僕の犬よ

春が来て
その次のページも
また春で、
めくりめくって
パラリとそこに
初めての
夏があった‥‥

というような 
白い雲と青空の下
僕の犬は
相談もせず
あっさりと死んでしまった

ページはめくられ
めくりにめくられ
なんどかそんな夏を
バサリと飛ばして
しかしまた
同じような夏に
今日
パラリと出会ってしまった

この景色のどこを探しても
僕の犬はいないが
ぽかんとした
この青空に
君の悪口を
大声で言ってみよう

ほんとに君は
頭が悪かったなあ
頭悪いから
犬に生まれたんだよ

とうとう言葉は
三つだけしか
しゃべれなかったなあ
 
お腹減ったよ
うれしいよ
そして、
あなたが好きだよ!

僕の犬よ
僕はまだ
君の生きた何倍かは
生きねばならない
何万語も駆使して
嘘ついて
生きねばならない

だから
もう一度だけ
この青空の下
ぬっと現れて
駆け寄ってきて
言って欲しい

僕の白くて
丸くて小さな犬よ

あなたが
好きだよって

センチメンタルキャメラ