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妙香山の朝

妙香山(ミョヒャンサン)

 朝鮮4大名勝のひとつ。妙香山とは面積約380平方キロメートルくらいの山域全体の総称。最高峰は思慮峰、標高1909m。巨岩絶壁、清流や滝をめぐるハイキングコースがある。また、この地域には仏影台、普賢寺など、歴史的遺物も多い。

 午前6時半。さわやかな山の朝です。今日も快晴、窓の外からは小鳥の声とともに、従業員さんと思われるおっさんたちののどかな掛け声が聞こえてきます。部屋のテラスに出てみましょう。テラスがついているなんて、まるっきり結構なリゾートホテル気分です。私たちの部屋は建物の裏側になり、景色はイマイチなのですが、ちょっと見おろすと従業員さんたちが何やら立ち話したり、作業したりしているのがよく見えます。おや?ホテルの本館わきに建つ、少々やかましい音を出す建物は自家発電設備ではないでしょうか。う〜ん味わい深い。

 何するでもなくしゃがみこんでいるおっさんもいます。そういえば、平壌でも至る所で用もなくしゃがみ込んでいる男性を見かけました。女性はせっせと歩き、男性はしゃがみこむ、というこの国の人間イメージが私の中で固まり始めています。

 朝食は8時から、と言われていたのですが、特に用もないのでさっさと食べてしまいましょ、と思い、タタケ山さんと一緒に7時45分頃、2階のレストランに降りました。エントランスのロビーから吹き抜けになっているホールは、1階を見下ろす張り出しのところどころに配置されたグリーンの影に、ミニテーブルとソファなんかもあり、案外気が利いています。いいホテルじゃあないですか。

 さて朝食どうかな〜とレストランをのぞいてみると、既にK社のツアーで来た人たちと、私たちと同じC社のツアー・お隣のバス56号の人たちでわいわい賑わっています。ところが、我らがバス55号のテーブルには、まだ誰も現れていません。

 みんなまだ寝ているわけはないし、どこにいるのかなあっ?と1階ロビーを見下ろすと、案の定朝っぱらから、わけのわからん品で充ち満ちた売店に人だかりができています。そういえば昨日から感じていたのですが、どうも、我らが55号組28名はなにかと次の行動に移るのがトロいようです。いえ、トロいというよりは、何かに気を取られると、それにエキサイトしすぎてなかなか次に移れないのです。みんな結束はものすごく良く、まるで学校の修学旅行みたいなノリで楽しいんですが・・・そして、このバス55号組のエキサイト気質が後にとんだ災い(?)を生むとは、この時点では誰も気がついていませんでした。

 我々もぜひ売店を見物しようということで、タタケ山さんと1階ロビーに続く階段を降りようとすると、およそ「山のリゾートホテル」には似付かわしくないような、見るからに体育会系っっ!という赤いジャージ姿の、ニキビ大炸裂/ガタイのいい健康そうなお兄さん方が、下階からゾロゾロ列をなして上がってきました。

タタケ山さん:なっ、なあに!?あれ、ふぐちゃあん

私:学生の合宿

タタケ山さん:こんな高そうなホテルでえ?

私:知らん。施設が足りないんじゃないの?

タタケ山さん:あれ、フグちゃん、日本語しゃべってる子もいるよ

私:おお、では朝鮮学校の子たちが祖国訪問かなにかで来ているだな。いいなーこんなホテルに泊まっちゃって。

 彼らは東京都小平市にある朝鮮大学校の学生さんたちでした。実は私の出身校はそのお隣のM美大なので、聞いた途端に親近感が涌いて来るではありませんか。そういやあそこの学生さんって、いつもあーいうジャージ姿で玉川上水とか走ってて。不健康そうな顔色で背中丸めてタバコ吸いながら歩くわれらM美大の学生とはえらい違いだったなあ。たまにラーメン屋さんなんかで相席になると、一緒にバカ話したりしたのですが、バカ話の席上ですら言葉遣いなど異様に真面目なのが、彼らに共通した特徴でした。

 ちなみに今回出会った彼らは、1ヶ月の祖国研修中なのだとか。このあと、日本に残って生活するか、北朝鮮で人民のために奉仕するのか、進路を決めるのだそうです。彼らは日本に残ることを「恥ずかしい・・・」と、言います。ということは、本心は日本に残りたい?

 なんだかんだ言っているうちに、我らが55号組がゾロゾロ列をなして、ロビーから続く階段を上がってきました。それではまあ、朝ご飯にいたしましょう。今朝のメニューはやはりお粥さんに各種キムチと、なぜか朝から肉料理。昨日の朝もそうでしたが、まるで「我々は朝昼晩肉を食べられる甲斐性がある」と強調するかのように、いつでもどこでもやたらめったら肉が出ます。

 そして、昨日まではさして何とも思わなかったのですが、毎食毎食、差し渡し18cmくらいの小さなカレイ(鰈)の料理がでます。初日は唐揚げ、昨日は朝焼き物、昼唐揚げ、夜唐揚げ。そして今、目の前の食卓には塩干物のカレイのお姿。小さい割に肉があって結構美味しいんですが、なぜカレイ?大量養殖に成功したのでしょうね。きっと。

 贅沢にお育ちのタタケ山さんは、そろそろ飽きたとほざいています。なんたるバチ当り。

 さあ、さっさと食べて出発しましょう!

今日も観光スペクタクル

 今日も昨日に引き続いて名所旧跡観光です。相変わらずベタな「観光」ですが、一向に飽きることはありません。何一つ見のがしてなるものかというギンギンの瞳が56プラス添乗員さん2名に現地ガイドのリさん、運転手先生の瞳8を乗せ、バスは快調に新緑のまぶしい山道を走り抜けます。

普賢寺(ポヒョンサ)

 朝鮮仏教の主流・曹渓宗の寺院。曹渓宗は禅宗の一派である。11世紀初頭、高麗時代に建立。本殿の大雄殿をはじめ、24の建物で構成されている。建造物の多くは朝鮮戦争の時代に焼失後、復元されたものであるが、観音殿や曹渓門のように古いものもある。

 日本では意外に知られていないが、朝鮮戦争(1950〜1953年)の期間、 北朝鮮・韓国が受けた爆撃の被害は太平洋戦争当時の日本より大きく、都市・文化財の被害も著しかった。また、国土そのものがゲリラ戦の舞台になったこの戦争では、都市だけではなく山野や耕地も戦火の被害が著しかった。

 バスはホテルから10分ほどで普賢寺に到着。それなりの大都会・平壌とは全く違う、しっとりとした空気が流れる林に配置された伽藍の中を、新緑に似合う濃紅のチマ・チョゴリを着た、感じのいい案内の女性に導かれて歩きます。そういえば、昨日平壌市内の施設見学の時は、どの施設の案内の女性も、うっとりとしたような上ずった声で話し、目なんかグレコの宗教画の聖女のようにイッちゃってて、見ていて少々恐怖を感じました。しかし、普賢寺の案内人さんは、普通に丁寧な話し方をする女性です。

 ついでを言えば、昨日平壌で私たちに接した人たちは皆、高級幹部がつける(とされている)、赤い旗に金日成首席、時には金正日総書記の顔写真入りバッジを付けていましたが、今日の女性は普通人用という説の、白丸のなかに金日成首席の顔写真の入ったデザインのバッジをつけています。

 ところで、ここに書いたバッジの「〜用」というカテゴリー分けは、日本で出版されている北朝鮮本によるものです。そこでタタケちゃんがガイドのリさんに、素朴な疑問をぶつけてみました。リさんのバッジは「高級幹部用・赤旗に金正日総書記」バッジです。私が見たかぎりでは、総書記バッジは少数派。

タタケちゃん:ねえねえリさん、そのバッジのデザインっていろいろあるけれど、職務とかで決まってるんですか?

リさん:いいえ、バッジのデザインは作成年代ごとにいろいろなのがありましてね、希望のデザインを申請するんです。

タタケちゃん:リさんのは背広を着た金正日総書記のですね。金日成首席と金正日総書記、どちらかも選べるんですか?

リさん:ええ、選べます。2人両方の写真が入ったものも選べますよ。

 う〜ん。謎は深まった、というところでしょうか。

 本殿・大雄殿前にやって来ました。本堂の薄暗がりの中には、金色の仏様がぼんやりと浮かび上がっています。ここで、九州から参加した僧ヶ岳さんが靴を脱ぎ、本堂に上がらせてもらいました。皆も続々その後に続きます。その時、体が不自由な梨花オンニのお母さんが、突然無我夢中で本堂の入り口にある急な段差を登り始めました。皆慌ててお母さんが転ばないよう手助けします。梨花オンニによると、お母さんの実家はお寺だったので、感極まってしまったようなのです。

 皆本堂に上がって正座すると、慶姫おばさんたちなど年配の在日コリアンが数人、本尊にお参りします。私たちの右端で、既に齢80は越していそうなお坊さんが見守っています。

 私はうしろでボーッと周囲を見回していたのですが、なんとなくこのお寺、生きている寺のにおいがしません。何と表現したら良いかよくわからないのですが、どこにも「仏様」がいらっしゃらないような、妙にカサカサした気分。こんなこと言うのはバチ当たりなのかもしれませんが、成田山新勝寺のある成田の町の真ん中に生まれ、仏様や家の中や町のあちこちに住む神様たちと、それを熱心に拝む人たちになじんできた私にはそんな感じがします。

 在日の人の礼拝が終わると、「班長」僧ヶ岳さんが前方に出て、この寺に祀られた仏様の説明を始めます。僧ヶ岳さんの本職はお坊さんなのです。仏像は五体並んでいますが、そのうち真ん中に目立つ三体、中央は大日如来、左は阿弥陀如来、右は釈迦如来です。更に、如来三像の左に普賢菩薩、右に観音菩薩。

 本来曹渓宗の本尊はお釈迦様なのだそうで、大日如来が本尊になっているのは少々不思議、もっとも、建立時に曹渓宗ではなく、後に転宗・転派しているのであれば、そういうこともあるでしょうか・・・と僧ヶ岳さんはおっしゃいます。案内の女性の話では、仏像のオリジナルは戦争で焼失してしまい、現在のものは復元だそうです。もしかして、ご本尊が入れ替わっているのは復元作業と関係があるのでは?社会主義国だからその辺がいい加減になった可能性は無きにしもあらず。後に僧ヶ岳さんが、「大日如来の印を結ぶ手がちょっと気になるかなあ」とおっしゃっていたのも、ズサンな復元作業が響いた可能性大です。

 とはいえこの仏様、斜めから見ると心なしか、奈良にある、朝鮮半島の影響を大きく受けた飛鳥時代の仏像群に、腕や体の線が似ているような気がします。気がするというだけで、具体的にどこが?と聞かれても困るのですが・・・やっぱり朝鮮民族の心のどこか深い部分にこういう線があるのかしらん。

 僧ヶ岳さんは説明を終えると、机上の小鐘を手にし、真言を唱えてから、般若心経の朗詠を始めました。みんな後ろでも神妙な顔をして拝みます。同時に本堂が急激に「生きた寺」に変貌していき、仏像が「仏様」になっていくのが感じられます。なんとも言えない、不思議な気持ちを味わいました。

 僧ヶ岳さんによるお勤めは5分ほどで終わりました。気がつくと梨花オンニのお母さんが涙をながしています。僧ヶ岳さんはその後、僧ヶ岳さんはその後、先ほどから私たちを見守っていたお坊さんに礼をし、立ち上がって何か語らいあいはじめましたが、お坊さんの顔の嬉しそうだったこと・・・私たちは邪魔をしないように先に進みましょう。

 薄暗い本堂から外に出ると、花崗岩質の白い砂の照り返しに、案内の女性のチマ・チョゴリの色が輝き、まぶしいくらいです。その後、この寺で建立当時から残っている唯一の建物・観音殿や、この寺に保存されている八万大蔵経を見学します。

 酬忠祠という建物にやって来ました。祀られているのは西山大師。豊臣秀吉が朝鮮に攻め入った「壬申倭乱(朝鮮側ではこう言います)」の際、殺生を禁じられている身でありながら、僧兵を率いて戦った英雄です。

 女性の説明をガイドのリさんが通訳しますが、日本人相手なので、反日関係のメモリアルなどについての説明はどうしても控えめになります。説明が終わり、皆が再びゾロゾロ歩き出したときにリさんがそっと遠慮がちに言いました。

「皆さんは壬申倭乱って知っていますか?」

 もちろん知っています、と聞いて、心なしかリさんホッとしたような顔。

 ところで大昔、学校の歴史の時間、秀吉が朝鮮半島に攻め入るなどという無茶をしでかした理由について、臣下に封する領土がなくなり、それを海外に求めた、と習ったのですが、どうもそうは思えない。秀吉は晩年、誇大妄想症に陥ってしまったのではないでしょうか。我はビッグである。我は帝王なり。それまでの人生、特に頂点に立って以来、ある意味ではおっかなびっくり進んできたに違いない秀吉。千利休などは、秀吉の「おっかなびっくり」の部分を、芸術を使ってゆさぶった、いえ、ネチネチいたぶったに違いない。

----あなたに一体これがわかりますか?成り上がり者のあなた・・・と。

 秀吉がブチ切れ、帝王を妄想するようになったことと、利休との関係は大きいと思うのですが、いかがでしょう。そういえば、利休の意匠は朝鮮半島に由来するものが多いとか。

 ついつい脱線してしまいました。どうもこの旅行記は脱線癖があるようですが、勘弁ね。

 さて、感動の普賢寺を後に、次はすぐ近くの国際親善展覧館に移りましょう。

国際親善展覧館
(ククチェチンソンチョルラムグァン)

 金日成首席に贈られた世界中の元首、政府、政党、著名人etc. からの貴重な贈り物や芸術品を、首席が一人で楽しむのではなく、一般市民にも広く観賞してもらおう、というコンセプトで建造された博物館。金正日首席に寄贈された品を展示する別館もある。

 建物は民族的な様式を取り入れ、なおかつ社会主義的思想も盛り込んだデザイン(おおっ!!)。建物の外装はコンクリートで出来ているが、内部には大理石などもふんだんに使われ、ぜいたくな造り。また、窓が一つもない構造は蔵品保護のためか。建物のすぐ後ろは岩山になっており、台北の故宮博物院のように、山体をくりぬいた収蔵庫があると推測される。

 さてさて、駐車場から展覧館に続く100mほどの道に、立っているわ立っているわ兵隊さん。銀色に塗装されたカラシニコフを手に、微動だにしません。写真を撮ろうとしたら早速注意されてしまいました。おっとっと。

 建物の前にやって参りました。すると、昨日平壌でおなじみだった、例のグレコ目のオバさんが私たちを出迎えます。バッジは赤い旗の高級幹部印。声は勿論うわずってます。こんな所で働いているのですから、当然スーパーエリートでしょう。自分の職務に恍惚としていますね?さあ、ロダンの「地獄の門」まんま、みたいな巨大な鉄門を押し開け、彼女が私たちを中に導き入れます。逆ベアトリーチェ。荘厳です。素晴らしい!これぞ北朝鮮!!

 ドラマチックな導入部から一転、私たちはガサガサしたクロークに案内され、荷物とカメラを預けます。館内は撮影禁止。あれ?おじさまからは、館内の撮影は自由だと聞いていたのですが・・・

「フラッシュの光で所蔵品が痛むので、いけません」

 デジカメならフラッシュなしでもバッチリなのですが・・・

(撮影禁止の真実については、この項終わりに詳説)

 荷物を預けた後、北京の故宮博物館と同じように、靴の上から布製のカバーを履きます。おっと!大理石の床にこれは思いきり滑り、超危険です。梨花オンニのお母さん、気をつけて。ギャッ!(自分が滑った)

 まず私たちは白頭山などの壁画に飾られた長い廊下を通ります。そして、正面に白い金日成首席像が鎮座するホールに導かれ、整列して像に向かって一礼しましょう。それが済んだら、オバさんの開ける巨大な内扉(これまた地獄の門)をくぐり、いよいよ内陣へ入ります。

 内部は小学校の教室程度の広さの展示室が何百室だったかな、ええい忘れた、とにかく長くて暗〜〜〜い廊下に面し、無数に続いています。いくら見ても終わりがきません。展示物はと言うと・・・・・・・・・・・・・・。

 これに関しては多くを語りたくありません。田舎の金持ちの応接室を300倍、というのを思い浮かべて下さい。少女漫画になじみのある方でしたら、剣菱家のインテリアを想像して、それに少々ホコリをたけてみて下さい。これで間違いありません。流木に鷲の木彫が留まっている細工?あります。セ○コーの応接室用高級金時計?もちろんあります。象牙の五重の塔?もちろんありますとも。巨大なカメの剥製だってありますとも。まあ、ある意味ではエキサイティングで、皆も始めのうちはあれこれ言いながら熱心に見ました。

 もっとも、寄贈国の名誉にかけて言えば、中には本当に価値あるものもあります。しかし、それを信楽焼のタヌキと並べて展示するなよ・・・。

 送り主として日本人になじみがあるものといえば、最初に今は亡き日本社会党。おっと、公明党もあります。これは意外。あとは有名企業なんかも案外ある。個人は・・・と、まあいろいろあるのですが、土井たか子氏、某宗教の大将・・・おっ、故金丸信氏からのなんていうのがありますね。

タタケ山さん:ふぐちゃああん、ここいつまで見学させられるのかなあ

私:うむむ、もう1時間以上この異空間にいるのか。いいかげん疲れてきたな。

タタケ山さん:ここってさあ、窓ないじゃない。なんか私、気分悪くなってきたよう。

私:私も少々。私は閉所恐怖症の気はないんだけど、さすがにちょっと目まいがしてきた。そういえば○○サンも北朝鮮に行きたいって言ってたけど、ここは勧められないなー。あの人、閉所恐怖症でしょ。

 既にずいぶんな数の部屋を見学し、やっと終わり?と思えばながあああい廊下を通って再び次の展示室。展示品は玉石混交。1時間半近くの所蔵品見学を終え、最上階の展望台に案内されたときは、既にグッタリしてしまいました。。みんなは早くも売店でエキサイトし始めていますが、私は少々呆然自失状態。在日コリアンの京淑さんが「アイス食べる?」と声をかけてくれ、やっと正気を取り戻しました。

 よろよろと売店に行くと、皆相当にエキサイトしています。いかにも山奥らしい物産が多く目につきます。岩茸、ハチミツ、高麗人参入りハチミツ、何かよくわからない乾物など。竹細工の雑貨なんかもあります。おや?ここの売店は小さい割にヨソより結構いけてます。ちょっと元気を取り戻しました。私も何か買おう。

 ここで私たち一行はずいぶん時間を使ったようです。そういえば、ガイドのリさんも、旅行会社の添乗員・女性のムンさんも、私たちと同年代の男性・ペクさんも、お買い物の時にはあまり私たちをせかしません。外貨獲得という国家の目的に叶っているからでしょう。

 展望台で30分近くを過ごし、再び密閉空間に戻った私たちは、今度は金日成首席のロウ人形が白頭山を背景に立つ部屋に案内され、例によってそこで一礼、館内見学を終了しました。靴カバーを返却すると、案内のオバさん、今度はスイッチ一つで鉄の扉をズモモモ〜〜〜とオープンします。おおっ!

 それにしても、なんかこの国はカネのかけ所を誤っていないでしょうか?

私:あーおわったおわった、次は妙香山ハイキングだ!

タタケちゃん:あれ?向こうの建物からK社のツアーの人たちが出てくるよ。

私:え?これでおわりじゃないの

リさん:さあ、次は別館を見学します

私:ええーっ!!

 叫んだのは私だけではなかった・・・が、端折ることのできない場所なんでしょうね。きっと。へっ。

 もう自暴自棄です。

 別館・金正日秘宝館の収蔵品については、同行のどなたかのHPで見られるでしょう。興味のある方はどうぞ。私はもう多くを語りたくありません。

結論:本館だろうが別館だろうが、正直言ってここには二度と来たくありません。

 さらに悲劇。結局ハイキングは時間の関係で中止になってしまったのです。

私:この晴天下、 風光明媚な山岳にいるのに、なんで穴蔵見物・・・。金日成秘宝館でエキサイトしすぎたんだ、ブツブツブツ

リさん:じゃあ、ここに残ってもらおうかなー。

 ジョークになっていないって完全に意識して言ってますね、リさん!!

 ハイキングが中止になった分、多少ゆったりとした妙香山ホテルの昼食時間も、なんとなく遠い目になってしまう私でありました。

おまけ・写真撮影禁止について:
帰国後、おじさまに聞いてみたところ、やはり昔は撮影OKだったそうです。ところが、今は禁止。理由は不明ですが、仲間うちでは、いわゆる「北朝鮮本」で、所蔵品を写真つきで盛大にからかわれたのも原因なのでは・・・?との説が有力です。だったら見せるものをもっとセレクトせい、と言いたいのですが、それができる人材が不足なんでしょうか?芸術・・・音楽やダンスといった分野でのこの国の水準は決して低くないと思うのですが、絵画・彫刻に関しては、うーん。ここでも謎が深まってしまいました。

北朝鮮のアニメ

ゆったりとした・・・と言うよりは、なんとなくデレっとした昼食タイム(カレイつき)のあと、バス55号は再び平壌を目指して走ります。

 ここらでちょっと趣向を変え、北朝鮮のアニメ漫画についてお話しましょう。とは言っても、私が見たのはバスの中のビデオで上映された1つのシリーズだけだったのですが、これが驚き。なかなか良かったのです。

 手許にあるガイドブック「朝鮮・魅力の旅」では、北朝鮮版ドラえもんとでも言うべき、「智恵あるタヌキ」がご当地では人気だそうで、書店などでもビデオや漫画が盛んに売られています。言葉が全然わからないので見た目のイメージですが、ドラえもんと違って、登場人物たちがもっと自主活動的に問題を解決していく感じですね。

 ところで、私が見たアニメはこの「知恵あるタヌキ」ではありません。結局タイトルがわからずじまいだったのですが、大河時代ラブロマンス(!)ものです。以下は画面から推測したストーリー。

 むかしむかし、悪い侵略者から国を守るために立ち上がった若い将軍がいた。そして、彼を助けて活躍するのが、男装のヒロイン。将軍の命を受け、白馬を駆り、西へ東へ。途中待ち受ける悪人どもと戦い、時には捕らわれの身になったり傷を負うこともあるが、知恵と信念で窮地を脱し突き進む。そんな彼女と将軍は、皆に祝福される恋人同士でもあった・・・

 とまあ、ここまで書くとヲタクの方にはお分かりですね。このアニメはおそらく、若き日の金日成首席と、金正日総書記のお母さん・金正淑女史をモデルにしたものではないかと思われます。将軍の顔は往年のハンサムだった金日成首席をモデルにしたもののようですし、なによりも丸顔のヒロインは完璧に金正淑女史そっくりです。脇役の女性たちが皆細面の美人顔なのに対し、ヒロインのぽっちゃり顔は一見不思議ですが、事情に気がつけば簡単に納得。

 それはさておき、アニメーションの動きは柔らかくてきれいだし、登場人物の設定やストーリーも単純なものではなく、なかなか深みがあります。ビデオが売っていたらぜひ欲しいと思ったのですが、テーマ曲のCDしか見つけられませんでした。ジャケットのデザインもいまいちで残念。

 ところで登場人物の中に、一見悪役のようでいながらヒロインにシンパシーを感じ、時には味方する、という山賊の女頭がいるのですが、スリムな美女である彼女、気のせいか、かの引田天巧にそっくりなような・・・

   

 

妙香山にある香山ホテル。てっぺんの円盤は回転レストランだあ!自然の中のリゾートホテルとしてはいささか無粋ですが・・・(T)
ロビーの中はこんな感じ。北朝鮮好みのジオラマもあります(T)
しゃがむオジさん達。正当な権利に基づく休憩時間にしては、ずいぶん長時間でした(T)
北朝鮮では何かを説明するときに、このようなパノラマ絵図やジオラマをよく使います。結構面白いのよ(T)
普賢寺境内の眺め。写真では新緑のみずみずしさがよく伝わらないのが残念です
普賢寺の案内の女性。外国人と接する人たちの中では一番ナチュラルな感じの色白美人
垂木の彩色が素晴らしい
虎に乗っているのは?(T)
これが問題の金日成秘宝館こと国際親善展覧館。先に結論言っちゃいますが、ここに行くのはお薦めしません。どうしてもと言う場合は、見学中できるだけ体力を温存するようにしましょう
本当はこういうモノを写真に撮ってはいけません・・・が、どさくさまぎれが効くのは、大人数のツアーのいいところです
秘宝館の展望台から茫然自失状態で撮った付近の風景写真。展望台に行く前にカメラを返してもらえます。
今日の昼食(T)
ちなみに昨晩の夕食(T)
事の発端
4月26日(第1日)
4月27日(第2日・午前)
4月27日(第2日・午後)
4月28日(第3日・午前)
4月28日(第3日・午後)
4月29日(第4日・午前)
4月29日(第4日・午後)
4月30日(第5日)
番外編1・北朝鮮のトイレ
番外編2・羊角島ホテル
旅のお便利メモ