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板門店(パンムンジョム)後編 調印会場の見学を終えると、いよいよ南北会談の会議場、韓国側からの板門店見学でも訪れるあの青い建物の見学に移ります。韓国側から板門店を訪れたことのある人、新装なったピカピカの韓国側展望台から会議場を見渡すと、向こうに北朝鮮側のブアイソなコンクリ展望台が見えるでしょう。私たちはまず、その南側のひな段に全員一斉に整列します。相変わらず雨は土砂降り、広いひな段といえども、総勢80名からなる日本人ツアー客の傘がひしめき合うとどえらいことです。 添乗員のペクさん:じゃ、まずK社のツアーの方からどうぞ〜。55号と56号の皆さんはちょっと待ってね 広島君:なんかさー、いっつもオレたちの組が後回しだよなっ 添乗員のムンさん:ごめんなさいね 広島君:あー?あっ、済みません、全然気にしてないっすよ。あのヒトたちはいわばフツーの旅行客ですもんね。あまり待たせたり、不自由させたりするわけにはいかないでしょ?それに引き換え、こっちはヲタクか在日ばっかりだから、事情もわかっているってもんッス ユン旦那さん:あっちは結構トラブルとかあるそうですね 広島君:興味の持ち所が違うし、思うように行かないこともあるから、イライラするんでしょ 私たちの番が回ってきました。いよいよ会場内に入ります。 甘元君:あー、やっぱり韓国側から見るのとまるっきり同じだ ムンさん:そうですよ、同じ建物だもの 窓の外から韓国側の兵士が「酔狂な連中・・・」という顔をしてのぞき込んでいます。そのうち携帯電話を取りだし何やら通話し始めましたが、「このアホな一群は何事?」とでも言っているんでしょうか、こちらをチラチラ眺めながら話しています。 私:おーっ、ベルトに「JSA」って書いてあるっ タタケ山さん:フグちゃん・・・アホ丸出し ペクさん:今日の警備は韓国軍ですね。最近は警備も大体韓国軍が出てくるようになったかな。つい何年か前までは、本当に米軍ばっかだったんですよ 甘元君:それにしても韓国側は全然客いませんね。日本人がいたら自慢しようと思っていたのに パクさん:あんまり厳密ではないみたいだけれど、一応かち合わないようにはなってるみたいですね。そのくらいは毎朝電話で打ち合わせしているんじゃないかな 会場に入ってからまだ2〜3分でしょうか、リさんが急に「さあ、出ましょう」と言って私たちをせかします。 私:あ、待って、韓国側に越境してくる リさん:出ましょう リさんが珍しくイライラしています。 先ほどのコンクリ展望台に戻り、しばし写真など撮影したり土産物などつついた後、私たちは再び軍事境界線の入り口に向かうためにバスに乗り込みました。僧ヶ岳さんがなかなか戻って来ない・・・と思っていたら、例の誠実そうな顔の2人の軍人と一緒に戻ってきました。2人のうち年長の人のほうが、バス中ほどにある僧ヶ岳さんの席に来て、彼の隣の補助席を出して座り込みます。どうやら僧ヶ岳さんと彼は、ずっと何か話をしていたようです。そのうちに軍人の彼が、最前列に座っていたリさんを手招きして呼び寄せます。どうやら通訳を頼んだようです。 リさんも交えた彼らは、しばらく熱心に話し込み続けていましたが、バスはすぐにゲートに到着。話のほうも一段落着いたようで、軍人は晴れ晴れした顔で立ち上がり、僧ヶ岳さんと握手した後、全員に向かって笑顔でなにか言い始めました。すぐにリさんが通訳します。 「あなた方が再び、統一された板門店を訪れる日をお待ちしています」 「カムサハムニダ!」 拍手を浴びながら2人の軍人がバスから降りた後、僧ヶ岳さんが苦笑いしながら事情を説明してくれました。 僧ヶ岳さん:いやあ参りましたな、彼がね、「日本は最近、軍備を拡張したり、米軍に協力する法律を検討したりしているが、我々と戦争するつもりなのか?」って聞いてくるんですよ。だから私はね、「それはまったく違う。反対に、日本人はあなたがた北朝鮮軍の方が攻撃してくるのを恐れているんだ」と言ったんですよ。そうしたら彼は、「私たちは防衛のために働いているのであり、自分から戦争を始めるつもりはない。私たちもあんた方が攻撃してくるのを恐れている」と言うんですよ。つまり、現実はそういうことなんですなあ。まあ説明して、わかってもらえたかどうか・・・ 先ほどの軍人たちと一緒にバスを降り、何かの手続きを終えてきたらしいリさんが戻って来ました。バスはすぐ近くの開城の街に向けて走りはじめます。 リさん:みなさん、板門店はどうでしたか・・・?これがね、私たちの現実です。最後に残ったただ1つの分裂国家として、未だに統一を果していません。・・・これは私たち朝鮮民族の恥ですよ リさんが妙にイライラしていた理由がわかりました。国家分断を「悲劇」ではなく「恥」とみなす、誇り高い朝鮮民族。彼にとって、民族の恥を、よりによって日本人が浮かれながら観光するのが、我慢ならなかったに違いありません。 私の知っている何人かの在日朝鮮・韓国人の人たち−−−うらやましいと思う反面うっとうしく感じることもあるプライドの高さ。このプライドの高さが、良きにしろ悪しきにしろ、彼らを動かす最大のエネルギーなのではないでしょうか。 「かと思うと妙に人に甘えるところがある。とても人を信頼してくれる、こちらも相手を信頼できる、そういう人たちだなぁ・・・」 添乗員のキムさん:さー着きましたよ、バス降りまあす あっと言う間に開城に着いてしまいました。テツガク的なことを考えはじめても、すぐに邪魔が入って長続きしません。あっという間に思考停止。 何度も言うようですが、この国にいると、ある瞬間は真剣に何事かを考えていたかと思うと、次の瞬間には平然とそれとは全く正反対、あるいは全然無関係なことを考えるような、分裂した人格になって行くのを感じます。ヒジョーに感じます。そんな自分を責めてしまうようなタイプの人は、根本的に北朝鮮旅行には向かないかもしれません。 タタケ山さん:わーごはんだごはんだ、お腹すいた〜 私:なになに、「今日の昼食は飯床器(サンパンギ)をお楽しみ下さい」と書いてあるぞよ タタケ山さん:わーいわーい 開城(ケソン) 開城は10〜14世紀末にかけて朝鮮半島を支配した高麗王朝の首都。その後、李氏朝鮮時代にソウルに遷都した後も、商業都市として栄えた。名所旧跡に恵まれ、情緒たっぷりの民家群も見る価値がある。また、朝鮮人参の名産地として有名。 成均館は11世紀初頭、高麗の別宮として開城郊外の松嶽山近くに建てられた。その後、国の最高教育機関である国子監が移され、13世紀に「成均館」と名を改めた。現在は歴史博物館になっている。 開城は本来なら有名な「民族旅館」に1泊して、ゆっくり見物したかったところです。しかし残念ながら、今回のツアーではちょっと撫でるだけで終わり。もしも見学するなら、古い街並みを見てみたかったのですが、大人数のツアーを連れて歩くのには向かないところです。まあ次回のお楽しみ、というところですね タタケ山さん:ふぐちゃああん、また来る気ぃ? 私:うん。白頭山も見てないし。タタケちゃんはもう来ないの? タタケ山さん:・・・・・・また来たい 雨はだいぶ小降りになり、傘をさして歩くのに丁度よい感じです。 古い宮の庭園、歩くとサクサク音のする白い砂の上にはところどころ細い流れができ、大樹の緑を映しています。例によって案内の女性に導かれ、復元された建物を見たり、古い文物の展示を眺めたり・・・。実は、板門店の興奮からか、ここの記憶はあまり残っていません。ただ、砂や漆喰の白い色と、新緑の緑のコントラストがあまりにも見事だったこと、展示品の保存状態があまりにも悪く、憤慨したことが印象に残っています 大同江クルーズ! 平壌に戻る帰りのバスの中では、不覚にも眠ってしまいました。不肖わたくし、旅先で最大の楽しみは風景を観察すること、乗り物の中で寝たことなんぞないというのが自慢だったのですが・・・。瑞興休憩所でのトイレタイムのあと、気がついたら既にバスは平壌近くまで戻っているではありませんか。わーもったいね! バス55号は一旦ホテルに戻り、メンバー解散。各自今夜のマスゲーム観賞に備えて着膨れし、再び30分後、バスに集合します。おや?イタリア姉妹が何やらビニールに包まれた巨大な物体を担いで現れました。 イタリア妹:ホテルの毛布拝借しちゃった オーマイガァーーーッッ!私も真似すればよかった。雨はだいぶ小降りになり、夕方になって時折止むようになってきました。そうなると当然ですが、周囲は急激に冷え込んできます。おまけにバスの中がずっと寒かったせいもあり、タタケ山さんも私も、目下のところ手足は石のようです。 イタリア姉:クリーニング代請求されるかなあ・・・でも、カゼひくよりはいいかと思って 私:うーん賢い。こうなったらこっちはアルコールで対処するしかないぜ 今夜の夕食は大同江クルーズです、と言われ、思わず期待が高まります。バスは金日成広場すぐ下の桟橋にやって来ました。遊覧船が何隻か停泊している様子は、何年か前、フランクフルトブックメッセを見物したときに利用した、マイン川のイベント用臨時船ホテルとそこの桟橋を思いだします。マイン川とフランクフルト、大同江と平壌は似ている・・・そういえば、平壌のミョーなピカピカ・まがいもの感はフランクフルトに似ている?ような気がする。なんとなく。 (誤解のないように言わないといけません。これは決して両都市を貶しているわけではありませんからね。私はどちらも気に入っています) 夕食は案の定焼き肉です。明日着て帰る上着にニオイがつかないように、きちんと大ビニール持ってきました。先手必勝、いただきまーす。うん、うまいうまい。それにしてもこの遊覧船、風景といい何といいとっても雰囲気が良いのですが、さっきから全然動かないのが気になります。焼き肉もサンチュも次第に消費されてきました。窓の外は徐々に薄暗くなり、真正面の主体思想塔の上半分は、激しく流れる雲の底に出たり入ったりしています。 タタケ山さん:ふぐちゃああん、この船、動かないね。 私:それよりタタケちゃん、このスープ御飯マシッソヨ(おいしい)。食べよ食べよ タタケ山さん:それよりももうゴハン終わっちゃうよぉ イタリア姉:まだ6時半すぎでしょ、大丈夫ですよ。マスゲームは8時からだって言ってたから、まだまだですよ 私:このしょっぱいパンケーキもマシッソヨ。そば粉入りだなこれは。なかなか香りがいいそば粉だよん。なんか申し訳ない感じだなあ イタリア妹:それよりこのテーブル、お肉余しちゃってますね。男テーブルに恵んであげましょうか。あのへん食い尽くしてヒマそうにしてますよ タタケ山さん:ふぐちゃああああん 私:心配しなくても、もしかしたら会場のスタジアムまでこの船で行くんじゃないの?メーデースタジアムあすこに見えてるもーん タタケ山さん:あっ、動き出した 夕食も終わり近く、ようやく船は動き出しました。既に食べ終わったテーブルの人たちは、甲板に出て大騒ぎしています。船が動いたという、ごくごく当たり前のことだけでも喜びを感じてしまう、幸せな私たち。雨は完全に上がったようです。 私:ごちそうさまー!私たちも外に出よう ・・・と思ったら、あらら。船は岸から50mほど離れただけで、再び元の桟橋に戻ってきてしまいました。 タタケ山さん:えーっ、マジ〜〜〜!?これってサギだよ〜〜〜 やっぱり確かに大同江クルーズはこれで終わりのようです。下船の時間になりました。 まあ、御飯はおいしかったし、川面の目線で見る平壌 an der Taedongがきれいだったので、それで満足ということにしましょう。それにしても、燃料が不足していたんでしょうか?
マスゲーム 何がなんだかよくわからないけど、とにもかくにも期待に胸を膨らませた28人プラス添乗員さん2名プラス現地ガイドさんプラス運転手先生を乗せたバス55号は、マスゲーム会場・メーデースタジアムに向けて平壌市内を快走します。 ここで28人のメンバーは、申し込んだ席の等級に応じてグループ分けされます。ツアーはパンフレットにある料金そのままだと、一番等級の低い3等席になるのですが、オプション料金プラス7000円で2等席、12000円で1等席にグレードアップすることができます。一番高級な特等席は、恐ろしいことにオプション料金32000円です。おお・・・それだけあれば東京でオペラが見られる。ちなみに、これまでの北朝鮮におけるマスゲーム公演は、観客はすべて「招待」のみ。料金を取って人を呼ぶのはこれがはじめてだそうです。 添乗員のペクさんが、一人ひとりの名前を読んでチケットを配り始めました。えっ?甘元君も美奈ちゃんも特等席なの!?ええ、広島君1等!?イタリア〜〜〜、2等ですってえ?驚いたことに、3等席を選んだのは、既に何度かマスゲームを見たことのある在日の人たちと、やはり私たちのようにビンボーな労働者が何人か、だけです。とほほほ・・・ 美奈ちゃん:だって、彼が来るかもしれないじゃないですか。もしかしたら目の前で見られる可能性もありますよ 私:彼って、彼? 美奈ちゃん:そうですよ 私:うーん、それは難しいんじゃないかな。こういう場所には姿を出さないでしょう、彼は まあ、彼・金正日総書記の実物をここで見られるとは思いませんが、今回の旅行で気になったのは、街中でもどこでも見られる壁画などに、思ったよりも彼の出番が少なかったこと。そのかわり、予想以上にがんばっている(?)のが、母上・金正淑女史。壁画にしろ印刷物にしろ、どこでも彼女がいっぱいです。ちなみに、マスゲームの上演中、さまざまに色変わりしていく人間プラカードの絵柄にも、総書記は結局登場しませんでした。ヲタクの人の言葉で、彼のような人物を「キャラが立って」いると言うんですか?とにかく、力のこもった彼の巨大画像を見られなかったのはかなり残念だったような・・・ チケットをめぐって騒いでいるうちにバスは大同江を渡り、スタジアムに続く公園内のカーブした道路を滑るように走り抜け、やがて静かに停車しました。いよいよ、世界的名声を欲しいままにする、北朝鮮のマスゲームを観賞するときがやってきたのです。異常にハイになってしまっている55号メンバーは、とにかく箸が転げたと言っては笑い、雨垂れが頭に落ちたと言っては笑い、どう見てもキチガイの集団です。バスを降りると周囲には軽快な行進曲が流れ(もっちろんブラスバンドの生演奏)、目の前に、海軍兵士らしい白い制服に水色旗の大集団が出番に向けて整列中です。誰も彼も超かっこいい!!! 「キャーッッッ」 私たちが手を振ると、あちらも一瞬困ったような顔をしてから、苦笑しながら手を振ります。 ・・・それにしても、目の前にあるのはなんて巨大なスタジアムなんでしょう。これは現実か・・・?
メーデースタジアム 1989年、ソウルオリンピックに対抗(?)して開催された、第13回世界青年学生祭典のために建設された巨大スタジアム。最大収容人数は15万人で、観客スタンド最上階を1周すると、2kmになる。 リさん:はいはい、3等席・・・じゃなかった、はははは、超特等席の皆さんはこちらですヨ〜〜〜。僕が案内します ユン旦那さん:やな奴だな〜〜〜っ、つついちまうゾ、ほれっ○×△(@_@)(^o^)*◇\(-o-)→→→ リさん:わっわっわ、やめてやめて 私:ほいっ!!カネのない労働者諸君の席はこっちだぞ〜い リさん:すごい人数いますから、巻き込まれないで下さいね〜〜〜っ、タタケ山さん、どこ行くんですかあ タタケ山さんは既に正気を失い、芝山はにわ園の埴輪のような顔をして、行進曲のリズムでスタジアムの階段を登っています。あらら、ゲートに吸い込まれていっちゃった。向こうにかすかに見えるスタンドに並ぶ、あの物体は・・・ 私:パネルだあ 北朝鮮のマスゲーム名物、瞬時に変わるパネルです。あの、甲子園のPL学園、あるいは、カシマスタジアムのアントラーズサポーターが得意技とする、1人1人がプラカードを持ってやる、あれです。あれを、そう・・・5万人規模でやったと思って下さい。ああ、既に何かヒラヒラやって出し物が始まっています。もう、想像外の世界です。 私:ひええええええええええええ! リさん:ああ、あれあれ。そういえば、マスゲームが始まる前にも、ああやってちょっとしたことをやるんですよ。ほら、今は学校名を表示していますね。ははは、掛け声なんかかけちゃって、競争みたいなものでしょうかね。あのタテの列がそれぞれ、学校や地区で別れているんですよ。それで、それぞれの学校名を出しているんですね。あ、今度は地名ですね。こんなのに驚いて写真取ってたら、フィルムがいくらあっても足りませんヨ。本番はもっとすごいですからね 私:リさんもお若い頃は、マスゲーム参加したんですか? リさん:いや〜〜〜、私はやってません。あれで演技しているような人たちはもう、特別に選ばれた人たちですよ 私:じゃあ、あのプラカードは? リさん:あれは学校ごとに、担当するクラブがあったり、クラスなんかで参加するんですね。あれだってものずごーく訓練がいるんですよ。私なんかとてもじゃないけど選ばれません おやおや、開演前ですが、目の前を何かうっとうしい人影が右に左に横切ります。再びテレビの皆さんの登場です。くっそ〜、始まったら座れよっ! 観客席には屋根がついているので気がつかなかったのですが、ライトに照らされたスタジアムの真ん中を見ると、再び雨が降りだしたようです。私たちの3等席はスタンドのやや下の方。演技者の顔はよく見えますが、全体を見渡すにはイマイチかもしれません。後ろを振り向くと、上の方には緑の絨毯の敷かれた上等の席が見えます。特等席はテーブルつき。飲み物・お菓子らしいものも載っているようです。あ、美奈ちゃんが手を振っている。 正確に数えていないのでちょっとアヤしいのですが、外国人観光客向けの席は1000席未満でしょう。空席も結構あります。私たち日本人のほか、中国からの観光客が目立ちます。その他、ヨーロッパ、中南米、アフリカ、結構インターナショナルです。そして、海外からの観光客の他は、もうものすごい数の人民、人民、人民・・・ 観客席の照明が落とされ、いよいよマスゲームが始まりました。 (スライドショーは58bpsで10秒ほど待てば始まります) ---------------- 開演から1時間半、10万人の出演者によるマスゲームは終了しました。こんなに短い90分は初めてかもしれません。 つい10日ほど前、東京で友人ととあるバレエの公演を見たとき、「こんなに凄いのを見たのははじめてだ」と言ったばかりだったのに、もっと強烈なものを見てしまった・・・。もはや、何をみても簡単には感動しないカラダになってしまった。 ここで、美奈ちゃんが発した感想ですべてを代弁させてもらいましょう 「私はこれまでの人生の中で、最高に素晴らしく、最高に恐ろしいものを見た・・・」 北朝鮮のマスゲームは、全人類の無形文化財です。いろいろな意味で。 本当にいろいろな意味で。
梨花オンニ 夜10時ころホテルに戻って来ましたが、未だに興奮がさめません。このままでは寝られそうにない、それに明日は午前5時半起床で、8時の飛行機に乗るんだし・・・ということで、なんとなくみんなロビーに集まってしまいました。男性諸君はペクさん、リさんとともに市内に飲みに繰り出します。私たちはどうしようか・・・と思っていたら、向こうで梨花オンニがテレビのインタビューを受けています。彼女が話し終わるのを待って、タタケ山さんと私、オンニの3人で、とりあえずホテルの中にあるマッサージでも行ってみようか、リさんもここのはお勧めって言っていたし、ということになりました。 その顛末は別ページでどうぞ。 羊角島ホテルの地味な方のサウナは、ごく普通の、日本のお風呂屋さんにあるようなタイプのひと坪サウナです。そこにオンニと2人、並んで腰掛けます。タタケちゃんはひと足お先にマッサージ。 梨花オンニ:あー暖まる暖まる。あの2人姉妹も呼べばよかったね。カゼひいちゃってないかな 私:確かに後半は結構寒かったですね。もっともマスゲームが強烈であの時は気にならなかったけど オンニ:あー、これで休みも終わりだあ。家に帰ると子供3人とダンナが待ってる。きっと帰るなり「ゴハン〜〜〜」だわ 私:え〜つ!オンニ子供3人もいるの オンニ:うん。だから、私が出かけるのを納得させるために、ここに来る前の週に韓国行って、ロッテワールドで遊ばせてきた 私:北朝鮮籍でも韓国に行けるって、知りませんでした オンニ:行けますよぉ、当然当然。あ、でも私は現在は韓国籍なの、ダンナが韓国系だから。結婚するときの条件が、時々北に行ってもいいっていうことにしてね。母は北朝鮮籍なのよ。母の兄弟はみんなこっちに帰ってきちゃっててね、母は日本で1人なの。私も母も何度もこの国に来たけれど、こんなふうに観光で来たのは、本当に初めてなのよ。この間来たときは、万景峰号(在日の人がよく利用する北朝鮮の貨客船)で来たの。父に新潟まで送ってもらったわ。母は最近大病をしてね、もう助からないって言われてたのに助かって、今回は改めて心の整理がしたかったのね・・・ねえ、在日の友達がいるの? 私:うん、まあ単なる知り合いを含めれば何人か・・・まあ、最近でもやりとりがあるのは、学生の頃からの友達と、それからもう一人。彼女は北朝鮮籍だったけれど、韓国籍に変えてパッとアメリカに留学しちゃいました オンニ:韓国籍に変えちゃう人も多いね。フットワーク軽くなるもん。韓国籍なら世界中どこでも行けるものね 私:オンニの旦那さんは韓国籍なんですね オンニ:そう。お見合い結婚だったんだけれどね。結婚していきなり向こうの大家族に放り込まれて、はじめは遠慮ばかり。うちのトイレは男用のと女用が同じ部屋になっててね、いつ行っても誰かいるもんだから、なかなか行けなくて、1週間で膀胱炎になっちゃった。大変だったー。恥ずかしくてそんなこと言い出せないじゃないの・・・結婚してから何年たっても、なかなか子供は生まれないし、肩身が狭くて。そうそう、誰もいないところに行って、ちいさい声で歌ったわ。水戸黄門のテーマに、アタックNo.1のテーマとか。でも、有難いことにダンナが「君じゃなければダメだ」って言ってくれるのよ。そうこうしているうち、やっと男の子が生まれて、その次にはなんと双子産んじゃった。双子の女の子。そうなればもう万々歳よ。「昨日までは首の皮1枚でつながっていた嫁が、今じゃ3人の子持でエッヘン大威張り」って。 今回はみんなと一緒に旅行して、いつもとは全然違った目でこの国を見られて、面白かったわ。私はいつも、自分の中にある朝鮮や韓国をかなり肯定化する反面、否定もして来たの。でも、見つめ直すいい機会になった・・・日本に帰っても、また何か機会を作って会いましょうね・・・
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