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事実上の初日 ・・・のはじまりは、川霧立ち上る大同江越しに見る平壌のパノラマから始まります。ここは羊角島ホテル最上階、大展望回転レストランです。が、実際には省エネのためか朝は回ってません。朝食は重曹で膨らませたみたいな謎のパンに、これは美味しいお粥さん、そしてネギとごま油風味のスクランブルエッグ、奈良漬けのような味のザーサイ、頑固な牛肉の細切り炒め、小さなカレイをトウガラシ味で油で焼いたもの、そしてコーヒーと缶のアイスティーです。 前にも書きましたが、食事はどれもこれも予想よりもはるかに美味しく、量もたっぷりと出ます。日本に伝えられるこの国の食糧事情を思うと、毎食物悲しくなってきます・・・が、食べます。食べながら、「昨日の夕食デザートのアイスクリームだけはすっげまず」などと、文句も出してしまいます。なんて罰当たりなんでしょう。 ところで、食事の話の後にこんなことを書くのはなんですが、順番通りに書かないと次が思い出せないので書きます。 健康な貴男貴女であれば、朝ゴハンの次に来るのは爽快な排フンですね。特に、旅行中の快便は、人生において自分の幸福を感じる瞬間のひとつでしょう。 しかし! 北朝鮮のみならず、韓国、タイなど、辛い食事を大量に摂取する国に滞在すると、人によってはこの幸福の瞬間が、地獄の瞬間になることと思われます。なぜって?食べるときに口中が辛ければ、出すときだって辛いんです。ヂヌシではない私ですら、2〜3日目からは排フンのたびにお尻の穴がヒリヒリするようになりました。ヂヌシのあなたが北朝鮮を旅する場合には、事前にお尻スプレーなどを用意されると良いかと思います。 市内観光スペクタクル さあ、今日は待ちに待った平壌市内観光です。北朝鮮本でおなじみの、かの巨大建造物群やメモリアルたちに御対面。更に、個人的に興味のある、社会主義国の宣伝美術群をたっぷりと観賞できるというわけで、朝から既に昨日を上回るハイパワーです。こんなにエンジン全開で果たして最終日まで保つのでしょうか。私のみならず、ツアーバス55号全体もそんな異様な高揚感が充満しています。・・・高揚感をかき立てるというのは、資本主義下の企業による消費者の購買意欲昂進にしろ、社会主義国における人心操作にしろ、宣伝のテクニックでは最重要要素です。それをよく理解し、大変巧みに利用したのが、かのアドルフ君。・・・それにしても、私たちもすっかり乗せられちゃっているようです。 まず、故金日成首席の生家、万景台に向かいます。15分ほどの大同江沿いの快適なドライブのあと、よく整備された公園ふうの万景台に到着しました。バスを降りると、さっそく、うっとりとした目に、テレビの北朝鮮ニュースなどでおなじみの、上ずったような口調で語る案内の女性に出迎えられます。通訳は現地ガイドのリさん。遠足で訪れた子供たちも混ざって、首席の家の小さな庭は満員です。 ところで、さっきから気になるのは、でっかいビデオカメラを回しながら私たちにくっついて歩く、なんとなく職人顔したおじさん。一体なんなんだと思っていたら、私たちの旅行中の様子をビデオに撮って編集し、最終日に1本6000円で販売するとか。 私:外貨獲得政策も、ここまで来ると涙ぐましいなあ タタケ山さん:あの人さっきから、花壇の花のアップばっかりチョー熱心に撮ってるよ。一体どんな編集になるんだろう 私:あ、何か説明はじまったよん 万景台(マンギョンデ) 万景台は平壌の西部に位置し、昔から平壌八景とともに名勝として知られている。万景台は、故金日成首席が誕生してから幼年期をすごしてきた場所であり、現在、首席の生家や一家の墳墓、革命事績館などが見学できる。朝鮮戦争時代にはこの地域も爆撃を受け、大きな被害があったが、幸い首席の生家は無事に保つことができた。 首席の生家には、首席の家族が使用したという生活用具なども展示され、往年の朝鮮農民の生活を偲ぶにもよい場所です。・・・が、さっきからなんだか大自然の呼び声がしています。幸い「小」のほうなんですが、「大」と違って、「小」はあまりガマンがききません。その上、私は小さいころにボーコー炎やらジンゾーやらを患ってしまい、行きたいときに行っておかないと、後からエグいことになってしまいます。これは私の唯一最大のウイークポイントです。うっ、さすがにここで病気→入院→お一人様御滞在延長は勘弁・・・。 首席の生家を見学し終えて、万景台の丘の上の展望台に上がるそうですが、これはいかん、いよいよいかん・・・ということで、C社の添乗員さんであるムンさんに、ボソッと「あの〜、申し訳ありませんがトイレに」とささやきます。 さあ、大変だ!ツアー旅行の悲しいところはこのように人に迷惑をかけてしまう事態が発生することです。ムンさんと私は、あわてて坂を駆け下り、そのへんで掃除している園内整備のおばさんにトイレの場所を聞きます。 「イセンシル、オディンミカ?」 あっ、あそこだ!助かった・・・ お手洗いが近い人への助言ですが、少なくとも、観光客が行くような場所には必ずある程度まともなトイレがあります。トイレに行くために別行動しているうちに拉致される、なんて心配は不要です。しかし、劇場などきちんとした施設のトイレでも紙がないことが多いので、トイレットペーパーは必需品です。 みんなのあとを追いかけて展望台に登り、再び駐車場近くにやって来ると、典型的な「北朝鮮ふう」の売店があります。ここで甘い物好き、あるいは単なる物好きの何人かがお菓子を買い求め、みんなに分けてくれました・・・が!これがうまくない!!どの甘物も異常に人工的な味がします。この国はキューバあたりから砂糖を入れていそうな気がするんですが。においも一種独特で、大昔、千葉港の近くにあったジャガイモ澱粉工場からただよってきた異臭を思いだします。ううう・・・。 結局滞在中、アイスクリーム、キャンディー、ロールケーキなど何度か甘いものにトライしてみましたが、いずれも、口に入れちゃったんだけれども飲み込むことも吐きだすこともできない!という究極の事態を発生させました。 さて、バス55号は私たちを乗せて、再び平壌市の中心街へ戻ります。それにしても初夏とあって、川面に映る柳の新緑がまぶしいです。平壌の別名は柳京。ほかに目に付くのはツツジ、ライラックの花々。ライラックの木はいずれもまだ若木ですが、本当に街中至る所に植えられており、10年後には平壌はライラックの街になりそうです 平壌市地下鉄 平壌市を南北に縦断する「千里馬線」と、東西に横断する「革新線」の2本。駅名は「栄光」「勝利」など、地名とは関係ないものがついている。なお、現在のところ北朝鮮で一般市民・旅行者が手に入れられる地図に、地下鉄線と駅がプロットされているものはないそうだ。 次に観光するのは、平壌市自慢の地下鉄です。「はっ?地下鉄なんて観光するの?」なんてバカにしてはいけません。平壌の地下鉄はおそらくソビエトの技術と意匠を導入して作られたのでしょう、モスクワ地下鉄のような宮殿風の豪華さと同時に、非常時には核シェルターになる深度と強度を誇るシロモノです。さあ、私たちを乗せたバスが着いたのは、写真でも説明している火力発電所の近くにある、千里馬線ターミナル「復興」駅です。駅舎に入るとすぐ、ちょうど日本の自動改札に似た機械がボンボンボンと並んでいます。市民の皆さんを観察していると、どうやらこの地下鉄はトークン制ですね。では、ツアーの皆さんと一緒に入ってみましょう。 おおっ、噂通りの高速エスカレーターでぐんぐんと地下へ降りていきます。壁をたたいてみると、音もしないゴツさです。エスカレーターを降りたら通路を進み、左に曲がって大理石のすばらしい階段を降りると、広いプラットホームに出ます。突き当たりの壁にはもちろん金日成首席の壁画が!人間の視覚に強くインパクトを与えるレイアウトがうまい!左右の壁にも労働風景などのレリーフや壁画が配置されていますが、見る人の視線を最終的に金日成首席に導くように、構図を巧みに計算しています。いかにも社会主義国らしい「中央へ!」。この独特の美的感覚が魅力です。 ここから隣の「栄光」駅まで体験乗車しましょう。・・・まあ、地下鉄そのものの乗り心地は普通なのですが、すっかりはしゃぎまくる私たち一行は、平壌市民からかなり奇異の目で見られています。中には、「まあまあ日本にはこんなものもないのかしらね、楽しい?」と言いたげなあたたか〜い目で見るおばさんもいます。 あっと言う間に「栄光」駅到着。ここのデコレーションもまた、「復興」駅に負けません。現地ガイドのリさんによると、どの駅も「勝利」「統一」などの駅名にふさわしい装飾がなされているとか。時間があればぜひ他の駅も見学したいところです。 万寿台(マンスデ) 平壌市中心部の小高い丘。手許のガイドブック『朝鮮魅力の旅』には、「万寿台の高台から大同江越しにのぞむ東平壌の風景は、四季それぞれに特徴があり、さながら一枚の絵のようである」と書いてあるが、四季の詩情よりも、丘の頂点にある金日成像にすべてが集中するように設計された超人工的ランドスケープが驚異である いよいよ本日のハイライト、かの巨大金日成首席像がそびえ立つ丘、万寿台にやって参りました。まず、丘の下にちょっとバスを停め、ガイドのリさんが首席像に捧げる花を買い求めてきます。それからもう少し上がったところにある駐車場でバスを降ります。やー誰の口からも歓声が上がっていますね(その意味は結構人によって違うみたいですが)。 いずれにしても北朝鮮に来たからには、ここを訪れなければ始まりません。 まず、リさんから軽く、かつ厳重に注意を受けます。 「写真は献花のあとにして下さいネ。それから、像の前で真似、同じポーズを絶対にしないでください」 ・・・ 絶対的権力の象徴、究極の偶像崇拝をぜひぜひ茶化したい、という欲求をグッと抑えます。確かに一般の北朝鮮市民から見たら、気分悪いでしょうからね。 先ほどリさんが買い求めた花束を、バス55号の「班長さん」になりかかっちゃっている、九州から参加の僧ヶ岳さんと、在日コリアンのユンさんご夫妻の奥さんがそれぞれ一つずつ捧げます。私たちはその後ろに整列し、深々とお辞儀。そうしたら後はしばらく記念写真タイムです。 どこからか、話す声が聞こえてきます。 「すげー、でかすぎて写真に納まらない」 「これもいつか、クレーンで吊るされる日が来るんかな」 「・・・いや、でかすぎて吊るせん」 主体思想塔(チュチェササンタプ) 金日成首席の生誕70周年にあたる1982年4月15日オープン。高さは150m、最上部に取り付けられた「のろし」のオブジェは、夜になると赤いネオンで燃え上がるような動きが表現される。展望台からの平壌中心部の展望は素晴らしい。 万寿台の項冒頭で、「本日のハイライト」と書きましたが、これだけあれこれ動いていながら、この時点で実はまだ午前中です。なんて濃密なスケジュールのツアーでしょう。よほど気合いが入っていなければたちまち調子を崩しそうですが、今のところバス55号28名全員元気で不気味なくらいです。はるばる青森から参加している、私より一回り年上の在日コリアン、梨花オンニのお母さんも、不自由な体を押しての参加にも関わらず、元気いっぱいです。 そして、これだけ大勢の人間が過密スケジュールの中で行動しているのにトラブルひとつ起こりません。見て下さい、みんな目がキラキラを通り越して、ギラギラしています。好奇心は全てに勝る。そして、この好奇心を裏切らないのが、北朝鮮のいいところ(?)です。 さあ、しばし地上150mの展望台からの眺めを楽しみましょう。 この後は名物・冷麺で昼食です。レストランは普通江に面した豪華レストラン、平壌冷麺の本場中の本場、清流館・・・と言われていたのですが、あらら、通り過ぎちゃいました。というわけで「鞍山閣(推定。名前聞くの忘れた)」で冷麺です。さっぱりと上品なスープで、シコシコ麺はほのかにソバ粉の香り。おかわりしたいような大変結構な逸品でした。 タタケ山さんは、漬物嫌いのお隣の男性から、キムチをまるまるひと皿恵んでもらって御満悦です。 食事の後一度羊角島ホテルに戻り、エクスカーションで行く妙香山1泊分の荷物だけえり分け、再びバスでGOします
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