ものづくり教育について(W)(シラバス作成に当たっての資料および関連意見等) 日向工業高校 馬場 弘教
1,はじめに
以下に記載のものは、以前の勤務校および本校の研修会等で使ったものやそこで出された意見等で、シラバス作成に関係するものである。アンケート一つとるのにも多くのエネルギーが要している。共通理解を得て取り組みを開始するまではさらに多くの時間とエネルギーを費やしている。他校の取り組みを参考にすれば、より良いものが短時間で出来上がると思う。他校の取り組みや研究の成果が生かされないのはもったいない。大いに活用すべきと思う。他校や他人がやったことを共有化し財産化してその上に積み上げていくという取り組みが教育現場全体に乏しい。一人ひとりの取り組みが組織として継承されていくには、まず記録としてファイル化され残されることが必要である。次にはその蓄積された財産の上により良く発展させようとする態度である。教育改革が遅々として進まない原因として、この点を私は何度か指摘してきたし、訴えてもきた。
2,授業を困難にしている原因はなんだろうか
以前勤務していた学校で生徒の学習に関する意識調査(平成4年実施の抄録)の結果
Q,どんな授業を希望しますか、に対して A,わかりやすい授業、楽しい授業をあげているものが全体の70〜80%と圧倒的に多かった。
Q,授業中に居眠りしたことがありますか、に対して A,80%近くがあると答えている。
Q、居眠りの原因は何ですか、に対して A,無気力、夜ふかし、部活動の疲れをあげている。
Q,宅習時間はどれくらいですか、に対して A,30分以下が70%であった。
Q,学習の障害は何ですか、に対して A,自分の無気力を60%以上の生徒があげていた。部活動もそれに続いていた。
Q,無気力の原因は何ですかに対して、 A、体の疲労が50%近くあった。続いて授業が難しく分かりにくい、授業内容がおもしろくない、学習の目的・意義がわからないなども多かった。
意識調査は18の設問で実施された(自由記述が3問)が、時代も学校も違うが傾向としてはほぼ同じでないかと思う。
3,学習に関する職員の意識調査の集計結果(以前勤務していた学校で平成4年に実施したもの。85人から回答、数値は実数。時代も学校も異なるが共通するものがあり参考になると思い掲載させてもらった)
(1)先生ご自身の目標とされている授業と比べて現在の先生の授業の 満足度はいかがでしょうか。
@満足である 3
Aまあ満足である 23
Bどちらとも言えない 25
Cどちらかというと不満足である 26
D不満足である 8
・生徒のペースでは授業にならないし、教師のペースでは生徒はついてこない
(2)前問でCDと答えられた方、満足のいかない授業の原因は何だと 思いますか複数答えられても結構です)
@生徒側の問題(やる気、心構えのなさ) 27
A生徒側の問題(基礎学力の不足) 13
B教師側の問題(生徒の実態に即した教材研究がまだ不十分) 17
C教師側の問題(生徒の実態に即した指導方法の改善がまだ不十分) 13
D教科書・教材が生徒の実態にあっていない 3
Eその他( ) 3
・テストができればよいという態度 ・依存性が高い ・進級基準が甘い
(3)先生の授業で以下の項目で気になる点はございませんか(複数選 択可)
@私語がある 31
A居眠りする者がいる 53
Bノートをとらない等やる気が見られない 25
C注意をしてもすぐ同じ事をくりかえす 16
D注意をしたら言い訳をしたり、時には不機嫌な顔をしたりまれには反発する事がある 6
E授業の進行を妨害された事がある 2
Fテストの出来が悪い(力がついてない) 17
G授業中に他のことをする生徒がいる 7
H教科書・ノートの準備が悪い 37
Iその他 8
・全く該当なし ・授業を受けようとする気持ちのない生徒が多い
・居眠りに罪悪感を持ってない生徒が多い、堂々とうつ伏せで寝る生徒は許せない・集中力の欠ける生徒が多いが気になる点はない
・全項目教科担の責任、その時点で注意すべき。自分の教科ではない
・油断するとバスタオルに頭をつけて寝る生徒がいる
・私語は気になるほどでないが居眠りが気になる。
・基礎力不足 ・勉強しなくても進級、卒業ができるという気持ち・「やる気」の面で教師側から見て納得がいかない部分がある。何を考えて授業を受けているのかわからない
(4)生徒の実態に即した授業を行うために工夫されている事を下記(昨年のアンケート結果)から選んで(複数回答可)下さい。これ以外で 工夫されていることがございましたらこれもお書き下さい。
@講義を少なくし、演習・作業や考えさせる時間を多くする。 26
A授業の形態をいろいろ工夫して飽きないようにしている。視聴覚教材を使用、プログラム学習、実験、プリント課題・・・・ 14
B内容の精選を行ない、到達度(ねらい)を明確にする 23
Cプリント学習で要点をおさえている。 14
D授業時間前後の点検(教科書・ノート・プリント等) 9
E授業後にノートに点検印を押し、それをもとに平常点とする。16
F教材研究はわかりやすくすることに重点をおいている。 31
G私語や居眠りをしないよう気を配りながら授業する。 33
H予習プリントを作成してやらせそれを授業中に使用している。 1
I基本事項は復習や小テストを繰り返し定着を図る。 11
J具体的に体感させたり、実物や実例を紹介し興味を持たせる。16
K授業だけでなく進路指導や生徒指導も授業の中で行なう。 28 L毎時間を連続して授業するのでなく1時間1時間でその単元を終了 2
Mその他 3
・各人で工夫されていると思うが、さらに生徒の実態を踏まえて工夫 改善していくべきだ。これが我々の使命だと思う
・質問を多くして平常点として評価する興味をひく導入を工夫
・実習内容の器具の製作に努めている
(5)上記設問の選択肢の中で、(現在取組み中、あるいは取組んでなくても)今後力を入れていきたいことがございましたら項目番号でお答え下さい。
|
番号 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
|
数 |
6 |
6 |
6 |
5 |
4 |
2 |
7 |
5 |
2 |
5 |
4 |
4 |
・居眠りは絶対に放置せず根気強く指導
・〇印をつけたのを全てやっていきたい。
(6)生徒の学習の障害となっていると思われるものを下記の中から選んで下さい。3個以内で答えて下さい。
@生徒自身の無気力 56
A教師の指導力、指導方法 19
B部活動の疲れ 42
C進路意識・目的意識の不足 49
D基本的生活習慣が確立してない 26
E通学距離、条件等 2
F夜更かし、アルバイト疲れ 19
G基礎学力不足(指導内容が難しい) 16
H家庭(環境、保護者の指導等)の問題 3
(7)生徒の学習の障害となっていると思われるものに「生徒自身の無気力」も要因の一つにあげられると思いますが、この無気力の原因は何だとお考えでしょうか。(3個以内 選んで下さい)
@やらなくてもすむから(卒業はできる、就職先はある) 45
A学習する目的・意義がわかってないから 49
B生徒にとって学習内容がおもしろくない、つまらないから。 21
C学習内容が理解できないから 17
D教師の指導になじめないから。 4
E体が疲れてダルイから 39
Fクラス・学校の雰囲気から 17
G家庭の雰囲気から 2
H不本意入学から 19
Iその他 3
・部活だけやっておればよい
・工業に興味を持たない生徒がいる ・将来に対しての目的意識がない
・教師の指導力不足を感じる ・生徒の無気力の実態はある。これに対してどう対処していくかが大事であり、我々の責務だ
(8)「平常授業の充実」「わかる授業」「身につく学習」「わかりやすく 楽しい授業」にするために、今後どういう取組みを行えばよろしいで しょうか。以下はこの設問に対して昨年度寄せられた回答の一部です。 同意される項目を選んで下さい。また、この他にありましたらその他 の欄にお書き下さい。
@教材の精選で指導内容・目標を明確にした授業を行なう 30
A生徒の興味をひく教材の開発 36
B授業方法の工夫が必要(科内で取組む) 16
C授業を重視する雰囲気、心構え、態度の育成 31
D全職員で取組む体制づくり 21
E基礎基本をしっかり押さえ、これを身につけさせる授業の展開 22
F教科・学科会の研修会で授業にたいする工夫等について常時議題とする 9
G生徒に学ぶ意義、目標を指導する。進路指導の充実を図る。 30
H部活のありかたについて部顧問と話し合い、学習との両立を図るべき 31
I居眠り・私語に対して厳格に対処、けじめ、節度のある授業を行なう。 25
Jその他 2
・自ら学ぶ教材の提示と表現力を育成する授業の工夫
・平常授業を重視する雰囲気が大事部活動優先の考え方がある
・部活動さえやっておれば進級、卒業、進学できるという指導がある
・資格検定のための課外に支障が出ている
・上記全項目は教師の取組む姿勢として持っておくべきものと思う。 (9)学習指導に関する取組み全般について、ご意見をお聞かせ下さい。
@学習指導の改善について各科でどれほど議論がすすんでいるか。科会の中で議論を尽くし実践を積み上げていかなくてはならない時期だ。科主任の先生のリーダシップで展開を図っていくべきだ。
A学習指導の諸問題は、やはり教師側の責任につきる。この事を意識して取組みを進めることが問題解決の本質でないかと思う。
B本校はたしかに学習指導が困難だ。先生たちの一致した取組 みで頑張っていかないと前進しない。
C生徒の実態把握があまりなされていないのではないか。現状認識のための議論が先決だと思う。
D教材の精選等地道な取組みをしている先生はあまり見かけない。
E生徒のやる気が問題になるが、それを上回る職員のやる気が大事だ。
F定期テストで暗記ものはできるが、応用は全くできない。偏差値教育の弊害だ。暗記型の教育から抜けだす必要がある。
G学校全体で勉強する雰囲気作りが欲しい。例えば語彙力算力テスト等
H授業に臨む心構え、教材の準備が十分だとうまくいくが、逆の場合はうまくいかない。うまくいかないときは私自身の責任だと感じている。
I新しい学力観に立った全校的な取組みをやってほしい。つまり自ら学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力などを育成することを基本にした学習指導方法の改善を目指してほしい。
J生徒の実態に即した指導法の研究は必要だが、そうすると学習に厳しさが欠け、ますます勉強しなくなる傾向が出てくると思う。
*自由記述欄にはこのほかに多くの意見があったが代表的なもののみを掲載。回収率も高く、内容面でも真剣に応えて下さっているのが分かる。悩んでいることは全職員が同じだと気づいた。アンケートを企画したものとして何とかこれらの意見を生かす方向での取り組みを進めたいと考えたものだった。
*本校において先日行われた職員アンケートも真剣に答えて下さっていた。悩みも一人ひとりほぼ同じであり、何とかしたいとの思いが伝わってくる。
4,前任校では前記アンケートの結果にどう対応したか(共通理解が得られたもの)
(1)我々職員側が対応するもの
@内容の精選で基礎・基本の定着をめざす
A学習指導方法の改善をめざす
B内規の改善および運用の厳格化(柔軟化と厳しさ)
C部活動、部顧問との話し合いの場設定で意見調整を図る。
D居眠り・私語に対しての厳格な対処
E資格取得指導ついての体制作り
F科の研修会で「学習指導について」の話し合いを常に持ち、科職員集団として の一致した取組みの推進および全職員による指導体制の確立
(2)生徒の側に対応を求めるもの
@ベル着および教科書ノートの準備
A授業の始めと終わりのけじめをきちんとするなどの学習に対する節度
B居眠り、私語をなくす
C教室の整備(黒板を消す、ゴミ等を片付ける)
D自習に対する取組み態度の向上
Eトランプ等の不要なものの持込みをしない
F欠席・遅刻・早退を減らす。
G通院は放課後のみとする
(3)学習環境に関するもの
@ラーフルクリーナの設置
Aカーテンの設置
(4)生徒の指導に力を結集するための連携・協力の問題
@全職員による生活指導
A全職員による学習指導
B学校全体の環境整備・美化
C家庭との連携で基本的生活習慣の確立
5,学校に対する保護者の願いや思い(アンケート等の要望・意見)は、
(先日の課題研究に関する職員会議で出た意見等で本稿に関連するもの・・・・) 1,社会に出て困らない程度の基礎的・基本的な力をしっかりと身につけ、社会の変化に 対応しながらたくましく生きていけるベースとなる力をつけて欲しい。
2,静かな雰囲気のなかで、分かりやすい授業で、子供たちが集中できる充実した授業を して欲しい。 3,居眠りや私語に対して先生方はもっと厳しく指導してほしい。教室の雰囲気(子ども たちの取り組姿勢)をよくしてほしい。また宅習(宿題)をするように指導して欲しい。4,資格試験、検定試験にはどんなものがあり、それを取得しあるいは合格すると、どう なるのか、つまり就職や将来にどのような形で役立つのかを知りたい。学校ではどの時 期にどのような指導をしているのか。そういう情報も欲しいと思っている。保護者とし ては可能な限りいっぱい受験させ合格させたい。
6,我々職員はどう対応すればよいのか。(平常授業の充実こそがその最大な解決策だ)先日の課題研究に関する職員会議で出た意見等で本稿に関連するもの・・・・)
1,基礎・基本をしっかり身に付けるために、指導内容について教科・学科職員間で共通
理解を図り、わかりやすい授業にするための工夫・改善をすすめる。
2,資格試験・検定試験についても、学科のカリキュラムとの関係を考慮して、計画表を作り保護者とも連携して合格率アップを目指す。
3,居眠り・私語に対しての厳格な指導をする。
4,宅習の習慣化は重要な問題である。俗に言う基礎学力向上を目指す方向で考えたい。 つまり、読み書き計算や、国語力数学力のアップの取り組みを家庭と全職員の協力体制 の下で実施の方向でどうだろうか。習慣化されればそれが 他の科目の自習への波及効 果も期待される。「基礎学力向上を目指す取り組み」がなぜ必要なのか。なぜ宅習をす る必要があるのか。この事について生徒達に理解納得させたい。それによる意欲喚起を 図りたい。 5,教科書の持ち帰り指導は結構困難(エネルギーを要する)だし、持ち帰らせてもその ことでそれが宅習に直接結びつかないことが予想され、教科書忘れなどの新たな問題が 出てきそうだ。それよりも平常授業の充実および宅習の習慣化対策を先行されるべきと 考える。宅習が充実すればそれにより教科書の持ち帰り指導は意味をなくすのでないか。
7,本校生徒の状況は昔と比べて何が変わってきたか
23年ぶりに本校に戻ってきた。昔と比べていろいろな面で違いが見られるが、学習指導面では、良くなったと感じる点もあれば、そうでないと感じる面がある。教室内秩序は昔より平穏になったかもしれないと思うが、学習時における目の輝きは以前よりは見られないようだと思う。
「以前と比べて生徒が良くなった」ということを着任後しばしば聞いた。確かに生徒指導に関するある面ではそれを感じる。昔との比較は難しいが、違いは感じる。生徒指導面では校内における指導の困難さは減ってきたようだ。でも謹慎生徒数はあまり変わらないようだし結構多いとも感じる。
学習面では、昔よりは教室内は平穏になり(機械科だけ?)その面ではやりやすくなった。逆に基礎学力の低下と意欲・関心のない生徒は増えていて、学習指導の困難さは増してきているのかもしれない。
総じて平穏な方向かもしれない。これはエネルギーの低下ということかもしれない。社会全体もその方向かもしれない。本校は生徒数もかなり減り、この面でのエネルギー総和の減少からくるのかもしれない。
8,全校生徒集会などにおいて「昔の生徒より良くなった」「就職率100パーセント」としばしば聞くことについて、
「昔の生徒より良くなった」この言葉を赴任後多くの先生から全体集会の場などでしばしば聞いてきた。生徒をほめて激励することはすごく大事だと思う。具体的に良くなった点はどこで、これからは・・・・を伸ばしていけばさらに良くなる。との期待感が十分に伝わるように話すべきでないかと、それを聞きながら感じた。 また、就職率100%ということも外部向けなら大いに結構かと思うが、生徒は全校集会などで聞く話では、就職は思い通りに決まると思い込む傾向が出てくるのでないかと思う。関係者の努力や先輩の卒業生が頑張っているおかげで、やっと達成できた結果である。このことを十分に伝わるように話さないと、進路について安易な考えを持つのでないかと危惧する。
9,教育内容の精選作業について(平成4年度の取り組みの際に使用したもの)
基礎的・基本的内容の指導の徹底の重要性はかなり以前より言われていた。そのために指導内容の精選は重要視されてきた。この精選作業は教師各人における個人的な取り組みのレベルの域を出てなく、組織的に具体的にその内容を明らかにした取り組みは本校においても近年にはなかったようだ。現実には教科書を中心とした取捨選択の域を出ていないと思う。全国的に見ても、「精選」の具体的内容を解明したものは皆無に近いようだ。
基礎的・基本的な内容の精選(抽出)作業は、教科書等の教材からフルイをかけるようにして、選び出す一面もあるが、教材の中にある原理・原則・法則など普遍性のあるものを抽出する創造的な作業でもある。そしてそれらを構造化・順序化していかなくてはならない。
精選・構造化された教材は決して程度の低いものでなく、教材や生徒の発達について深い思索と見識・力量・洞察力が求められる。精選・構造化の作業は教育者としての我々の真価の問われている創造的なものと思う。
この精選構造化について[広岡亮蔵]は「生い茂る葉のなかから基本の枝(要点)を、そして幹(基本要素)をそしてさらに大本の根(中心観念)を見つけて行けば教材がもつ根幹の仕組が次第に明らかとなってくる。」と述べている。
また、「構造化された知識、技能等の内容は教科・科目を超えて他の教科・科目と結びつき、重なりあい、網の目のようになって広がっていき、学習者の中で大型で立体的な構造になっていく。」と[山藤常雄]は表現している。
この教材と教材との間の有機的な関係を明確にする構造化は内容の精選と一体的にすすめていく必要がある。
基礎的・基本的な事項の精選・構造化作業は組織的に取り組み、少なくともその教科・学科内の職員の討議を経なくてはならない。ひとりの考えには、その人の個性が強く出過ぎて、精選内容やその扱いに偏りが出る畏れがある。また精選・構造化した内容は、常に毎年検証を繰り返していかなくてはならないと考える。この精選・構造化の作業では、教材観の違いで、いろいろな考えが出る事が予想される。しかしこの意見の相違を乗り越えてこそ良いものが生まれるものと思う。各教科・学科においては、本校生の現状をふまえて「生徒にとって何を身につけさせなくてはならないか」を教材の全てについて検討し議論をすすめていけば確実に進展して行くものと考える。
構造化の方法
@トップダウン方式
・教科内の各分野の内容について大まかな構造を取りだす。
・次に各分野の主要内容の系列を取りだす。
・各単元のうち学習単位の教材を構成する。
また、目標分析において、
・教材の学問体系の見地から学習目標の下位構造(下位目標への細分化と関連 構造)をとり出す。
Aボトムアップ方式
・単位教材要素・題材(主要語句・重要事項)の関連づけを行う。
・上記作業を積み重ねて全体の構造化を進める。
・部分の構造を積み重ねて全体の構造化を進める。
トップダウン方式による教材構造はいわば授業設計のガイドラインともいうべきものである。しかし実際の指導プログラムの作成や指導の展開は下位要素の積み上げのボトムアップ方式で行う場合が多い。後者のように1つ1つの要素を積み上げて行くときには全体としての方向を見誤ることのないようにトップダウン方式による要素の全体の関連系統図を求めておいて、それを参照しながら実際の指導プログラムを積み上げによるボトムアップ方式で組み立てていけばよい。両方式は互いに相補して利用すべきである。・・・・以上(佐藤 隆博)
具体的な手順は、@学校のカリキュラム全体の関連構造を明らかにする。A教科全 体の構造を明らかにする。B科目全体の構造を明らかにする。ここまで、とりあえず トップダウン方式で作業を進めて、その後にボトムアップ方式で積み上げて行くやり方が良いのではと考える
到達度をあらかじめ設定する(この項、山藤常雄氏の文章より抜粋)
@目標分析
目標分析は、要するにこれから何をどのように教えるかを考えることで、結果としては行動目標を書いて、一覧表を作ることになる。到達度学習では生徒の学力を確認しようとするために、目標を理解させるとしないで、行動の変容を示す動詞で目標を書き、例えば、「生徒が何何することができる」とする。このようにして科目全体について行動目標を書いていくと、学習指導のターゲットが明確になるだけでなく、従来の教員本位の学習指導が生徒中心の学習指導に改善される。この際に重要なことは、行動目標の一覧表を作りながら、学習指導の内容を構造化する事である。・・ 教育的にはその科目の基礎・基本により、学問的には基本概念・概念系によって 構造化する。この目標分析により旧来の知識の羅列主義や量としての学力観を排除 し、教育内容を精選・整理することができるのである。
A到達基準の設定
到達度学習では、到達基準で評価・評定する。つまり、授業する前にあらかじめ到達基準を設定してから、その基準に向けて授業を行い、その学習が終了するときに、その到達基準を超えているかどうかで評価する。これまでの学習指導では、学習指導の終わりに試験問題を作って採点し、その平均点や偏差値で評価・評定している。・・
B形成的評価
到達基準を設定して行う到達度学習では、途中の段階で何回か生徒の学力を調べる。これが形成的評価である。・・・・・学期末の試験ではあとの祭だからである。・・・・
*基礎的内容や基本的な指導を行う場合に、一番大事なことはその教材について指導者がいかに深くその内容をつかんでいるかである。私は教科の中では数学は比較的好きで得意な方だった。でも小学1年生に対して算数を指導しようとすれば、たとえ教科書やその指導書を使って指導するにしてもすごく悩むと思う。指導内容が基礎的基本的なものになればなるほど、プロとしての指導者の力量が問われる。指導者の力量によりその展開方法が違ったものになってくる。同じ内容を指導するにしても指導者が10人いれば10人とも違うのが普通である。
指導内容の構造というか、指導する内容の全容を明らかにしなければ、それを身につけさせるための手順・方法が見えてこない。ただ教科書を使って、その指導書を参考にして指導を展開していくだけではプロとはいえないのでないだろうか
10、確かな学力(生きる力)を育てる教育を目指すに当たって配慮すべきこと(文中に自己教育力等最近は使用されなくなったものがあるが、当時使用したものを原文のまま)
(1)学習への意欲の重視(学習の手段・方法を工夫する。)
@わかる授業楽しい授業の創造で、学ぶことの楽しさ・成就感・達成感をもたせる。
A体験的、実験的な学習を重視し実物や本物に触り興味を喚起する。
B学習者の生活に密着した身近な教材で興味を喚起する。
C新しいことを学ぶことは本来楽しいことを体得させ能動的(自発的・自主的)な学習態度を引き出す。
D評価のあり方も形成評価を行ない学習の過程における意欲や・態度などを評価する。(2)基礎的・基本的な内容の指導の徹底
@生涯にわたる人間形成の基礎である知・徳・体の領域にわたる基礎・基本を確実に身につけさせる。
A思考力・判断力・表現力等の能力の育成を図る。応用・発展・創造性につながる直観力・創造力を重視する。
B十分な教材研究のうえに、指導内容の精選を十分に行ない、それを十分に構造化、体系化する。
C内容の精選とともに学習指導方法の工夫改善が必要
D最低限習得させるべき内容は、全員に到達させる取り組みが必要。そのためには、個に応じた学習方法も必要。
E学業指導(学習指導+生徒指導+進路指導)で基本的な生活習慣や規律・規範を身につけさせで学習への取組み態度の改善や、集中力・持続力や適応力を育てる配慮も必要。
(3)学習の仕方の習得(自ら学ぶ方法)
@課題研究等を導入し主体的な学習の取り組みを行なう
A与える学習から、自ら探求する主体的な学習態度を育てる工夫。
B知識習得型学習から方法取得型学習へと転換を目指す。
C問題解決型学習の導入を図る。
D図書館、CAI、視聴覚教材などの媒体利用学習を取入れる。
Eグループ学習や相互学習の形態も取入れる。
F学習の習慣化を図る取り組みを行なう。
G学習の仕方、思考の仕方、情報の扱い方、自ら学び考え創る等を十分意識した授業を行なう。
(4)在り方生き方の指導(社会の変化に主体的に対応しながら生きていく)
@進路指導の充実で自己理解、勤労観、職業観を形成し進路意識、目的意識を持たせ将来を見つめさせ進路設計を立てさせる。
A生徒指導の充実で自己指導能力、自己実現能力を育てる。
B特別活動の充実、運営方法の改善を図る。
C勤労生産、奉仕的行事等の充実を図る。
D生徒会活動を活発化し、自主的実践的な活動の場とする工夫を図る。
E成長発展したいという意志や、生涯を通じて自己実現を図りながら生抜く力や、どういう人生を送るかという価値の創造と選択の問題や、他との協調を保ちながらいかに個性的創造的に生きるか、などの人生観、世界観、価値観の育成を学校教育全体を通じて図る。
(5)カリキュラム編成での対応(多様な個性に対応するため、あるいは学校の個性化を図 るため)
@必修科目を減じて大幅な選択性の導入を行なう。
A進級、単位認定、再入学、編入学、転入学等に関する内規の柔軟化を図る。
(6)職員の研修
@自己教育力の育成が最も重要であること、そのためには内容の精選と構造化、そして指導方法の工夫改善が重要であることの共通理解を図る。
A事務連絡が主である現在の研修会の中に「学習指導の改善について」の話し合いの時間を確保し議論を継続し実態に即した実践を積み上げる。
B個性を生かす教育をどうすすめるかを研修する。
C学力観、教育観の転換が求められている。
D教師自身が生涯学習社会に生きる人間として常に学び続ける意欲と態度を持つことが生徒にとっての生涯学習者としてのかけがえのない生き方最良のモデルとなることの理解。
2005,1,10