まってるのよ」 (にぎやかに帰っていく姉妹) 謎? 「僕はタルトが良いな・・・・それで、僕の出番はあるの?」 後に残された彼の運命は・・・。 題名の”未来からきた天使EX”の”EX”は津原 やすみ著 わたしのエイリアンEX(講談社X文庫ティーンズハート)より この物語を最後まで読んで下さいました皆様、本当にありがとうございます。 最後になりましたが、お忙しい中この作品を掲載してくださいました、中田様には大変感謝しております。