官・民を問わず、いま日本の組織が危ない
不祥事の続発は、組織が本来の機能をしてないから、
薬害エイズ事件、三菱自動車のリコール事件、牛肉偽装事件、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の事故隠し等々の不祥事が、立て続けに明るみになった。官をはじめ日本を代表する大手・有名企業の不祥事も立て続けに明るみになった。官・民を問わず日本の全ての組織において組織が本来の機能を十分に果たせ難くなってきているようだ。つまり組織の機能疲労が進行しているようだ。
最近は正義などの価値観がほとんど影を潜め、意欲や能力なども低い地位に追いやられてしまったようだ。要領のよさやゴマすりなどが大闊歩する時代になった。人権感覚、正義感、人間性、責任感などの価値観が薄れてきて私欲が支配的となってきた。本心・本音を隠し、建前やきれい事の横行する時代でもある。こんな時代背景の下、法や倫理はないがしろにされ、一企業や・一個人の利益・出世優先で、その結果、組織存続も危ぶまれるほどの不祥事が勃発してきた。
これらは危機管理の未熟さと捉えられる側面もあるが、技術的な組織の問題ではなく、「人間不在」の組織運営の現われと私はみる。
これらの不祥事をマスコミでは一企業や一組織の問題として報じていたが、一企業や一組織の問題ではない。動燃的体質(動燃的なるもの)日本的体質(グローバリズムの欠如)は全ての組織において大なり小なり見られるので、全ての組織において起こり得る問題をはらんでいると言える。組織が組織として機能しなくなってきているからに他ならない。
近年多く見かける組織の不祥事は、その組織の本来の機能を見失って暴走化した現象でもある。この不祥事により組織は、社会的に非難され信用を失墜し、危機に瀕してしまう。
企業の従業員や経営者、国の機関や政治家、公務員・・・・いろんなところで不祥事が起きている。経営者は自己の利益のみを優先し、部下も自分の地位のみを優先し、とんでもない大問題が引き起こされてくる。公益や、国民の利益を忘れて、自己保身・利益追求のみに走っている結果でないかと思う。
官庁では、不祥事が起きれば外部からは綱紀粛正がさけばれ、それに関わった職員は服務規律の厳正を求める処分などがなされる。不祥事は個人の問題のケースもあるが、組織全体の問題であることも多い。企業の場合も同じであろう。それゆえ関与した職員を処分しただけでは信頼を回復することは困難である。
近年マスコミで話題となっている組織の不祥事は、組織の上層部が関与するものが多い。上層部の関与するものは「特別背任罪」などに相当するものであり組織に与えるダメッジは大きい。
自己保身の強いイエスマンばかりで固めている組織は、一時的に利益追求などの、組織の機能の一面は見かけ上は機能しているように見える。でも組織本来の機能はそのために阻害され全体的に見ると非効率で危険的な要因をはらむ事になる。チェック機能の働かない組織ほど危険なものはない。
自己保身の上司は例外なく自己保身の部下を側近におきたがる。能力のない上司は部下には能力のないものを置く傾向も強く見られる。
正義の人や有能な真の人材を遠ざけていく傾向の中で、真に重要な言(情報)が通りにくくなっている。これはまさに組織の動脈硬化と言えるのかもしれない。私は不祥事を勃発する組織疲労の症状はこの種の動脈硬化が大きな原因だと思う。
組織の本来の機能・目的を見失ってないか
企業においては消費者・ユーザの立場を、行政においては国民の立場を最優先する考えを経営(行政)の根本にすえなくてはならない。
ある会合において、特殊教育(聾教育)の推進責任者である他県の指導主事に質疑する時間があった。これからの聾教育の推進・あり方に関する質問であったが、その人は「私の立場上そのことについては答えられません」というのだった。
このように私の立場上・・・・・という言い方を時々耳にするが、その立場とは何だろうかと考えることがある。
私は職務上では公務員としての立場であり、PTAの組織であればTの立場であり、生徒にとっては先生であり、校長との関係で言えば部下である。私的な生活でも親であったり、クラブや趣味の会では会員だったり等多くの各種の立場がある。そこには法で規制された立場もあれば、倫理や良識等で規制される立場もあろう。
我々学校職員の立場とはなんだろうか。いわずもがな、我々は公務員であるということであり、それはとりもなおさず公僕であると言うことであり、国民のために奉仕する立場である。つまり我々は国民によって雇用されていると言う事であり、どんな立場よりこの立場が最も優先されるべきものだと思う。我々が最も大事にすべきは、子供たちの将来であり、保護者の願いであり、子供の思いであろうと思う。
行政も国民全体の利益のために奉仕されるべき立場が最優先されるべきであろう。われわれが生活する上においては個と個の利益がぶつかる事もあろうし、全体と個の利益がぶつかる事もあろうが、行政はそれらを調整することはあっても、それらの一方を無視し押さえつけたり、一方のみを味方する立場になることがあってはならない。でもこれまで薬害エイズ事件等に見られるように、犯罪的な行政も数多く見られた。これからも続発するであろうと思うと、暗たんたる気持ちになる。
ともあれ、国民の利益、消費者の利益を最優先する立場で、行政や企業活動が行われなくてはならないと思う。このことを忘れたところに「動燃的」「日本的」「組織の機能疲労」なる問題を引き起こす原因がある。
私的利益(自己保身)を優先するあまり、行政の都合、上司の都合に迎合する立場をとり、本来の組織・機能を忘れてしまったごとき言動をとってしまう傾向が見られるのは残念なことだ。
最近の不祥事は内部告発に端を発するものが少しずつだが増加傾向にある。でもまだまだ先進国に比べたらやっと始まったばかりで少ない。法律での保護もまだないので、日本での内部告発は辞職の覚悟をも要する。
今までは表面に出なかったものが最近勇気ある内部告発等で表に出るようになってきた。これらの動きは日本型組織を蘇らせることになるのでないかと考える。今後の進展に期待したい。
延岡ろう学校 2003,11 馬場 弘教