インカレ民法2008年問題
Xの言い分
私はAからビルの改修代金2500万円を取り立てる権利を持っています。Aは宅地甲・甲上の建物乙・甲の隣の家庭菜園丙という3つの不動産を持っていました。甲乙丙にはB信用金庫のための共同根抵当がついていましたが、私は、改修代金が期限を過ぎても払われないことから、Aの不動産に二番抵当でいいから自分の債権の担保をつけてほしいと思っていました。しかし、機会を狙っている間に、甲乙はY会社の所有名義に、そして丙はC名義にされてしまいました。登記原因は売買となっていましたが、漏れ聞いている話からすると、甲乙の売られていった値段が、私にはずいぶん安いように思います。私の見立てだと、丙は2000万円で売られたとのことなのでだいたい適正な値段なのでしょうが、本来甲は5000万円、乙はちょっと古いので1000万円ぐらいなのではないかと思うのですが。私としてはこの売買そのものがおかしいと思いますし、Aにはさしたる財産が残っていないようなので、債権回収できるか不安です。
Yの言い分
私はAから4500万円で甲乙二つの不動産を買いました。Aは借金をたくさんしていたこと、甲乙と丙がAのめぼしい財産すべてであったという話は漏れ聞いています。しかし、実は甲と乙を買うに当たって、甲乙は、Aの父親に適正家賃で賃貸するという合意も含めて価格を決めました。ですから、当方としては適正な価格で購入したと思っています。
Aの言い分
私は起業を計画して、またB信用金庫から6000万円借りていました。Bからの借金のために、甲乙丙に、極度額5600万円の共同根抵当をつけていました。この起業のために手に入れたビルが、このままだと使いにくくて、Xに改修してもらったのにその代金2500万円が未払いなのはわかっています。
でも事業が思ったようにうまくはいかず、会社組織にもならないうちにBへの返済期限が過ぎてしまい、とうとうBはこの共同根抵当に基づいて物件甲乙丙につき抵当権の実行を申し立てました。本当なら甲は5000万円ぐらいしますし、乙もちょっと古くなりましたが1000万円ぐらいするでしょう。でも抵当権を実行されると困るんです。甲と乙には私の老父が住んでいるからです。
私は友人Cに相談して、そのCが経営する会社Yに甲と乙を4500万円で、Cに丙を2000万円で買い取ってもらい、CとYには、私の父が、賃借にはなりますが生きている間安心して暮らせるようにお願いしました。甲乙はちょっと割安かもしれませんが、それはそういう事情です。
そして、Bと交渉しました結果、Bは5600万円を受け取ることで、抵当権の実行の申立てを取り下げて共同根抵当権の登記を抹消してくれました。残った900万円はいろいろな出費に消えてしまいました。もうたいした財産は残っていません。
XYにとって可能な法的主張を検討せよ。利息・諸費用は考えないものとする。
出題 佐藤啓子(桃山学院大学教授)
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