足柄平野(注1)では富士山を望めますが、しばしば富士山の手前に丸い山が重なって見えます。この山を矢倉岳(注2)といい、足柄山地の一部です。
写真A: 城北工業高校グランド北端(サイクリングコース)からの富士山
富士山(3,776m)の頂上と矢倉岳(870m)の頂上を結ぶラインは、足柄平野をほぼ東西に横切ります。(西北西−東南東)
(注1)足柄平野(あしがらへいや):神奈川県西部に位置する10kmx5kmほどの平野。中央を酒匂川(さかわがわ)が流れる。小田原市、南足柄市、開成町、大井町、松田町、山北町にまたがる。
(注2)矢倉岳:標高870m。115万年前の石英閃緑岩(せんりょくがん)という深成岩でできている山です。深成岩は地下深くでマグマがゆっくり固まってできた岩石です。115万年前という地質年代的には大変”新しい”深成岩が地上に現れているのは大変珍しいそうです(「酒匂川地学散歩 大地の巻」参照)。この岩体は1000m以上も隆起して、周囲を覆っていた土砂は侵食されてなくなり、石英閃緑岩が現れているわけです。 フィリピン海プレートに乗った伊豆半島が、ぎゅうぎゅうと丹沢に衝突した結果なのでしょう。
西から和田河原の富士ゼロックス交差点、城北工業高校グランド北端、NECテクニカルセンター南端、国道255号線下大井交差点、県道72号線上曽我バス停、東端は中河原配水池上の見晴台を通っています。このライン上から富士山を望めば、ちょうどその真ん中に矢倉岳が重なって見えます。
撮影地点A〜F、赤線が富士山−矢倉岳ライン
このラインの北側では、矢倉岳は富士山の中心よりも左側に見えます。南側では右側に見えます。酒匂川の右岸には青少年サイクリングコースがあり、散歩にうってつけですが、小田急線栢山駅に近い報徳橋を起点に北に向かって1km程度進めばこのラインを横切るので、矢倉岳が向かって向かって右から左に移動するように見えます。
写真B:伊藤製作所付近の酒匂川右岸からの富士山
写真C:報徳橋より100mほど下流の酒匂川右岸からの富士山
東に行けば矢倉岳は小さく見え、西に行けば矢倉岳は大きく見えます。西端の富士ゼロックス交差点では矢倉岳は富士山の全体を覆ってしまうので、富士山は見えません。
写真D:中河原配水池上の見晴台からの富士山
写真E:源治橋の富士フィルム研究所からの富士山(矢倉岳の右側)
写真F:狩川左岸 花下橋付近からの富士
富士山〜矢倉岳〜中河原見晴台の断面図 カシミール3D作成

富士可視図(ピンク色の場所は富士が見える) カシミール3D作成