「傘をどうぞ」



雨に濡れています
などと囁いてみても
どなたも
雨に濡れてはいなくて
ただ確かなことは
雨に濡れていますという
言葉に いま
あなたの耳は濡れています

降っているのは雨ではなくて
むかし
僕のまいた言葉が
遅れて届いているのです
この傘をどうぞ



        (2003.4/5)


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